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2017年3月 3日 (金)

悪徳不動産屋日記 不愉快な相談

 急ぎの事務処理をしているところに来社。

 手には、大きな封筒を持っている。

 資料かなにかが入っているのだろう。

 「〇〇さんの紹介で、土地のことでお伺いしたいのですが・・・」

 「〇〇さん」という名前は聞き取れなかったが、まずは椅子をすすめる。

 「どういったことでしょうか?」とこちらから切り出す前に、土地のことで相談があるのだが、まず相場を教えてほしいのだ言う。

 場所を聞くと、調整区域(建築ができない地域)の土地。

 相場と言われても、めったに取引がないところで、参考事例がない。

 相場というのは取引があってこその価格。

 土地の値打ちは、建物を建てるためのものであって、建物が建てられない土地ではなかなか買い手はいない。

 農地として取引するのであれば、坪当り数千円でしかない。

 駐車場として利用するのであれば、もう少し高くなってもいいかもしれない。

 調整区域でも建築の許可がとれる場合があって、その場合坪当たり4万円程度で取引された事例はある。

 来店者の相談というのは、この土地を近所の人が売ってほしいと言っているので、どのくらいで売ればいいかといいうことが一つ。

 もう一つは、その土地の中に他人が勝手に建てた建物が放置されているので、その建物の処理をどうしたらいいかという相談であった。

 来店者は手に持っている封筒から書類を出した。

 書類は、その建物の処理についての調停書だった。

 日付は昭和50年代。

 調停では、月々?(よく見なかったので年間かもしれない)3000円の地代を支払うこととなっていたが、地代を一回ももらったことはないのだと言う。

 話し合いをやって解決がつかないから弁護士に頼んで調停をして、その後、調停の約束を守らない相手を40年以上も放置してきたものを、どうしてくれというのだろう。

 そんな相手に、いまさら、なんとかしろといっても、なんとかしてくれるはずはない。

 どうにも助けようがない。

 こんな難しい問題を解決して、売買の取引を手伝ってもらえないかということだ。

 私は悪徳不動産屋。悪い性分がでてしまう。

 相手の気持ちを無視して答えを出してしまうのだ。

  まずは、「欲しいという人がいるのであれば、その人の希望する価格で売ったほうがいですよ」と即答。

 実際、このような地域は、買手の希望価格に合わせないと取引が成立しない。

 すると来店客は、「買う人は安く買いたいから、相手の希望を聞いたら安くなってしまうから、目安になる価格を知りたい」と言う。

 それが人の常。そんなことはわかっている。それを承知で、相手の希望する価格で売った方がいいと言っているのだ。

 それでも少しでも有利に売りたいからの相談だ。

 来店客は、物腰が柔らかくて人が良さそうだが、やはり欲をもっている。

 私の悪い癖で、欲を隠して良い人を演じていると、その皮をはがしたくなる。

 当初の話が、欲しいと言っている人がいるので、間に入って話をまとめてもらいたいという話であれば、困難が予測されても、精一杯努力をしてみる気になっただろう。

 しかし、話はまずは相場を教えてくれということから始まった。

 そして、不法に放置されている建物をどう処理したらいいかの相談。

 さらには無料で車を置かせている人についての処理の相談。

 私は、その一つ一つに、私なりの考えで即答してしまう。

 中でも、無断で建ててそのままになっている建物については、過去に調停までやってその後放置しているのだから、相当気持ちを強くもって交渉しないと解決しないという見解を説明すると、近所の人だからもめたくはないとおっしゃる。

 穏便にいきたいのだという。

 穏便にいきたくて40年も50年も放置してきたわけだ。

 この土地を売主の希望価格で仲介するとしたら、手数料は10万円程度。

 弁護士さんに建物撤去の裁判を依頼したら、まずは着手金で20万円は要求されるだろう。

 田舎の荒地のことで土地の境界は不明確。

 不動産業者として売買の仲介をするのであれば、境界の確定もしなければならない。

 境界確定を土地家屋調査士に依頼すれば、やはり20万円くらいはかかるだろう。

 その前に、購入を希望している人との価格交渉。

 買手の心理としては、ずっと放置状態の土地だから、安く変えるだろうといったところだろう。

 買手の希望価格で売買が成立したとすれば、手数料は10万円以下になる。

 不動産業者の手数料は、売買価格の〇%と定められており、どんなに苦労しても、規定以上の手数料をもらうことは法律違反になる。

 ここでまた、悪徳不動産屋の本領発揮。

 「正直言って、これは、受けたくない仕事ですね」

 それでも相手に、お願いしたいという気持ちが見えれば断れない。

 そんな私の気持ちとは無関係に、来店客は、とにかく自分の聞きたいことを私に聞いてくる。

 私の性分は、聞かれたことには即答。

 そんな中で、私が一番言いたいのは、もめごとをきれいに解決しようと思ったら闘う気持ちを持たなければだめだということ。

 裁判所で調停の約束も反故にされているのだから、一筋縄ではいかないはずだ。

 所有者は穏便にやってほしいと私の後ろに隠れていて、私が一人闘うのは嫌なのだ。

 仕事として受ける気持ちはなかったが、いろいろ話す中で浮かんだアイデアを教えてあげた。

 それは、購入希望者は近所の人で状況がわかっているのだから、無許可の他人の建物の問題を買い手が引き受けるという条件で売ってはどうかというアイデアだ。

 そのかわり相手の希望価格で売却するという案だ。

 安くうるかわりに、もめごとも引き受けてもらうというわけだ。

 われながらの妙案であると思った。

 不動産業者としては、このような取引では、後々もめごとに引き込まれるかもしれないし、しかも報酬額は10万円未満なのだから、やりたくはない。

 すると、「それでいいんですね」と念を押してきた。

 ここで、またまた悪徳不動産屋の悪い根性が飛び出してしまった。

 無料の相談で助言して、責任をとらされたのでは、たまったものではない。

 「それでいいかどうか責任はもてない。ただ、弁護士を使って調停までやって、その後何十年も解決してこなかった問題が簡単に解決できるとは思えませんよ。それで思いついた解決策のひとつですよ。」

 おそらく、この案なら話しは進むだろう。

 アイデア料をもらいたいくらいだ。

 そう思いつつ、具体的な方法をまくしたてる。

 このあたりになると、自分でもムキになっているのがわかる。

 相手にもそれが伝わる。

 「わかりました。なんとなくやり方がわかったような気がします。」

 そう言って、来訪者も不快な面持ちで立ち上がった。

 またしても、悪い評判を触れ回る人を作ってしまった。

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