大廃業時代を阻止せよ
日経新聞に、ちょっとなつかしい人の写真が載っていた。
「痛くない注射針」を製造する丘の工業の岡野さんの顔写真だった。
岡野さんは、従業員数6人程度の小さな町工場でありながら、高い技術力が日本のみならず世界の大企業にも注目されているという会社の社長だ。
岡野工業が手による携帯電話のリチウムイオン電池ケースは、これなかには携帯電話の八店はなかったといえるはという代表的な製品である。
そして岡野さんを一躍有名にしたのが「痛くない注射針」。
針の先端が蚊の口吻とほぼ同じ細さで、根本は注射器の太さで、理論物理学者にも不可能と言われたものを、ステンレス素材のプレス加工で実現させた。
医療機器メーカ、テルモからの依頼により開発しものだ。
テルモは同社に依頼するまでに100社以上に「企画」を持ち込んだがすべて断られたが、岡野さんがそれをやってのけた。
岡野工業の技術は世界にも認められるものであったが、岡野さんは会社規模を大きくすることなく少数精鋭経営を続けておられた。
テレビでも大きく取り上げられていて、講演、著書は多数におよんでいた。
久しぶりに新聞でそのお顔をお見かけして、今度はどのような開発をしたのかと記事に目を落とした。
なんと記事の題名は、「大廃業時代の足音 中小『後継未定』127万社」。
岡野さんが「あと2年くらいで会社をたたもうと思ってるんだ」と言っているというのだ。
会社は黒字。
廃業の理由は「後継者がいねえから」。
注射針の製造装置はともに特許を取得した医療機器メーカーのテルモに移管。
1924年創業の老舗企業は途絶える見通しだ。
オンリーワン技術を持つ企業がなくなればものづくりの基盤に打撃を与える。
今日本では、岡野さんの会社のみにとどまらず、中小企業の廃業が増えているのだそうだ。
後継者難から会社をたたむケースが多く、廃業する会社のおよそ5割が経常黒字という異様な状況。
2025年に6割以上の経営者が70歳を超えるが、経済産業省の分析では現状で中小127万社で後継者不在の状態にあるというのだ。
優良技術の伝承へ事業承継を急がないと、日本の産業基盤は劣化してしまう。
私は、日本の高度成長とともに生きてきた。
日本が世界一優秀な国家だと自慢に思ってきた。
そんな誇れる日本が、寿命を迎えているとは思いたくない。
私たちの世代の寿命の先は見えてきているが、誇れる日本の寿命は永遠であってほしい。
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