悪徳不動産屋日記 南向き信仰崩壊②
長年私が不動産業に従事してきた経上、南向きが最善ではないと思える、いくつもの事例がある。
お客さんが南向きの物件を求めるのは、日当りの良さを求めてのことである。
南向きでも、隣に高い建物がたっていたり、山がかぶっていたりして日当りが悪い物件は敬遠される。
しかし、こだわってこだわって日当り最高の土地を購入して、日当り最高の家を新築したはずなのに、何年もしないうちに南側に面した窓に、外付けで無骨な日除けをとりつけている家が少なくない。
最近の家は、軒が無かったり、あっても極短いものが多い。
窓に庇(ひさし)もついていなくて、家の中まで日が差し込むことになる。
ずっと、日当り、日当りと、日当りを最重視してきて、日当りの良い家を希望しているから、設計段階でも日当りが良いことが一番の優先事項になる。
家を建てる方にとっても、その方がデザイン的に見場のいい家が作れるし、軒や庇が無い分建築コストも下がると、いいことづくめなのだ。
かくして、一日中日が当たる、日当りの良い家が誕生することになる。
しかし、そうやって日当りのいい家を建てたはずなのに、多くのお宅が、何年もしないうちに南側の窓の上に庇をとりつけることになる。
外付けで、せっかくの苦労して作ったはずのお洒落なデザインをぶち壊してしまうことになる。
1メートルくらいの屋根をつけた洗濯物干し場兼用の日除けを外付け工事で増設している家も良く見かける。
家の中まで差し込む日差しは、生活には迷惑なのだ。
それに、せっかく日当りの良い家をつくったものの、南向きの家はカーテンを閉めっぱなしにしている。
当地(宮崎県の北端の街・延岡市)のような地価のやすい地方都市でも、住宅の敷地はせいぜい60坪程度のもの。
南道路に面した土地に家を建てるときは、南側に庭を造ることになる。
60坪程度の敷地だと、庭があってもわずかなもの。
道路から家の中は丸見えになる。
だから、部屋のカーテンは閉めっぱなしになってしまうというわけだ。
北道路に面した家だと、家は北側に寄せて建てて南側に広い庭をとる。
南側には隣接の家が建っているわけだが、家の北側には部屋は作らないことが多いしから、隣家から自分の家が覗き込まれるような不安は少ない。
だから、カーテンを閉めっぱなしにする必要も感じない。
北側の家は日当り抜群とは言えないかもしれないが、昼間の家の中の明るさとしては、カーテンを閉めっぱなしにした南に面した家より明るいとも言える。
南側が広い道路であったとしても、高層マンションが建ってしまえば日当りは悪くなる。
かくのごとく、南向きが最善とは言えないのである。
だからといって、北向きが最善ということでもない。
まわりの環境や、それ以外のもろもろの条件の組み合わせ、それに予算と時期の組み合わせで自分の最善は決まっていくものなのだと思うのである。
悪徳不動産屋の私は、そんな屁理屈を並べ立てて、物件の良さをアピールして成約に結びつけているのであるぞ。
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