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2017年2月11日 (土)

私の性格の悪さは正当

 朝日新聞土曜版「be」に「悩みのるつぼ」という人生相談みたいなコーナーがある。

 人の悩みなんてあまり気にしないので、めったに見ないのだが、ときどき、自分が回答者ならどう答えるだろうかと回答を考えてみることがある。

 興味のある質問に対して、新聞の回答者の答えをみる前に自分の答えを書いて回答者の回答と比べてみるのだ。

 文章作りの練習を兼ねて、ゲーム感覚での時間つぶしだ。

 私の回答は回答者の回答とは違っていることも多いが、似かよった意見の時もある。

 我ながら、自分の意見の方が回答者の回答より説得力のある回答だなと自己満足に浸ることもある。

 今日の質問は、質問をみた瞬間に、私のねじ曲がった性格には最適の質問だった。

 質問者は、国際結婚をして二人の育てている40代のシングルマザー。
 離婚後も旧姓に戻していないので、国際結婚だとすぐわかる。

 それで、しばしば腹立たしいことがおこるというのだ。

 「旦那さんはどこの国の人ですか」

 「どうやって知りあったのですか」は日常茶飯事。

 親しくもない礼儀知らずな人たちが、プライバシーに踏み込んだ質問を平気でしてくる。

 国際結婚ではない人には、普通なら聞けもしないようなプライベートな質問をぶつけてくる。

 子供のつながりで表面的ではあるがつきあいがあるので、悔しさを飲み込んで仕方なく答えている。

 答えた後には、自分への腹立たしさと悔しさが残る。

 そんな質問への機転のきいたスマートな対処法があったら教えてほしいという質問だった。

 私が質問者の立場だったら、そんな失礼な質問をする奴らには、こう反応する。

 「あなたのご主人は日本人ですか?」

 日本人だと答えたら、「生まれはどちらですか?」

 「何歳ですか?」「仕事はなにをされているんですか?」「会社はどちらですか?」「お勤めになって何年になるんですか?」「役職は?」「年収はいくらくらいですか?」「ご主人とはどこで知りあったのですか?」「ご主人とはいまでも仲良くやってますか?」等々。

 あちらの質問に答える代わりに、ニコニコしながら質問を浴びせてはどうでしょう、というのが私の即座にひらめいた答えだった。

 自分なりの回答をひきだした後、紙面の回答者の回答を見た。

 回答者は、社会学者 上野千鶴子さん。

 回答は、「好きだわあ。こういう相談。待ってました!以下、性格悪い系からボケ系まで各種とりそろえましたから、お好きなのを選んでください。」と始まっていた。

 まず、質問には質問で返す。

 「どこの国だと思う?」「○○でしょ」「ハーズレ」「××かしら」「ハーズレ」「△△かな」「それもハーズレ。あなたにはわからないでしょうね」とニッコリする。

 次に、いやみ作戦。

 「そういうあなたのお相手はどこの国の人?あっらあ、ニッポンジン。平凡ねえ」

 突っ込み返す作戦。

 「それ聞いてどうなさるの?」「あなたに何か関係がある?」「またこれ?さっきも聞かれたばかりなのよね」と冷たく突っ込む。

 または、柔らかく「ふふ、どうしても知りたい?」「教えてあげてもいいけど、タダじゃあね」というのもある。

 煙に巻くというのもあった。「宇宙人です」

 こつは、あくまでていねいに、しれっと、そしてニッコリと。ということである。

 性格悪い系の答えは、私の答えと同類。

 私と違って、社会学者の先生だから、この後にためになる人生訓と、質問者以上に苦しんでいる子供さんに対する助言を付けくわえられていた。

 我が意を得たりの、愉快な回答であった。

  案外、私の性格の悪さは正当性のあるものなのかもしれないなあ。

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