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2016年9月 3日 (土)

悪徳不動産屋日記 駐車場の草刈②

 先月30日に駐車場の草刈にからむ、ちょっとしたトラブルのことを書いた。

 腹の立つ内容だったもので、怒りにまかせてかきなぐったから、つい長文になってもう一つ大事なことを言い忘れていた。

 それは、不動産の貸し借りや売買は、貸す側も借りる側も、それぞれの相手方にとっては世話をするばかりではなく、お互いにお世話になる立場でもあるというとことだ。

 不動産業者が自ら売主になったり買主になる場合は、不動産業者は、不動産の売買や賃貸を業としてやっている。

 だから、その相手方は一方的にお客の立場にあると言える。

 しかし、不動産の取引の多くは、一般の方が売主や貸主となり、買主・借主になる。

 不動産業者にとって、売主・貸主も、買主・借主も、等しく大事なお客様である。

 不動産業者はお客様に仲介手数料という形で報酬をいただく。

 不動産業者と報酬を支払うお客様との間には商取引が成立している。

 商取引だから仲介手数料の領収書には収入印紙を貼らなければならない。(ただし5万円未満の領収については非課税)

 それに対して、一般のお客様(不動産取引を業としない人)が自分の所有する不動産を売却する場合は、それがたとえ1億円の不動産であっても領収書に印紙をはる必要はない。

 印紙税法では、営業に関しない領収金額については非課税となっているのだ。

 つまり不動産の取引においては、仲介にからむ不動産会社にとって、当事者の双方がお客様ということであって、当事者同士はどちからが一方定に相手方にお世話になるというものではないのだ。

 言葉に語弊はあるが、商取引であれば、お客として代金を支払う側が偉くて、買ってもらって代金をいただく側が弱い立場になる。

 こと不動産取引に関しては、売主・貸主と買主・貸主は同等の立場に立っている。

 売主は、買って(借りて)いただく立場であると同時に売って(貸して)やるという立場でもある。

 そして、買主は買って(借りて)やる立場であると同時に売って(貸して)いただくという立場にあるのだ。

 それなのに、つい買主(借主)側に立つ人は自分がお金を支払う側だから自分だけがお客であると勘違いする傾向がある。

 私の言わんとするところがわかりにくいかもしれないので、30日のブログを例にとって説明すると分かりやすいと思う。

 駐車場の借主は、草が伸びすぎて車が停めにくいので草を刈ってくれと要望してきた。
 これは同然のこと。

 地主は借りてもらって駐車料金をいただいているのだから、駐車場として使うのに差し支えの無いように整備しなければならない。

 しかし、30日のブログにあった出来事は、草刈を要請して4~5日たっても草刈をしないことに対して借主が怒り、「俺は金をはらっているんだぞ。どうなってるんだ。」と貸主をはげしく責めた立てることになった。

 借り手の気持ちはわかる。

 しかし、貸主も不動産取引においては一般人(素人)。

 「そんなに、やかましく言われるのなら、借りてもらわなくても結構。もう貸さないと言ってくれ」という話になった。

 地主にとって空き地を貸さないという自由もあるわけで、地主がそうしたいと思えば駐車場の賃貸借契約を解約することについては何の問題もない。

 駐車場の賃貸借については借地権は発生しないから、貸主・借主ともにいつでも解約できる。

 駐車場として借りているのは、自分の家や職場から近いから借りているわけだ。

 もし地主が本気で契約を解除したら、借主は非常に困ることだろう。

 今の駐車場は自分の住んでいるアパートの目の前にある。

 もしここに置けないとなると、どこか駐車場を探さなくてはならない。

 このすぐ近くに駐車場はない。
 
 ちょっとはなれたところに駐車場はあるが、そこが空いていればいいが、空いていないときは車の何百mも範囲を拡げて探し回らなければならないだろう。

 かくのごとく、自分の立場を中心にものごとを考えると、自分が一方的に相手側に世話をしていると思い込んでしまうのだ。

 「気に入らないのなら、貸さないよ。どこかほかをかりてくれ。」と言われて始めて、自分が車を犯せてもらっている立場だと理解することになる。

 靴とか洋服とか、電化製品とか車とか、パンとかお菓子とか、同じものがどこでも手に入るものであれば、店の対応が気に入らなかったら、「お前の店では買わん」と怒鳴りつけ、他の店に行けばいいだけのことだ。

 しかし、こと不動産についてはまったく同じものは存在しないと言える。

 自分のアパートに近いから駐車場として借りるわけで、1㎞先にもっと整備されて安い駐車場があったって、そんなものは役には立たない。

 不動産の場合、支払う対価が自分にとって便利さや環境といった物理的利益に見合うと思ったときにのみ契約が成立するものだと思っている。

 私が不動産業をやっていられるのは、その点につきる。

 売る側と買う側が、原則的には同等の立場にあるわけだ。

 買ってください(借りてください)、売ってください(貸してください)と、ひたすらに頭を下げることはしなくていいのが不動産業の仕事だと思ってきた。

 だから私は、相手の足元を見て一方的に値切る人や、その逆にどうしても欲しい人を相手にすると、べらぼうに高くで売りつけようとする人には怒りを感じてしまう。

 しかし、私は不動産業を仕事としてやっているのだから、そんな風に自分の立場のみを主張するお客様にも、怒りの気持ちを抑えて商談をしなければならない。

 それはじゅうじゅうわかっているのだが、正確がネジ曲がっていてわがままだものだから、自分の立場のみを主張し続けるお客さんを相手にすると、すぐにぶちぎれて、「気に入らなければ買わなくて(借りなくて)結構。売ってもらわなくて(貸してもらわなくて結構」という態度が顔に出てしまうのだ。

 私は商売として不動産をやっているから、私が売主になる物件を値切り倒すのはいい。
 しかし、仲介の仕事では売主は商品として不動産を売却しているわけではない。

 なにかの事情でご自分の財産を換価しているわけだ。

 大事なお客様の財産をけなしまくって値切り倒すのは失礼な話しだ。

 私は度量が小さいもので、度を越した値段交渉をしてくるお客さんには、それを伝える。

 おそらく、そんなとき私は、不快感をみなぎらせているはずだ。

 かくしてまたしても私は、悪徳不動産屋と呼ばれることになる。

 そんな私が、にっこりとやさしく商談をお断りすることがある。

 私が自ら売主となった商談の場合に、許しがたい値切りを受けた場合に、私はやさしく微笑んで、「あなたには売りません」と申し上げる。

 仲介業務の場合は、それが多少常識外の値切り交渉であっても、自分の一存で断ってしまうことはできない。
 
 もしかしたら、売主さんはそれでも売ってしまいたいような事情があるかもしれないからだ。

 しかし、自分が売主の場合は自分の判断で決定できる。

 常識にはずれた値切り交渉がきたら、満面の笑みで「あなたには売りません」と言うことにしている。

 そう答えた場合、ほとんどのお客さんが、あっけにとられてポカンとした顔をする。

 「売りません」と言われることなどまったく想像していないからだろう。

 売る人(貸す人)、買う人(借りる人)が、それぞれ同じ立場で、相手の立場を慮る。
 そうあるべきで、そうするべきですよとお客さんに言えるのが不動産業で、それをまかり通らせることができるから、私のようなわがままな者がなんとかこれまで生きて来れたのだなあと、改めて感じ入った。

 賃料月々3000円の駐車場の話から、あらぬ方向に話しが進んでしまった。

 本当は、もう一つ、別な駐車場のことを書こうと思って書き始めたのだけど、前置きとして書き出したことがついつい長くなってしまった。

 もう一つ書きたかったとことについては、また明日ということにする。

 明日の話しの方が、わかり安いですよ。乞ご期待。

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