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2017年7月20日 (木)

「延岡まちゼミ」で、髪を短く切ってきた。

 当地(宮崎県の北端の街・延岡市)の商店が、街の活性化のひとつとして「まちゼミ」というイベントをやっている。

 「まちゼミ」というのは、「延岡市内のお店の方が講師となって、専門店ならではの知識や情報、プロの技などを無料でお伝えする少人数制のミニです。安心して受講して頂くため、お店からの販売・勧誘は一切ございません。」というものである。

 「まちゼミ」については、地元限定ローカル紙「夕刊デイリー新聞」やら、市の広報誌などで講座の内容紹介をみかけていて、面白い企画だなーと思っていた。

 どんな講座があるか、ちょっと列挙してみる。

 
 「フェイシャル・デコルテ・リンパマッサージ?」
 「毛穴エステ&簡単つやハリマッサージレッスン」
 「顔立ちを生かす美眉づくりレッスン」
 「男の薄毛をかっこよくみせる方法」
これらは化粧品店や美容室理容室が講師になっているのだろう。

 「家族でかんたん!頭のマッサージ教室」
 「肩こりに効く!自宅でカンタントレーニング」
 「ツライ腰を動ける腰に大変身!」
 これは整骨院が講師なのだろう。

 「子供から大人まで正しいシューズの選び方講座」
 これは靴屋さんかな?

 
 「ドライマーク衣類の洗い方」
 「プロが教える『シミ抜きのコツ」
 これはクリーニング屋さん。

 こんな感じで、たくさんの講座がある。

 この広告が私の記憶に焼きついていたのは、「男の薄毛をかっこよく見せる方法」というやつ。

 年には逆らえず、私の髪が薄くなってきている。

 家族の指摘で知らされたのだが、自分では気がつかないのだが、頭頂部が自分が思っているよりも随分薄くなっているらしい。

 生え際も随分後退しているのは自覚していて、前髪をたらして隠しているつもりになっていたのだが、家内に言わせると、それがかえって生え際の後退が目立つ結果になるというのだ。

 家内は、「薄毛の人は逆に髪を短く切って薄毛にみあったヘアスタイルにした方がいいのよ。ブルース・ウィリスでもニコラスケイジでも薄毛が素敵に見えるヘアスタイルにしているでしょう!」と、ことあるごとに言っていた。

 それはそうなのだろうけど、「敵は世界に冠たる大スター。ものが違うよ」とは思いつつも、「なるほどそうだなあ」と納得するところもあった。

 こう見えて(どう見えているかはわからないが)、私は納得すれば人の意見にすなおに従う純な心を大いに持ち合わせているのだ。

 それで、行きつけの床屋さんに話をして、「すぱっと短く切ってくれ」と頼んだこともあるのだが、いつもより1センチくらい短くするだけで、すぱっとは切ってくれない。

 それで、「かっこよくカットしてもらうなら美容室の方がいい」という家内の意見をきいて、意を決して美容室に行って「スポーツ刈りくらい短く切ってもらえませんか」と申し出たこともある。
 
 すると、「お客さんの髪の流れでは短くすると頭側部の髪の流れがうまくおさまらないから、長くしたままでいるか、短くするのなら坊主にするしかないですよ」と言われた。
 こう見えて(どう見えているかはわからないが)私は小心者だから、もうヘアスタイルについてあれこれ迷うのは金輪際やめようと決意したのだった。

 そんな私に光明のように現れたのが、「まちゼミ」の講座案内にあった「男の薄毛をかっこくよく見せる方法」。

 講師は「スマイルヘアーヨシダ」なる理容室の経営者のようだ。

 ネットで確認してみると、「延岡の男性をカッコ良くするのが使命だと思っております」とある。

 ホームページの写真を見ると、この店主はまだ30歳代の若さのようだが、髪が薄い。
 しかし、「男の薄毛をかっこよく見せる方法」の講師をかってでるだけのことはあって、薄毛ではあるがかっこいい。

 これなら私をなんとかしてくれるかもしれない。

 しかし、私らの年代の男にとって、いきつけの床屋以外の床屋さんに行くのには、相当な勇気を要する。

 鏡越しに「どういう髪形にしますか」などときかれて、「こうこう、こんな髪形にしてください」などと言うのは実に恥ずかしい。

 だから、かたくなに行きつけの床屋さんにしか行かず、数十年来ずっと同じ髪形を維持し続けていくことになる。

 ここ数日、どうしようかと、いじいじ迷っていたが、昨日、意を決してこの店をたずねた。

 来てしまえば、まかせるしかない。

 「『まちゼミ』」の記事を見て来ました。髪形については、すべておまかせします」と言って椅子にすわった。

 希望は髪を短くしたいのだが、行きつけの床屋さんも、飛び込みで言ってお願いしたパーマ屋さんも、短い髪にはしてくれなかった、という話をした。

 すると、店主曰く。「ベリーショートでいきますか?」ときた。

 「ベリーショート」。「極短い」だ。

 最近のブルース・ウィリスを思い浮かべた。

 ほとんど坊主頭だが、それなりにかっこいい。

 「やってください。短くしても髪は伸びる。もし短い髪が似合わなくても、2カ月も辛抱すればもとにもどるし、あなたの腕を信用してます。おもうぞんぶん切ってください」とお願いした。

 いつものことだが、床屋さんで髪を切られる自分の顔を見るのは気恥ずかしい。それで、いつものごとく目を閉じて眠っておくことにした。

 気になって、ちらっと目を開けると、ばっさばっさと、髪がいさぎよく刈りとられている。

 首にかけられたエプロンにたまっている髪の量もすごい。

 どれくらいたったのだろう。「頭をあらいますよ」と言う声に起こされた。

 いつのまにか寝てしまっていたようだ。

 洗髪のために起こされたものの、なんとなく気恥ずかしくて鏡で自分の姿を見ることはできない。

 洗髪後、整髪。

 ここで、髪を切り終えた自分の顔とご対面。

 整髪といっても、ドライヤーで乾かす必用もないくらい短い髪になっていた。

 坊主頭といっても良いくらいの「ベリーショート」なのだが、なぜか、ちょっとかっこいい。

 M字後退している額を隠す髪が無くなって、M字の額があらわになっているのだが、ハゲという感じはしない。

 「延岡の男性をカッコ良くするのが使命だと思っております」という言葉も、あながち誇大広告ではなかったようだ。

 おっかなびっくりで、度胸を決めてやってきたのだが、満足の結果であった。

 ところがどっこい、家内は、家に帰った私を見るなり、大爆笑。

 自己満足はしているものの、人からどう見えるのか不安を抱えていた私の心はいたく傷ついた。

 切ってしまったものは、すぐには戻らないが、恥ずかしい思いをするのは1、2カ月のこと。

 そう思って覚悟を決めた。

 それからまる1日がたった。

 人付き合いが少ないとはいえ、仕事で数人の人に合った。

 会った人の全員から、「髪を切ったんですね」と言われた。

 おどおどしていることに気づかれないように、「夏向きに短くしたんですよ」とさらっと返事を返す。

 いつも思うことだが、自分が気にするほど、人は他人のことを気にかけてはいない。

 人の髪形が変わったたことなんか、どうでもいいことで、髪形について、話題が広がることは少ない。

 私の新しい髪形で話題を拡げてくる人は、「随分短くしたんですね。似合ってますよ」と社交辞令のほめ言葉をかけてくれる。

 話題にするとすれば、褒めるしかないからだろう。

 ついでの褒め言葉をかけない人は、似合わないと思っていてのことだろう。

 ともあれ、あと数日は人の目が気にして暮らすことになる。

 どうでもいいけとだけど、私にとっては大きなできごとであった。

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コメント

私も3か月前に思いっきり髪を短くしました。
床屋で任せるといったら、過去にも例がないほど短くされました。
それなら1年くらい伸ばそうかと考えています。
なにせ若いころにバンドマンだったころは3年間切らなかったことがあるくらいですから、多少長くとも気にはなりません。
じゃまになったら後ろで縛り、額にバンダナを市、これに作務衣でもきれば、もう気分は定年退職後に開店したこだわりの蕎麦屋のおやじです。

コメントありがとうございました。
 返信が遅くなりまして、すみません。

 最近、仕事がいそがしいというわけでもないのですが、ブログの更新が滞りぎみです。
 
 コメントをいただくと、はげみになります。

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