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2016年6月25日 (土)

悪徳不動産屋日記 家賃滞納で強制退去

  いきなりお客さんが入ってきた。
 
  私の事務所は全面ガラス張りで外が見渡せる。
 
  たいていのお客さんは、入り口でいったん立ち止まり、一呼吸おいてドアを開けて入ってくる。
 
  その呼吸が伝わってくるので、ドアが開いて入って来るときには応対の態勢を整えて対応できる。
 
  それにもかかわらず、いきなりという感じで入ってくるお客さんがいる。
 
  今日のお客さんがそうだった。
 
  このタイプのお客さんは、入店と同時に自分から大きな声で用件を言ってくることが多い。
 
  今日のお客さんもそうだった。
 
  「ちかくに、敷金礼金がなくて安い貸家はないじゃろか?」
 
  70歳くらいの女性である。
 
  気の弱い悪徳不動産屋である私は、もめごとになりそうなお客さんを直感的にかぎ分けてしまう
 
  いやな予感。訳ありに違いない。
 
  もともと現在、当社は賃貸物件の取り扱いが少ない。
 
  他社の物件も紹介できるのだが、最近のお客さんはネットで調べつくしているし、その上で数業者回って、それ以外に掘り出し物はないかという感覚で依頼を受けても、ご希望には沿いかねる。
 
  お客さんによっては、わけありであったり問題を抱えていて、他業者で断れたあげくに、どこか入り込める物件はないかと部屋を探しに来ることもある。
 
  こんな場合、当社は賃貸物件の取り扱いは少なくて、余りやっていないということでお断わりしている。
 
  今日のお客さんが、そうだった。
 
  一瞬で、「わけあり」と感じた。
 
  それでいつものごとく、「当社は賃貸物件の取り扱いが少なくて、敷金礼金無しの物件は持っていないんですよ。」と伝えた。
 
  すると、「探してもらえないの?」と、ちょっと荒々しい口調で聞いてきた。
 
  「申し訳ないんですけど、当社は賃貸の仕事はあまりやっていないんですよ。」と言うと、「おたく不動産屋なんでしょ?」「不動産屋なのに貸家をやってないの?何をやってるの?」と、突っ込んでくる。
 
  「はい。当社は不動産の売買を中心にやっているんですよ。お役に立てなくて申し訳ないですね」と説明した。
 
  すると、「不動産会社なら、こんな場合どうなるかわかる?家主からこんな手紙が届いたけど、私は素人だから意味がわからないのよ」と言いながらバックから封筒を取り出した。
 
  「今月中に退去しろというのだけど、ここにお金を払えという計算が書いてあって、その意味がわからないのよ」
 
  私が椅子を勧めたわけでもないのに勝手に椅子に座り込んで、封筒から書類を取り出した。
 
  見ると、家賃を滞納していて退去を迫られているのだ。
 
  「お客さん、家賃を滞納しているんですね?これは、家賃を滞納しているから退去しろということでしょう?」
 
  「滞納といっても2カ月滞納しただけよ。それですぐに出ないといけないの?」
 
  なんという言いぐさだろう。
 
  法律的に言えば、2カ月の滞納で即座に退去を強制はできないだろう。
   
 私であれば2カ月滞納で即座に退去を求めることはしない。

  しかし、厳しい家主さんは退去を求めることもあるだろう。
 
  こんな場合、法的にこのお客さんを守ってやることもできるのだが、私は悪徳不動産屋。
  こんな態度では助けてやる気にはならない。
 
  お引き取りねがいたいなー、と思っていたら、勝手にテーブルに拡げた文書を示して、「ここにいろいろな金額が書いてあるけど、なんでこんなに払わなくちゃいけないかわからないのよね」と私に説明を求めてくる。
 
  未払い家賃と違約金の請求である。
 
  請求金額の内訳に、延滞利息とか督促手数料とか家賃以外の項目がある。
 
  未払い家賃以外の金額まで、なぜ払わなければいけないのかと、私に声を荒らげて不満をぶちまける。
 
  ここにいたって、ここまで大人しく話しを聞いてきたが、私も、ちょっと大きな声で話しを制した。
 
  「そもそも、家賃を払わないあなたが悪いでしょう。だから家主さんは怒って、出て行ってくれと言ってるわけですよ。すぐに出ないと行けないかどうかと聞かれても、縁もゆかりもない人たちの喧嘩に、私はかかりあいたくはないですね。来るところを間違ってますよ」
 
  すると、「すぐに出らんと、いかんちゃろかい(いけないのだろうか)。出ていくところもないのに、どうしたらいいっちゃろかい(いいんだろうか)」と困った顔になった。
  相手は70歳のおばあちゃん。
 
  おそらくは一人暮らしなのだろう。
 
  私は悪徳不動産屋ではあるが、途方に暮れたその姿を見ると、冷たく放り出すことはできない。
 
  こんなことを教えると、悪徳入居者に知恵をつけることになるので言いたくはないが、 法的には、2カ月の滞納で強制退去を求められても従わなくてもいい。

 どう対抗したらいいかは、悪徳入居者が見るといけないのでここには書かない。

 態度が悪かったから、私の口から教えることはしたくはないので、裁判所に相談に行ってみるように助言した。

 裁判所の職員は公務員。

 裁判所の職員といえども、法律に無知な部署で働く人もいるが、法律に詳しい部署もある。

 こんな簡単な問題なら、答えを出してくれる人がいるだろう。

 国民だから遠慮なく公務員さんに頼ってみることだ。

 私は悪徳不動産屋。ただで知恵を借りようなんてのはお断り。

 ただし、この悪徳不動産屋、褒められると弱いし、頼られることにも弱い。

 困って助けを求められると、ほいほいと助けてしまう、情けない悪徳不動産屋なのだ。
 それにしても善良なる消費者様は怖い。

 今日だって、アパート探しを断ったから事実がわかったのだけど、滞納して退去を迫れていることを隠して、善良なる消費者として部屋探しをしているのだからなあ。

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