図書館は出版不況の一因?
佐藤愛子さんの「90歳なにがめでたい」を読んだ。
2017年上半期ベストセラーランキング総合第1位(トーハン・日販調べ)。
5月に新聞広告で見て、読んでみたいなと思ったが、買ってみたいなとは思わなかった。
私は、確たる理由はないのだが、佐藤愛子さんは右翼の人であるという偏見を持っていた。
それに私は、もともと小説とかエッセイの類の本を読むことが少ない。
だから、小説やエッセイがベストセラーで話題になっていても、買って読むことはあまりない。
大ベストセラーで話題になっている本があると、買おうとは思わないが、どんな本か読んでみたいというミーハーな気持ちはある。
幸い、最近の公立図書館は、話題になった新刊がすぐに入荷?する。
気になる新刊が図書館にあるかどうか、わざわざ図書館に足を運ばなくても、インターネットで蔵書検索ができる。
話題になっている本は、たいてい所蔵されている。
ただし、ほとんどの場合、貸出中になっている。
話題の本は、20人待ち30人待ちということも、ざら。
そんな場合は、予約ボタンをクリックしておくと、順番がまわってきたらメールで連絡をしてくれる。
「90歳なにがめでたい」は、5月26日に検索した時点で予約数が30人。
申し訳ないが、買って余みたいとまでは思わなかったので、予約。
ようやく昨日、予約の順番がまわってきた。
いつだったか、文藝春秋の社長が、文庫本については図書館は貸し出さないでという要請をしたという報道があった。
以前から、図書館が無料貸本屋化していることが出版不況に拍車をかけているという話がある。
出版社が、新刊本を1年間貸し出さないように図書館に求めたこともある。
この問題は1970年代から始まっていたそうで、海外では、著者に国が一定額を補償するという方式も採用されているとのことだ。
自分をを省みれば、図書館を利用することで本の購入は減った。
図書館で新刊が借りられることを知る前は、新聞広告なんかで気になる本があると、まずはアマゾンで検索していた。
一番いいのは、本屋さんで立ち読みしてみて、納得して購入することなのだが、当地(宮崎県の北端の街・延岡市)の本屋さんには、なかなか本が入って来ない。
それで、アマゾンの読者の書評を参考にして、良いなと思った本を購入することが多かった。
中を見ずに買うわけで、買わなければよかったという本もたくさんあった。
ネットで図書館の在庫状態が調べられることを知ってからは、アマゾンで検索する前に図書館を検索している。
私の経験則でいくと、自分が検索した本が図書館にある確立は1割前後。
私の場合、私の年間購入図書費が1割削減されていると言える。
出版社側の申し出に対して、図書館側は、出版不況と図書館の貸出の因果関係はわからないと答えているらしいが、どう見ても図書館が出版不況の一因であることは否めないだろう。
図書館に恩恵にあずかっている私が言うのはおこがましいが、図書館がベストセラー本を5冊も6冊も購入するのは遠慮すべきではないか。
今回私は、「90歳なにがめでたい」を6カ月待っても借りることを選んだのだが、6カ月待ちになるなら買ってでも早く読みたいという本もある。
公共の図書館は、市民の要望だけに耳を傾けるのではなく、出版事業の存続のためにも心を配ることが必用なのではないだろうか。
小説家になれば何千万円もの年収を得ることができるという希望がなければ小説家を目指す者がいなくなる。
分筆業が食えない職業になってしまえば、出版文化の火は消えてしまう。
自己の利益と公共の利益。共存の難しさ。
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