砂防ダムに閉じ込められたイノシシ報道 雑感
北九州の住宅街にある砂防ダムに、野生のイノシシ2頭が転落して出られなくなっている。
どこか出口はないかとダムの中を走り回っているが、高さ6メートルのコンクリートの壁に阻まれて抜け出せない。
このままでは死を待つしかない。
途方に暮れた市の獅子の姿はかわいそうで、住民からは助けてやってくれとの声があがっている。
他方、イノシシは農作物を荒らす害獣。
最近では街中に現れて、住民に危害を及ぼす危険害獣である。
毎年、何人もの人がイノシシに襲われて無くなっている猛獣でもある。
このイノシシが被害を与えていて被害届けがでていれば駆除される立場である。
猟銃で射殺したり、罠をしかけて捉えて処分するのが通常だ。
狩猟をする人が少なくなったこともあって、イノシシや鹿が増えすぎて問題になっている。
自分に被害のおよばない住民は、単純に「かわいそうだから助けてやってくれ」と言うが、助けて、そのまま自然に戻したら、住民に被害がおよぶかもしれない。
住民からの救出要請を受けた行政は、鳥獣保護法では野生動物に手出しをしてはいけないのだと、法律を盾にして掛かり合いを拒んでいた。
それに目をつけたのが、騒動が大好物のテレビ。
テレビは騒動を大きくするのが仕事。
助けないのは人道?にもとると言わんばかりかの報道。
その策に負けて、行政がイノシシの捕獲にかかった。
油断すれば役人さんの命にかかわる作業。
それにしても、人はみがってなもの。
冷静に考えたら、害獣であるイノシシは処分すべきだろう。
殺すのがかわいそうというが、そもそも人間が他の生き物の生命を奪って生きていることから目を背けてはいけない。
以前、人間は多くの命の犠牲の上に支えられているということを教えるために、ヒヨコを育てて解体して食べる授業が計画されたが、直前に保護者からの講義で中止になったことを思い出す。
私も、自分が生徒だったら育てたヒヨコを殺すところを見たくは無いだろう。
ましてや、牛や豚を殺せと言われたら、絶対にできない。
結局、そんな嫌な役回りを誰かにおしつけ、善良な顔をして美味しく牛肉や豚肉を食べているのだ。
だから、自分が他の命を奪っているという実感は無い。
他の命を犠牲にして生きている。命をいただいて生きているということを思い知るべきだと思ったイノシシ報道であった。
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