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2019年1月 9日 (水)

悪徳不動産屋日記 力不足で説明できなかった

 昨日、今年年初の売買契約をした。

 中古マンションの売買だった。

 マンションは、区分所有の建物である。

 マンションというのは、1棟の建物に区分された数個の独立した住居、店舗、事務所があって、その各部分をそれぞれの目的としていて、専門用語では区分所有の建物と言う。

 一戸建の住宅と違って、占有部分と共有部分があり、区分所有者の権利義務については「区分所有の建物等に関する法律」という法律で厳密に定義されている。

 不動産の売買にあたっては、売買契約締結前に行う重要事項説明、売買契約書とも「区分所有の建物等に関する法律」の規定に沿った書面になるため、一戸建の住宅より記載項目が多くなる。

 管理費、管理規約等の説明も必用で、調査項目も多い。

 今回の契約は、当社は元付け業者(売主さん側の不動産会社)で、客付け業者さん(買主側の不動産会社)が買手さんについていて、買主さんとお会いするのは昨日が始めてであった。

 40歳前後の若い方で、銀行ローンも自分でネット銀行で借入を計画されているということ。

 おそらく、インターネット等で調べまくって、不動産の取引についても知識が豊富なお客さんだと思われる。

 それで、説明不足があると、厳しい指摘を受けることになるかもしれないと思い、重要事項説明も売買契約の読み合わせも、通常より時間をかけて丁寧に説明した。

 通常は1時間弱で説明を終え、書名捺印となるのだが、昨日は1時間半くらいかかった。

 お客さんは不動産の取引は始めてという人がほとんどで、詳細を丁寧に説明しても内容はよくわからないという人が多い。

 私は、特に金額と、取引の行程、それと解約条項だけは充分に理解していただくように説明をしている。

 説明が終って、「なにか疑問な点はありませんか」と質問はするのだが、質問されるお客さんは少なく、引き続き調印となる。

 しかし、昨日は違った。

 売買契約書の署名欄をひらき、「署名、捺印をお願いします」と署名をお願いしたところ、「えっ!この紙に署名するんですか?」と、署名しようとしない。

 、「はい。売買契約の内容の説明が終りましたので、ご納得いただければ署名をお願いします。なにか疑問がありますか。」と尋ねた。

 すると、「こんな普通の紙が契約書なんですか?」と言う。

 私にはお客さんの言葉の意味が理解できなかった。

 「はい。今説明したこの書類が売買契約書です。」と再度署名をお願いする。

 すると、不動産という高額の買い物の売買契約をするのに、契約書がこんなに普通のコピー用紙なのかと言うのだ。

 私の、37年の不動産歴で始めてのこと。

 「契約書の紙は、もっと特別なものではないのか」というのだ。

 特別な紙という意味が私にはわからない。

 お客さんのおっしゃっている言葉の趣旨がわからないから、答えようが無い。

 私が不動産業に入った30年以上前は、重要事項説明も売買契約書もB4の紙1枚に契約条項のすべてが記載されている簡素なものだった。

 それにカーボン紙をひいて複写していた。

 今の取引に比べると、不動産の取引はおおざっぱだった。

 その後、顧客保護と、顧客の権利意識の高まりで、不動産取引は年々厳しくなってきた。

 その結果、かつて1枚か2枚の書面ですませていたものが、重要事項説明はA4の用紙で9枚から10枚。売買契約書はA4で8枚から9枚という詳しく記載された書面に変わってきている。

 取引ごとに特約があったり、特別な取り決めも明記する。

 それをパソコンでプリントアウトしたものが売買契約書である。

 売買契約書だからといって特別な紙を使うことはない。

 お客さんの言わんとすることが理解できないもので、お客さんを納得させる説明ができない。

 それで、20年前に使っていた契約書を引っ張りだし、「昔は、契約書がこんな紙1枚で、契約条項もこんなに少なかったけど、今は契約条項が膨大で複数枚に及ぶのでコピー用紙になるんですよ」と説明した。

 今は、昔と違って契約を厳密にしているという説明をしたつもりだったのだが、昔の契約書を見せたことでお客さんの言っている意味がわかった。

 お客さんが昔、賃貸借契約をしたときの賃貸借契約書が、不動産会社が独自に作った賃貸借契約書で、印刷済みのものであった。

 昔のことで、カーボン紙をひいてつかうため、ツヤのある蝋紙みたいな用紙である。

 そのことだった。

 契約条項が少ないからページ数も少なく、画一的に作るので印刷屋で印刷して製本している。

 印刷屋で印刷しているというところを高級に感じているのだろう。

 そう思い込んでおられるものを、覆すことはなかなか困難。

 今回、売主さんは遠方におられて、私を全面的に信頼していただいているので私が売主の代理人としての契約。

 買主さんは私は今日が始めての面談で、私に信頼感が無いのも一つの原因かもしれない。

 どうしたものかと、客付け業者さん顔をみるが、用紙が納得できないということに対しての適格な説明はできないようす。

 私と同じく、売買契約書は、特別な用紙を使うことはないんですよという説明を繰り返すのみ。

 インターネットにも、契約書の紙の種類のことは説明されてなかったのだろう。

 お客さんを完全に納得させる説明は思いつかなかったが、なんとか署名、捺印をいただき契約終了。

 私の頭は大混乱。

 勉強不足の悪徳不動産屋であった。

 

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