悪徳不動産屋日記 駐車場契約 解約
一昨日書こうと思っていたのだが、話しの導入部分が長くなって書けなかった話しをしよう。(一昨日書いてアップしていたつもりだったが、アップできていなかったので昨日の記事にしたつもりで、またアップができてなくて、今日の記事にすることになった。惚けかなぁ?)
先月の30日、駐車場の草刈のクレーム電話の話しを書いた。
昨日は、その話しに関連する話しを書いた。
私は常々、不動産の売買(貸し借り)については、売る側(貸す側)と買う側(借りる側)、ともに相手にお世話になっていることを理解してもらいたいと考えている。
往々にして、お客さんは自分だけが客だと勘違いして、取引の相手方もまた一般消費者であるということを忘れている。
何度も申し上げるが、多くの場合私たち不動産業者は、売手(貸手)と買手(借手)との間を仲介する仕事をしている。
常に相手方がいて、相手の都合も尊重していただきたいのだが、お客さんにはなかなかわかってもらえない。
お客さんは、自分の立場だけでしか物事を考えられない。
その煽りを受けるのが不動産業者ということなる。
買う(借りる)からとり置きしてくれと言っておいて、いきなり、悪びれることもなくキャンセルをする。
案内を予約していて、当日のキャンセルということもある。
逆に、売る(貸す)と言っておきながら、土壇場で売らないという人もいる。
不動産業者は、お互いの都合を調整して日程を組んでいるのだが、当事者の一方の勝手な都合でキャンセルになった場合、迷惑を受けた側のお客さんは、約束を破った相手側に腹を立てるべきなのだが、その怒りは不動産会社に向かうことが多い。
「忙しい中、せっかく時間をとったのに、どうしてくれるんだ。約束を守ってもらわないと困るよ。いい加減な連絡をしているんじゃないか?」などと、お叱りを受けることになる。
不動産業者は、自分は何の手落ちもないのに、ひたすらお詫びすることになる。
30日の駐車場の草刈の問題も、これと似たような話しである。
地主にぶつけるべき怒りの矛先を私に向けてきた。
自分は客だぞという言葉も出た。
それに対して貸主は、「あまりやかましいことを言うなら貸さないと言ってくれ」と、私に言ってきた。
喧嘩をすべき当事者の双方が、無関係の私にそれぞれの不満をぶつけてきた。
普通に立派にやっておられる不動産業者さんは、これも不動産屋の宿命と黙って受け入れているのだろうが、私は悪徳不動産屋。
黙って引きさがってはおれないのだ。
それが、30日と昨日のブログになった。
実は、31日に駐車場の解約の問い合わせが入た。
その話が、貸手・借手がお「お互いさま」の立場にあることが理解できる話しだった。
昨日は、その話しを書こうとしていた。
それは、こんな話しだった。
先月10日に駐車場の申込みが入った。
その駐車場は当社所有の駐車場だった。
5日に空いたばかりで、すぐに借手がついて当社としても嬉しい話しだった。
借手は、法人。旧財閥系の上場企業で、当地(宮崎県の北端の街・延岡市)に仕事の関係で短期駐在する社員のための駐車場だった。
契約期間の予定は9月から来年の3月までということであった。
当社が地主なので、私は即座に了解した。
先方要望どおり、本社あてに家賃請求書と契約案をファックスした。
当社の駐車場契約の内容はいたって簡略にしている。
請求額は賃料1カ月のみ。当社が貸主なので、仲介料は発生しない。
すると、実際に車を停めるのは9月3日からだから、9月3日からの契約にしてもらえないかとの要請がでた。
当社が地主だから、即座に答えが出せる。
「それはお断りします。地代発生まで20日以上あるけど来月1日からの地代発生にしております。1日からの契約でお願いします。」と答えた。
実は、昨日もう1件問い合わせが入っていたのだが、そのお客さんの返答の前に今回の電話が入ったのだ。
ぜひ直ぐに借りたいというから商談をすすめていたのに、契約は来月からだというので、ちょっと損をしたなと思っていた。
もう一人の人なら、8月から借りたかもしれないのだ。
わずかなことだから、確実な方に借りていただいたほうがいいと思って話しをすすめていたのに、たった3日間の家賃まで差し引けというのか。
わずかな金額だというのであれば私の方が相手に合わせて差し引けばいいのだけど、ここが悪徳不動産屋。
わずか3日分をまけたくないのだ。
これで断れても結構。当社が地主だから損をするのは自分。
お客に損をかけるとなると私の勝手な一存では返答できないが、こんなとき、当事者の立場は気持ちが楽である。
私の「1日かちの契約でお願いします」に、相手は納得した。
かくして、先月(8月)中に契約締結。
9月分の駐車料の振り込みもあった。
その手続きが終って3日と立っていない31日、先方の担当者から電話が入った。
明日からの契約だから、駐車位置の確認かなと思って電話に出た。
すると、電話は思いもよらない内容だった。
「すみませんが、駐車場の契約を解約することになるかもしれないのですが、その場合違約金等はどうなりますか」というのである。
当社の駐車場契約は、違約条項を定めていない。
一カ月前の予告によって解約できることにしている。
だから、受領済の9月分の駐車料は返金できないが、それ以上の違約金は発生しない。
そう伝えると、「わかりました。解約するかどうかはっきりしましたら、また連絡します」ということであった。
しかし、私の立場ではそれは迷惑なのである。
もう一人問い合わせのあった人が、ぜひ貸してもらえないかと言ってきていたのだ。
今回契約した法人との契約は来年3月までの短期契約。
もう一人の方は、通常の契約。
すぐに契約解除になるのであれば、もう一人の方に借りていただきたい。
現在契約している法人が今月末とか、来月になって解約になったと場合には、現在申込みのあっている人は他を借りているだろう。
不動産はタイミングの商売で、空いてしまうとしばらく空いたままになることが多い。
中途半端なタイミングで解約になるのであれば、即座に解約してもらいたい。
他方の申込みのあった方に電話して、駐車場の空きが出そうだが借りていただけるかと聞くと、ぜひお借りしたいという返事であった。
それで私は、先程電話をもらった担当者に電話した。
「申し訳ありません。先程問い合わせいただいていた解約の件はどうなりましたか」
すると、「まだ、結論は出てません。引き続き借りることになるかもしれないけど、解約するかもしれません」との返事であった。
「いつになったらはっきりしますか?」
「それが今のところ、なんとも言えないんですよね。すぐに解約することになるかもしれないし、一カ月先になるかもしれないし、ひょっとしたらこのままかりるかもしれないんですよ。」
なんとも、これでは当社の立場は不安定なまま相手の都合を待つことになる。
そこで私は妙案を思いついた。
「申し訳ありませんが、当社の方から解約させていただきたいのですが、いかがでしょうか?申し上げました通り、契約解除についての違約金条項はありません。借主の御社にも違約金は発生しませんが、貸主の当社から解約しても違約金は発生しません。できたら、解約させていただけませんでしょうか。」
相手は、あっけにとられたようだった。
借手は借手の立場でしか者を考えない。
貸主は駐車場を商売でやっている。自分は、そのお客。
お客側としては、貸す側から解約されるという発想がなかっただろう。
最初に解約についての問い合わせがあった際に、私は「駐車場契約については、解約に違約金は発生しません」と答えた。
その時点では当社からの解約ということは考えていなかったのだが、相手がいつ解約してくるかわからず、当社の立場は不安定な状況におかれている。
ずっと不安定な状況に置かれたままというのでは困るなと思った末の発想だった。
借手側も、私から解約の申し出をされて始めて、『貸してもらわないと』自分が困るということを実感することになった。
これが私の持論。
「借りてやる」という立場だけでなく、「貸してもらう」という気持ちを持っていただきたいのである。
不動産の取引では、「買ってやる(借りてやる)」「売ってやる(貸してやる)」ではなく、「貸していただく」「借りていただく」という気持ちも持っていただきたいのだ。
かくして、私は悪徳不動産屋の道を歩み続けるのである。
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