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2017年5月12日 (金)

悪徳不動産屋日記 重なるときは重なるもの

 不思議だが、重なるときは重なるものである。

 先月は、2年近く空いたままになっていた店舗が2件成約になった。

 これが、まったく同時進行で、家賃もほぼ同額。

 2LDKの貸家と同じ程度の家賃なのだが、家主との間の交渉事は2000万円クラスの売買物件より手間がかかったのも、また同じ。

 今日は、店舗物件の案内依頼が入った。

 空いて半年以上になる物件で、結構条件がいいのだが、店舗物件にはあまり問い合わせが無い。

 今や、ホームページの威力は絶大で、当社のような小さな不動産屋の数少ない物件にも問い合わせがある。

 最近のお客さんの傾向は、ホームページで物件を確認して、あらかた気に入って、さらに内容を見たいときに連絡をして来られる。

 そして、そのまま現地集合での案内を希望される方が多い。

 本来なら、会社に来ていただいて、賃貸条件等の説明をして、お客さんの個人情報を確認した上で案内したいのだが、お客様の希望どおりに案内することにしている。

 当地(宮崎県の北端の街・延岡市)においては、他の地方都市同様、交通手段は車。

 一家に一台というより、一人に一台の世界。

 市内の主立った地域であれば、大体車で15分もあれば移動できるから、現地に直接行った方が手間がかからないといったところなのだ。

 今日の案内も、午後1時半という時間指定での案内になった。

 家賃は手頃で、5、6台駐車可能という物件だから、なかなか条件は良い。

 私も、不動産屋のはしくれだから延岡市内の不動産の状況は承知しているのだが、駐車場が3台以上ついている貸し店舗はあまりない。

 事務所的に使うのであれば優良物件であると思っている。

 約束の1時半にお客さんを案内。

 私はあれこれ説明するのは苦手。

 まずは、自由に見ていただくことにしている。

 広さと立地、家賃には大きな問題は無く、まあまあ気に入っている様子である。

 お客さんから、あれこれ条件的な問題について質問が出て、それに答えていた。

 そこに、私の携帯に他の不動産会社からの電話が入った。

 とりあえず用件を聞こう思って電話をとると、ちょうど今案内している物件についての問い合わせだった。

 問い合わせというより、その不動産会社も家主から賃貸の依頼を受けていて、そちらの会社で決まりそうなお客さんがいるので家主に連絡をしたところ、当社に連絡をして了解をとってくれと言われたとのことなのである。

 もともと当社と、もう1社別な会社(A社としておく)に依頼しているのは承知していたが、今日の会社(B社としておく)にも依頼しているとは知らされていなかった。

 当地では店舗物件は非常に動きが悪い。

 1年2年空いたままの物件はあたりまえ。

 下手すると5年10年空いたままという物件も珍しくはない。

 私は家主とは幼なじみというような関係だったから、手数料の問題を度外視してなんとか早く決めてあげたいと思って、力を入れていた。

 A社は当社と非常に仲のよい会社で、社員の方々も全員当社に好意的な会社であった。

 私の動きを知ってか知らずにか、この物件に関してA社は遠慮気味な営業をしていて、入居者募集のポスターも当社のポスターのみであった。

 そこにB社からの電話。

 なんと案内中の商談煮詰めの最中である。

 家主とは話しをして、家賃も多少安くしてもらって話しを進めているとのこと。

 今私も商談中だと答えたが、あっさりひきさがる雰囲気は感じられない。

 B社も中の良い会社なのだが、若い社員さんで、仕事熱心なあまり、あっさりは引き下がれないということだろう。

 案内中のお客さんを目の前にしての電話であったから、お客さんも話しの内容はわかったことだろう。

 私は電話を切ったあと、お客さんに「他の不動産会社が、自分の方に気に入っているお客さんがいて家主には了解を取っていると言っている。あなたが今すぐ借りるということなら、この不動産屋の商談を断ってもらうが、すぐに結論が出せないなら、この不動産屋のお客さんに話しを譲ってもいいですか?」と聞いた。

 ほんとうに不思議なもので、不動産の商談は重なるときは重なるもの。

 まったく話しがなかった物件なのに、一つ商談をしていると重複して商談がかかるということは良くある話しなのだ。

 それにしても今日の話しは極端な例である。

 案内しながらの商談中に他の業者と競合する商談が入ったわけだ。

 通常の不動産屋さんだったら、嘘をついてでも自分の商談を優先させるのであろうが、私は家主の利益を優先することにしている。

 競合した商談がある場合、どちから一方を優先して話しをしていて、優先していたお客がキャンセルになったとき、待たせていたお客も借りない・買わないということが多い。

 私は、買うかもしれないから私を優先してくれという話しは受け付けないことにしている。

 「間違いなく買う」「間違いなく借りる」という決定をもらうまでは、常に同時進行で商談をしていくことを原則にしている。

 買いたい(借りたい)から物件を抑えておいてくれと言って、何日間も話しをひっぱったあげく、いとも簡単にキャンセルしてくるお客さんというものを山ほど経験している。

 だから私の信条は、こちらから契約を急かすこともしないけれど、とり置きすることもいたしません。

 常に他の商談も同時進行していることを理解してください。

 その際、他の商談が入っても報告しないまま他との契約になることがあることも了解してもらうようにしている。

 不動産屋の手口として、契約を急がせるために他のお客さんでさんで売れかかっているいうやり方があって、それと勘違いされるのも業腹なのだ。

 これは私の師匠の教えでもあるのだが、私は「せかせることもしないが、お取りおきもしない」ということを原則としている。

 今日の話しは、普通の貸家並の家賃の賃貸物件。

 他の不動産会社を相手に取り合いするような話しではない。

 おそらくB社としても、今から案内するということなのだろうが、話しはわかりやすい方が良い。

 私は、目の前のお客さんに対して、「お客さんが間違いなく借りるという裏付け無しに家主に私の商談を優先してくれとい言えないので、他の不動産屋さんの商談が同時に入ります」と伝え、家主にもB社にもその旨伝えた。

 借りるかもしれないと思っているお客さんにとっては、私はお客さんの希望を無視する悪徳不動産屋と思えるようだ。

 しかし、不動産仲介という仕事は、利害が対立する売主(貸主)と買主(借主)の間を調整する仕事。

 どちらかのお客さんを一方的に味方すれば、他方のお客さんの利益を奪うことになるのだ。

 不動産屋を楽にやろうと思ったら、自分の利益を中心に仕事をすることだ。

 だけど悪徳不動産屋の私はそれができない。

 自分の正義の天秤にかけて、不公平になりすぎる話しは受け付けない。

 それがときとして、お客の意向をないがしろにすることになる。

 ときには、お客さんに説教をたれる。

 かくして私はまたしても悪徳不動産と呼ばれることになる。

 話しを本題の、今日の店舗の商談に戻そう。

 この店舗は、当社が仲介したお客さんが1年ちょっとで退去したので、責任を感じていた。

 退去して5カ月になるが、なんとか早く決めなくていけないと精神的にも圧力を感じていた。

 今回、B社が決めてくれればその重しがとれるし、もしB社の話しが決まらなくても、私の体にのしかかっていた重しはなくなる。

 万事めでたし、めでたしの話しであった。

 

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