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2016年6月23日 (木)

 悪徳不動産屋日記 高く買え・安く売れ

 今やっている商談が、まさに悪徳不動産屋の所業である。

 売却の依頼を受けているお客さんには安く売れと迫り、買収依頼を受けているお客さんには高く買えと強要している。

 売却物件については、バブルのころには坪100万円の話しもあったというものをその5分の1の値段まで引き下げ、さらにもう少し下げないと売れないと迫っている。

 近隣に直近の取引事例が数件あり、その価格が相場価格を形成しているので、それを超える価格での取引は、なかなか成立しない。

 十年以上前から売りたいという話しは受けていたが、希望価格が高すぎて成約があり得ないと思われる価格であった。

 不動産に絶対的な価格は無いけれど、絶対に売れるはずが無いという価格はある。

 このお客さんの希望価格がそうだった。

 本気で売却したいのであれば、そのことをきちんと説明してあげなければならない。

 しかし、「あなたの財産は、そんなに値打ちがありませんよ」という話しだから、売主は気分を壊す。

 このお客様は、当社以外の不動産業者にも売却を依頼しておられたが、いずれの不動産業者も積極的な価格の説得はできず、ここ数年他の不動産業者さんはいっさいかかりあっていないという状態だった。

 それでも、お客様のためを思えば、価格を引き下げる必要性を説かなければならないのだが、私が悪者になって説得して、強引に納得させたとしたら、私に対しては悪感情が残ってしまう。

 売れる価格になったとたんに他社が売ることになりかねない。

 しかし、このところ、売主さんに早急に売りたいという事情が出来たようで、私のところに1カ月以内に売りたいという相談に来られた。

 それで、直近の取引事例を示してまずは売り出し価格を相場に近い価格に下げることを了解していただいた。

 そして、いろんなところに商談をもちかけているが、持ちかけた相手方からは、まだ価格が高いと指摘される。

 実際、その意見の方が私も妥当な価格だと思える話しなのだ。

 売主さんには1、2カ月で売りたい事情がある。

 希望を達成するためには、さらに価格を引き下げなければならない。

 引き下げるといっても、安売りをさせるわけではなくて適正な価格を納得してもらうことなのだ。

 この1カ月、それを納得していただくために、週に1回以上商談状況を報告して、理詰めで売れるための話しをしている。

 一方、買収依頼を受けているお客さんには、「高く買え」と説得している。

 こちらは、親の代から借地として借りている土地の所有権を買い取りたいので、土地所有者を説得してくれという話しである。

 20年に渡ってずっと、地主さんにお願いしているが売ってもらえないという土地だ。

 数年前に、売ってもいいという話になって、地主さんに「いくらで買うつもりか?」と聞かれ価格を提示したのだが、そのまま話しが立ち消えになっているということだった。
 私は、提示した価格が売主さんが思う価格より安かったのだろうと思い、私の考えを依頼者に伝えた。

 しかし、依頼者は現在では妥当すぎる価格だと主張した。

 確かに現状では適正と思われる価格だが、地主さんの立場になったら、そんな価格で売るより借地料をもらっていたほうだ得な話しなのだ。

 さらっと、そんな話しをしたが、依頼者が納得するわけが無い。

 そんなことは承知の上。

 私は早速地主をあたってみた。

 案の定、「売っても売った金を使うあてはない。売ることは全く考えていない」という返事だった。

 想定どおりのことではあったが、地主さんの言い分を十分聞き、依頼者の気持ちも十分に伝え、ひとまず帰り、依頼者に結果を報告した。

 地主の言い分はもっともで、どうしても欲しいなら少し高く買うつもりにならないと、話しは進まないだろうという話しを軽くしておいた。

 数日あけて、再度地主さんを訪問。

 地主さんの考えは実にその通りだと思う話しだった。

 狭い土地だから、売って税金を引くと残る金額は600万円程度にしかならない。

 別に金の使い道は無いが、低金利の今、銀行に預けていても増えることは無い。

 現在もらっている地代は、数千万円の利息に匹敵する。

 土地でもっていれば、元金の減らない高額な預金として考えると土地を売らずに地代をもらっていたほうが自分にとっては得な話しなのだという。

 年を召されているのだが、実に正しいお考えだ。

 私は、素直にそれは認め、借地人の気持ちを思って、なんとか譲ってもらないものかと情にすがる作戦に出た。

 すると、「あなたの言うこともわかる。借地人さんにはお気の毒だと思う。しかし、今は土地の値段が下がってしまっているので売りたくはない。」との返事しかもらえない。
 話しの中で、「土地の値段が下がって」という言葉が出たが、これがポイントだろう。
 この土地もバブルのころは坪80万円とか100万円という話しもあった。

 現在は、坪当たり20万円か25万円といったところだろう。

 話しを続けていると、「この先、景気が良くなって土地の価格が上がるかもしれないから、そのときはまた考えても良い」という言葉も出た。

 私はすかさず、「以前のバブルのようなことは絶対無いし、おそらく土地の値段があがるということはないでしょう」と言葉をはさんだ。

 そして、「土地の価格は上がると思いませんが、私が借地人さんを説得して今の相場より少し高く買うという話しになったら、なんとか譲ってやってもらえませんか」と切り出してみた。

 すると、「そうよなあ。昔のような価格とは言わないまでも、価格次第では考えてみるぞ」と言う。

 買収依頼者は、現在地で商売をしている。

 結構繁盛していて、今は息子さんが跡継ぎとして仕事を手伝い始めたところだ。

 建物は老朽化しており、建て替えるには地主の了解がいる。

 地主が売却に同意しないまま、建物が朽廃してしまえば借地権は消滅し、別な土地に移転しなければならない。

 この先も生計を立てるためには商売を継続しなければならない。

 土地面積が30坪ちょっとなのだから、坪10万円高く買っても総額は300万円高いだけだ。

 せっかく掴んでいる固定客のことを考えれば、高すぎるとは思えない額だと思う。

 不満ではあるだろうが、高く買うても買うことが依頼者の利益だと私は判断した。

 画して、買収依頼者に「高く買え」と強要している。

 依頼者は、依頼主である自分に不利な商談を進める私に不満な気持ちを露にしている。
 私は、不動産業は売主や買主の気持ちを収めることが仕事だと考えている。

 高く買わされるかもしれない。安く売らされるかもしれない。

 高く買いたくはない。安売りはしたくない。

 しかし、絶対的な定価がないのが不動産。

 そのときの売手、買手の事情によって価格は振れる。

 売手買手の、そのときの事情で、売主に有利に売れたり、買主が有利に買ったりすることになる。

 私は、そんな売主さん買主さんの気持ちを、「極端な高買いではないですよ」「足元をみられた安売りではないですよ」と、収めるのが大事な仕事だと思っている。

 それを人は悪徳不動産屋と言う。

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