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2016年5月20日 (金)

悪徳不動産屋日記 殺人事件のあった豪邸、1111万円で落札

 昨日の続き。

 殺人現場のため格安で売りに出された中古住宅に対して入札が1件しかなかった。

 自殺を気にしない人は少ないとは思っていたが、これほどまでだとは思わなかった。

 自殺や殺人といった事件が、これだけ人に忌み嫌われるという事実をいまさらながらに思い知らされた。

 自殺や殺人があったことを忌み嫌うのは、日本だけではなく世界共通のことだろう。

 しかし、どの国もここまで人の死を忌み嫌っているのだろうか。

 私は、日本においては死を不浄のものととらえられているところに、その違いがあるような気がする。

 自殺や殺人を忌避的告知事項としてとられることには意義はないが、最近は自宅で看取りを行ったような場合も忌避的事項として敬遠される傾向にある。

 私が子どもの頃は、自宅で看取るのが普通だった。

 映画やドラマでも、年をとった老親や小さな子どもが重い病気になると、病院にかけこみ医者に往診をお願いする。

 それは大抵は深夜のことで、往診にかけつけてきた医者が、不安げに病人を見守る家族に囲まれて病人を診る。

 熱を計り聴診器をあて、注射を打つ。

 病人の枕元には医者の手洗いの水をはった洗面器を用意している。

 診察と手当をすませた医者は、手を洗い、用意された手拭いで手を拭きながら、「今晩がヤマですね」と告げて帰る。

 そのご病状が悪化し患者が息を引き取ると、もう一度医者を呼びに行き、かけつけてきた医者は患者の脈を取り、聴診器をあて、瞳孔を確認し、「ご臨終です」と告げる。

 そして、そのまま家族だけのお通夜をし、次の日にお通夜、そして自宅で葬式というのが当たり前だった。

 最近の日本では、自宅で亡くなる人は10数パーセントでしかない。

 80%以上の人が病院で亡くなっている。

 病院で亡くなることが当たり前になってしまって、自宅で看取る場合、往診をしてもらう医者と連携していないと不審死あつかいになってしまう。

 それに慣れてしまって、自宅で看取りをした経歴のある家を嫌がる傾向になってきている。

 そんなお客さんにとっては、自宅で死期を迎えたという事実や、自宅で葬儀をしたという履歴も忌避的な精神的瑕疵と感じるようだ。

 実際、それが原因で中古住宅の契約が破談になった経験が何度かある。

 また、核家族化により、若いお客様には仏壇になじみのない人も少なくない。

 そんなお客さんの中には、仏壇があるのを嫌う人もいる。

 だから私は、告知義務のある事項ではないのだが、仏壇のある家の売却の依頼を受けた際には、さりげなく自宅で看取りをした経歴がないかを聞くことにしている。

 結果として、統計の数字のとおり、ほとんどの場合亡くなった場所は病院である。

 物件の案内の際に、家の中にある古い仏壇を見て、それを気にする感じのお客さんがいた場合には、亡くなったのは病院で、葬儀は葬儀場でとり行ったことを、これまたさりげなく説明することにしている。

 なにせ、私は悪徳不動産屋。こんな変なことで契約が破談になるのを阻止しなければならないのだ。

 長くなったが、それで私の持論だが、日本においては元来、死を不浄のこととしてとらえる傾向があった。

 核家族化と病院医療の発展により、死がより遠い存在となっている。

 それで、人はなおのこと死を畏れ、家の中で人が亡くなった物件を敬遠する。

 日本において、家の価値が20年でゼロになるという習慣も、そんな影響もあるのかもしれない。

 最近、国が家の価値の見直しをする方向に指導を転換し、100年住宅とか200年住宅をうたうハウスメーカーも出てきている。

 そして、国は医療保険・介護保険の負担軽減のため自宅療養・自宅看取りの方向に舵をきっている。

 そうすると、100年も200年の間には、何人もの人が亡くなることになる。

 人の死を忌み嫌う日本において、何人もの人を見送った家が支障なく流通するだろうか。

 私は、日本における、20年で家の価値がゼロになってしまうという考え方は、日本人の死に対するとらえ方にも起因しているのではないかと思っている。

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