一昨日は、不動産を売却した方から確定申告の相談があった。
同じ日に、同じような相談が2件重なった。
なんでもそうだが、重なるときは重なるもの。
昨日は、テナントの入居者から、電気が点かないという連絡が、立て続けに2件あった。
2件とも今月1日付けの契約で入居されたお客さんからの電話だった。
最初に電話があったのは、スナック店舗を借りていただいたお客さんだった。
今日、突然電気が切れて、カラオケを付けたときに電気が切れたのでカラオケ屋さんに聞いたら、店内の電気系統については家主の責任だから家主に直してもらいなさいと言われたというのだ。
話がよくわからないので、いろいろ聞いていたら、こんなチラシが入っていたと、ピンクのチラシを持って来た。
見ると、「電気のお申し込みのお願いについて(送電停止のお知らせ)という標題の書面だった。
私は初めてみる書面であったが内容を見ると、「お客様のご利用場所の電気のご契約は、現在廃止中となっていて、電気の使用開始には小売電気事業者との契約が必用で、ご希望の小売電気業者との契約が必用です。
3月4日までにお電話により、ご希望の小売電気業者に申し込みをしてください」とあって、「上記の期日までにいずれの小売電気事業者とも契約しないときは、送電を切る」という内容であった。
はずかしながら私は、こんな書面を見るのは初めてであった。
3月4日までに連絡をしなかったから、昨日電気が止められたのだろう。
書面を見て、なるほどと意味はわかったが、2016年の電力小売の全面自由化で、こういうことになっていたということを、はずかしながら今回初めて知った。
私は、細々とやっている不動産屋で、取引件数は少ないとはいえ、この2年余の間に賃貸借契約も中古住宅の売買契約も数十件は、やっている。
契約にあたっては、すべて法律の通りに重要事項説明を行っている。
重要事項の中には電気についての説明もしなければならず、重要事項説明の標準的な書式では、「電力は自由化されているので自分が希望する電力会社に申し込みしてください」となっている。
しかし、当地では他の電力会社の情報が少なく、お客さんがかえって混乱するので、当社では九州電力でいいですかと聞いて、電力契約については九州電力の連絡先を教えて、入居して電気を使う際には電話で申し込みをするように説明している。
この2年余昨日までは、それでなんの問題もなかった。
みなさん私の説明どおりに九州電力に電気開通の申し込みをしてくれていたのだろう。
今回のお客さんは、開店までの店舗改装期間は家賃は無しで、3月1日のオープン日からの契約にしていた。
電気については、直前まで入居していたお客さんが利用していた九州電力のメーター機がついていて、申し込みをせずにそのまま電気を使用していたのだろう。
電気が使われているけど、使用メーターが動いていたもので、冒頭の申し込みをしないと電気を止めますよという書類がはいったということだろう。
私は悪徳と賞されることのある不動産屋だが、なぜか私は不動産に関することについて無償で相談をかけられることが多い。
このたびのお客さんがそうだ。
電気使用の申し込みをしてくださいという案内を受け取っているのに、「電気のブレーカーが落ちて電気が使えない。電気の故障については家主の責任だから家主に言ってくれ」と言ってきたわけだ。
そんなことではないかと思って私は、「まずは九州電力に電話してみてください」と言ったのだが、「カラオケの配線工事にきた人が、電気のブレーカーの工事が必用で、家主にやってもらったほうがいいと言った」と言って、私の話を納得しない。
悪徳不動産屋が、家主がやるべき工事を借家人に押しつけているとでも言わんばかりの雰囲気であった。
私には、どうにも納得がいかない話で、あれこれやりとりしていたら、こんな書類があったということで当社にその書類を持ってきたわけだ。
私は、その書類を手にとるなりすぐに九州電力に電話した。
やはり、電気使用の申し込みをしていないから電気を止めたということだった。
目の前にいる入居者に、九州電力に電気使用の申し込みをしてもよいかという了解をとり、その場で電力の使用申し込みをした。
これにて一件落着。
その数時間後、2月に貸し倉庫を契約したお客さんから電話が入った。
今日、電気のスイッチを入れたら電気が点かないというのだ。
ブレーカーは落ちていないけど、全部の電気が点かないというのだ。
昨日までは使えていたのに、急に点かなくなったけど、どうにかしてくれというのだ。
この倉庫の借り主は工務店。
建築の専門家で、家を建てるに際しては、当然電気工事もやるから、電気についても素人ではない。
その工務店の社長が、わからないというのだから、なにか電気系統に問題が起こったのだろう。
私のかかりつけの電気工事屋さんにお願いしてみたのだが、今急ぎの工事が入っていてすぐには行けないとのこと。
九州電力に見てもらってわからないものかと思って、九州電力に電話してみた。
九州電力は、家に引き込むまでの故障であれば九州電力の費用負担で修理をしてくれる。
家の中の配線の問題であれば、自分で電気工事店に修理を依頼してくださいという指示をしてくれる。
ブレーカーが落ちていないのに電気が点かないというのは、家の中に引き込む前の配線に問題があるのではないかと想定した。
それは九州電力に依頼すれば調査してもらえるから、まずは調査依頼をしてもらおうと思って電話した。
電話で、所在の住所を伝えると、なんと電気の申し込みをしていのに電気を使っていたので、電気使用申し込みをしてくださいという書類を入れておいたけど申し込みがないので電気を切ったというのである。
ちょうど私がその連絡をとったすぐあとに、倉庫の借り主側から電話が入った。
まだ電気はつかないか?という問い合わせであった。
そこで私は、「郵便受けか入口のところにピンクのチラシのようなものはなかったですか?」と聞いてみた。
「ピンクの紙?これかな?」という返事。
「電気の申し込みのお願いについて、とあって、その下に何桁もある番号が書いてあるでしょう?」と言うと、「ある。ある。」とのこと。
なんと、さきほどのスナックのお客さんと同じことのようだ。
私にとって初めての体験が1日に2件も。
「その番号を教えてください」
その番号をメモして、すぐに九州電力に電話した。
これも、即座に解決。
電気販売の全面自由化になってから、かれこれ3年。
賃貸借契約、売買契約締結の際の重要事項説明で、電気の申し込みをするように説明しているので、1度もこんな問題はなかった。
それが、昨日立て続けに2件の電気騒動である。
2件とも、借り主さんは経営者の方。
私も初めての経験で、一瞬動揺したが、即座に解決できた。
悪徳と言われながらも、不動産屋は全能でなければならないのだ。
私は、私が恐い顔をしていないことは残念なことだと思っている。
日頃、不動産屋は信用できないという汚名を浴びながら、不動産屋の仕事の範囲を超える問題の解決を、なんでもかんでも押しつけれる。
法律。税金。建築。電気。水道。ガス。
水漏れ。排水が良くない。トイレの水が流れない。下水が臭い。水が濁る。
近隣とのトラブル。近所の犬の鳴き声がうるさい。隣の家から煙草のにおいがする。鳩がベランダに来て洗濯物を汚す。
蜂が巣を作った。ゴキブリが多い。虫が多い。
テレビが映らない。テレビの音がうるさい。エアコンの効きが悪い。
ガスボイラーが着火しない。床がきしむ。駐車場の停めかたが悪い。
道路に水がたまる。下水の蓋がはずれている。
部屋の鍵を無くしたので開けにきてくれ。
車のバッテリーが上がってエンジンがかからない。
ありとあらゆることの解決を、無償で当然のごとく要求されて、私は、小さな心を傷めているのだ。
不動産屋の仕事じゃないことも、不動産屋の責任だと主張して、なんとかしろと言ってくる。
不動産屋は不動産の取引が仕事であって、売主と買主、貸主と借主の取引を問題の無いようにつなぐことに対して手数料をいただいている。
それ以外のことは、不動産取引にかんするサービス業務である。
電気屋さんもガス屋さんも水道屋さんも車屋さんも、故障を見てもらうだけでも費用がかかる。
法律相談は弁護士の仕事。税金問題は税理士の仕事。
いずれも、相談すると相談料をとられる。
そんな問題を、ことごとく不動産屋に押しつけているのだ。
無料で、しかも、すぐに解決せよと迫ってくる。
しかし、悪徳不動産屋が善良なる消費者様と喧嘩しても勝ち目はない。
理不尽だと思いながらも、いつも私は、自分でそれらをなんとか解決している。
次々といろんな問題が起こり、初めて経験することであっても、なんとか解決してきている。
つくづく私は全能だなあと自分の能力の高さに自己満足して、自分をなぐさめている。
そして思う。怖い顔をしていれば、こんなに不当な扱いは受けないのになあと。
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