日経新聞らしい食レポ。 ウナギの代替品「ウナギもどき」のウナギ度は?
夏のスタミナ食といえばウナギ。
ウナギといえば土用の丑の日。
今年は土用の丑の日が7月25日と8月6日の二回ある。
そのウナギだが、世界の科学者らで組織する国際自然保護連合から絶滅危惧種に指定され、取引が規制される可能性が高くなっている。
近畿大学の有路昌彦教授は「ヤンバルクイナを食べるようなものだ」とまで言っている。
そうなると、今でも高級食材となっているウナギが、庶民にはまったく手の届かない存在になるかしれない。
そこで、ウナギに代わる「ウナギもどき」が数多く出回っている。
その「ウナギもどき」のウナギ度を試すとして、日経新聞の土曜日別版「プラス1」に食レポ記事が掲載されていた。
完全養殖マグロで有名な近畿大学の「近大発ナマズ」。一正蒲鉾のウナギ風味蒲鉾「うな次郎」。野菜系の「ナスの蒲焼」。肉系から「豚肉の蒲焼」。ナマズ系の「パンガシアス」。
テレビ大好きおじさんとしては、登場しているすべての「ウナギもどき」をテレビ番組で見ている。
テレビの食レポレポーターによると、どれも「すごーーい。まるでウナギですねーー。」であった。
テレビの食レポ番組を見ていて、私が一番食べてみたかったのが風味蒲鉾「うな次郎」。
インターネットで調べたら、通販でも手に入りそうだったから、そのうち注文してみようと思っていた。
「ナスの蒲焼」も、行列ができる有名店があった。
「近代発ナマズ」は、養殖マグロに続いてウナギとばかりに、ウナギの肉質に近いナマズにたどりついたというふれこみだった。
食レポレポーターは、「うわーー。ウナギと見分けがつかないですねー」と絶賛していた。
「豚肉の蒲焼」も「パンガシア」というナマズも、みーーんな、「まるでウナギ」という感想であった。
果たして、日経新聞の大久保潤記者の取材やいかに。
まずは、「近大発のバチもん(ニセモノ)でんねん」と、自虐的に「ウナギ味のナマズ」をPRする「近大ナマズ」。
近大の有路教授は、ブラックバスや雷魚まであらゆる淡水魚を蒲焼にしたが、「まずくて食えずことごとく失敗した」のだそうだ。
養殖の現実味も考えてナマズに落ち着いたが、餌によって味が全くかわることがわかった。
試行錯誤を重ね、6年かけて、泥臭さがなく脂が乗ったウナギの肉質に近いナマズにたどりついたというものだ。
この「近大発ナマズ」は2016年にイオンが販売を始めている。
「近畿大学有路教授監修なまずの蒲焼」として売られている。
大久保記者は、この蒲焼を買って帰り、自宅で温めてご飯に乗せて食べてみた。
その感想は、「食感と味は高級な白身魚という感じ。悪くはない。ただ、目をつぶって食べても、うな重と間違うことはない」というものだった。
6年の試行錯誤を重ねた結果が、「うな重と間違うことはない」という代物だった。
ベトナム産のナマズ「パンガシウス」というのも、イオンが販売している。
近大ナマズよりもふっくらとした味わいで、記者の娘さんは「おいしい」と歓声をあげたらしい。
記者による結論は、淡白な白身魚なら、甘辛いウナギのタレで蒲焼にするとウナギっぽい味になるということだった。
次にスーパーのウナギコーナーで売られていた「炭火焼き風 豚蒲焼」については、こんな感想を述べていた。
「豚肉がウナギの代替品?と思いつつ食べた。甘辛いタレで焼いた豚肉。うまいにきまっている。でもこれは豚丼だ。」
じつにストレートでわかりやすい感想。
「ナスの蒲焼」についての感想が、私がこの記事を取り上げたくなったものであった。
「わくわくしながら食べる。食感も良いしご飯も進む。でもこれは甘辛いナスだ。目を閉じて食べる。ナスだ。夏のナスはうまい。」
一刀両断。実に潔い食レポだ。
テレビの食レポに何度だまされたことか。
身をよじって、「うわーーー。おいしーーーい。まるでウナギですよねーー」となる。
それで、私が一番気になっていたのが、テレビで紹介されていて、通販で買ってみようかと思っていた風味蒲焼「うな次郎」。
テレビの食レポーターによると、言われなければウナギだとばかりに絶賛していた。
風味かまぼこの象徴ともいえる「カニかま」のシェア1位の「一正蒲鉾」が、昨年の土曜の丑の日に合わせて発売しているものだ。
大久保記者の「うな次郎」の感想はこうだ。
「一口食べると(かぼぼこ特有の)ぷりっとした食感が無い。『かまぼこ感はないですね』というと、一正蒲鉾のマーケティングかの小林さんは『それは褒め言葉です。うなぐの独特の食感に近づけるのに7年かかりました』と言う。皮目もウナギに似せ、見た目のウナギ感は強い。ご飯との相性も浴、最後までおいしく食べられた。
残念ながら食味についての記述がやや不明朗である。
記述の中で「見た目のウナギ感は強い」と書いてあるが、味については「ご飯との相性が良く、最後までおいしく食べられた」という表現で、食味がウナギのようだとは言っていない。
見た目はウナギ感が強いと強調していて、食味にそれがないのは、食味はウナギそのものとはいえないというところなのだろう。
冷静になってみると、通販だと数量をまとめないといけないし送料もかかる。
期待し過ぎて取り寄せてみて、食べてみたらがっかり、支払った金額考えると本物のウナギを食べた方が良かったということになっていただろう。
ウナギが食べたければ、スーパーの蒲焼を買うか、ちょっと奮発してウナギ屋さんで食べることにして、「ウナギもどき」の「うな次郎」については、スーパーに出回ってくるのを待つことにしよう。
それにつけても、こんな冷静な食レポ記事を書いてくれるから、日経新聞の記事が公正で正確に見えるんだなー。
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