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2016年8月 3日 (水)

 悪徳不動産屋日記 高齢者の入居に拒否感

 8月1日付の日経新聞に、賃貸住宅の家主の7割が高齢者の入居に抵抗があると感じているという国交省の調査結果が掲載されていた。

 調査は、2015年12月、同省が日本賃貸住宅管理協会に委託して実施。

 協会に加盟する308の管理会社を通じて家主約27万人に対して調査したもの。

 調査結果によると、「高齢者の入居に拒否感がある」と回答した家主は70.2%という。
 単身高齢者の入居を拒否しているとの回答が8.7%。

 高齢者のみの世帯の入居を拒否していると回答した家主が4.7%。

 入居は拒否していないものの、審査を厳しくする家主もいるという。

 高齢者などの入居について拒否感や実際に拒否している理由としては「家賃の支払いに対する不安」が61.5%と最多。

 続いて「居室内での死亡事故などに対する不安」が56.9%だった。

 国交省安心居住推進課は「単身高齢者の場合は保証人の確保や死亡後の遺品整理などで手間がかかると感じている家主が多い」と指摘。

 家賃支払いや室内での死亡事故への不安などを挙げる家主が目立つ。
 
 「やっぱりな」という実感である。

 私の感じでは、家賃の心配よりも室内での死亡事故の方が気がかりだ。

 家賃の滞納については、保証人をとったり、家賃保証会社の保証を受けることによって、多大な家賃滞納被害は予防できる。

 しかし、室内での死亡事故については、死亡後の遺品整理等の手間がかかることも問題だが、孤独死して数日経って発見された場合には、次の入居者が決まりにくくなる。

 孤独死して数日して発見された場合、仲介不動産業者としては、精神的忌避の事実のある瑕疵(欠陥)のある物件として借り主に告知しなければならない。

 事実を隠して賃貸契約をして、後でそれがわかって、入居者が「それを(孤独死があったことを)知らされていたら借りなかった」と訴え、訴訟にでもなったら、損害賠償をしなければならないということもおこりうる。

 家賃の滞納であれば、1年も2年も滞納されることはないが、精神的忌避事実が原因で長期間次の入居者が決まらないということは大いにあり得る。

 でき過ぎで話しを作っているのではないかと思われるかもしれないが、この記事が新聞に載ったその当日にご高齢のご婦人に同様の内容の相談を受けた。

 賃貸契約の更新の際に、もう一度保証人の署名と印鑑証明を求められたというのだ。

 これは、通常行われていることでもあり、大きな問題ではないと思ったのだが、相談者は改めて保証人を頼むことや、保証人に印鑑証明書をとってきてくれと迷惑をかけるのはいやだというのだ。

 都会でマンションを処分して当地(宮崎県の北端の街・延岡市)に帰って来ているし、年金もあるので経済的に迷惑を欠けるようなことはないので保証人無しでやってもらいたいと家主と交渉したのだそうだ。
 
 家賃を3年分でも5年分でも前払いをしてもいいという理屈で交渉したそうだ。

 すると家主が、「もし室内で亡くなられたら、遺品整理とか後片づけが大変なんですよ」、だから保証人が必用なのだと言われたのだそうだ。

 相談者は、「遺品整理にかかる費用は十分残している。たとえ死んだとしても迷惑をかけることはない」と代憤慨で、私に移転先の相談に来たのだ。

 私は悪徳不動産屋。相談者の怒りはわかるが、家主の気持ちもわかる。

 遺品整理となると、お金の問題ではすまない。

 いくらお金を残してもらっていたとしても、相続人の了解がなくては遺品を勝手に処分することはできない。

 私も何件かのアパートをもっていて、人に頼まれて保証人無しで何人か引き受けたことがある。

 古くて、ずっと入居者が決まらない物件だってもので、自分が家主だから多少のリスクは背負っても貸そうと思って貸したのだが、80歳前の人を保証人無しで入居させたのには後悔した。

 入居の際には元気で、歩くスピードも人より早く、健康を不安に思うことなく契約をした。

 しかし、2年くらいして、久しぶりにあったら、げっそりやせて杖をついて、よたよたと歩いていた。

 その変わりように、どうしたのかとたずねてみたら、ひとり住まいでまともに食事をしなかったのが原因のようだった。

 2年前は60代の人と変わらないほど元気だったのに、すっかり80過ぎの老人になっていた。

 すぐに思ったのは孤独死。

 市内に身寄りはいないし、あとの処理はどうしたらいいものか。

 想像もしてなかったことで、ちょくちょく様子を見に行っていた。

 ある日、様子を見に行ったら、応答がない。

 不安になって、ドアをあけたところ誰もいない。

 次の日にも行ってみたが、やっぱり誰もいない。

 次の日も、いない。

 どうしたものかと思っていたら、この老人は自分で生活支援のヘルパーを頼んでいて、急に足腰が立たなくなって、ヘルパーさんの手配で病院に搬送し入院させたとのことだった。

 そして退院することなく亡くなられた。

 介護支援を頼まれた際に、介護会社が身元引受人をつけさせていたので、スムーズに部屋の明渡しをしてもらえた。

 また、ホームレスの人を入居させてくれと市役所の福祉課から頼まれて保証人無しで入居させたときにも問題が起きた経験をしている。

 入居者は放浪癖があってホームレスをしていたようで、生活保護で生活費と自分の部屋を持ったのに、また放浪の旅に出てしまった。

 福祉課からの連絡でそれがわかって、市役所の職員さんと空いた部屋を確認したところ、荷物らしい荷物はなかったが、壊れたような鍋と、何枚かの衣類と、ゴミと思えるようながらくたが残っていた。

 勝手に捨てるわけにもいかず、種役所の職員さん立会いのもとに、荷物を空いている倉庫に保管して、なんとこか事なきを得た。

 その後も、頼まれて保証人無しで入居させることはあるが、こんな経験から身元引受人だけはお願いしている。

 保証人というと金銭の保証人と勘違いした「保証人アレルギー」があって保証人になりたくないという人が多いので、家賃の保証の責任はないことを明記して身元引受人として契約書に署名をもらっている。

 しかし、悪徳不動産屋の私ではあるが、「死んだときのため」という説明はしない。

 ケガや病気で緊急に入院することになって、輸血や手術が必用になった場合に身内の同意を必用とする場合がある。

 もうひとつの理由は、ホームレスの入居者の話しを例にとって、損な場合の荷物の処理の立会人として身元引受人になることを了解してもらっている。

 当社に相談にお客さんに契約更新を要求している家主さんも、ストレートに亡くなった場合の話しをしたんじゃ、相手は気分を壊すに決まっているよ。

 次からは悪徳不動産屋を真似て、病気になって入院することになった場合に身元保証をする人が必用なんですよと説明すれば話しがうまく納まるというものだ。

  お分かりかな。善良なる家主さん。

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