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2019年3月 4日 (月)

悪徳不動産屋日記 確定申告

 今、確定申告の期間である。

 確定申告というのは、個人が、その年1月1日から12月31日までを課税期間として、その期間内の収入・支出、医療費や扶養親族の状況等から所得を計算した申告書を税務署へ提出し、納付すべき所得税額を確定することである(ウィキペディアによる)。

 サラリーマンは源泉徴収されて、税金を給料から天引きされているので確定申告の必用はない。

 サラリーマンでも、給与が2000万円を超える人や、2カ所以上から給与を得ている人は確定申告の必要があるが、確定申告をしなくてはいけないのは主には個人事業主である。

 もう一つ、不動産の譲渡による利益のある人も申告をしなければならない。

 それで、毎年この時期になると、前年に取引したお客さんから税金についての問い合わせをうけることになる。

 取引の際に、確定申告についての概略の説明をしているので、問い合わせをしてこられるお客さんは少ないのだが、それでも、毎年4、5件の問い合わせを受ける。

 私たち不動産業者は、不動産の取引に係わる税金について、基本的な知識を持っている。

 取引の際に、税金についての必要事項は当然お客様には伝えている。

 しかし、税理士ではないので、具体的に申告用紙を作成して申告のお手伝いをすることはできない。

 税金の理論はわかっているが、自分の申告については税理士に依頼している。

 当地(宮崎県の北端の街・延岡市)で私が扱うお客さんのほとんどは税金の心配をしなくていい個人だ。

 何度も書いていることだが、税金は譲渡益、つまり売買益に対してかかるのであって、1億円の取引であろうが100億円の取引であろうが、利益がでなければ税金は発生しない。

 1億円で買ったものを、1億円以下で売ったのであれば税金はかからない。

 当地でも、ここ20年は土地が値上がりしておらず、むしろ値下がりしていて、こここ20年以内に買った不動産を売却する場合、購入価格以下での取引になることがほとんどで、税金はかからない。

 20年以上前に購入した不動産の場合は、土地が値上がりしていて利益が出ることがあるが、自分が住んでいる住宅の売却については、売却益から3000万円控除される(居住用財産の特別控除3000万円)。

 当地では、売買価格が3000万円を超えるような物件は少ないから、樹ゔんが居住していた住宅は、購入費用がわからなくても、居住用財産の特別控除を適用すれば税金の心配はしなくてよい。

 ただし、居住用財産の控除を認めてもらうためには確定申告が必用になる。

 申告書に、売却価格、購入価格、購入するためにかかった費用、売却のためにかかった費用を記載する。

 そして、売却価格から購入価格、購入するためにかかった費用、売却のためにかかった費用を経費として経費を差し引いたものが譲渡益となる。

 譲渡益から3000万円までは控除されるので、譲渡益が3000万円までの売買については税金はかからない。

 というのが理論であるが、実際に申告書を書くとなると、結構面倒である。

 申告書は税務署に行ってもらうか、インターネットでも手に入る。

 申告書には、申告書の書き方の手引きがついているので、それを読めばわかることになっているのだが、これがなかなかわかりにくい。

 私に相談してくるお客さんは、私が不動産のプロだから、申告も私に頼めばやってくれると思ってやってきていることが多いのだが、それはできない。

 弁護士、税理士、司法書士、宅建業等々の資格は、業務独占資格であって、資格のないものがその業務をすることは禁じられていて、罰則も設けられている。

 ただし、弁護士法、宅建業法、司法書士法でも、業としてその資格者の独占業務を行ってはいけないという規定になっている。

 業としてというのは、業務、仕事としてその業を行うことで、報酬をもらわずボランティア的に助言したり相談にのってあげても罪をとわれることはない。

 不動産屋は仕事がら、法律的な相談や税金の相談を受けることは少なくなくて、無報酬でサービス的に法律的な見解を述べたり、税金についての総論的な助言をすることはある。

 ただ、直接申告につながる申告書を作成する行為は、税理士法違反に問われる要素があるのでしないようにと、税理士に指導を受けているもので、私は具体的に申告書の書き方までは勉強していない。

 私は、悪徳不動産屋のはずなのだが、やたらお客様に気安く無料相談を強いられるのだ。

 今日も2件、確定申告の相談を受けた。

 お一人は、自分が買ったときの価格がわからないので調べてくれという話だった。

 私が不動産業界に入る前に、だれから買ったかもわからない取引価格など私にわかるはずがない。

 去年、早急に売りたいということで、破格に安い価格で売却した物件で、購入の時期からするとおそらく利益はでていないはずだ。

 購入価格がわからないときは、売却価格の5%を取得費(購入価格)としても良いという規定がある。

 税理士に申告を依頼したら、購入時の売買契約書か領収書がないと、購入価格はわからないということで取得費を5%として申告することになる。

 1000万円で買ったものを1000万円で売ったら税金はゼロなのだが、1000万円で買ったことを証明する売買契約書か領収書が無いと、ほとんどの会計事務所は、取得費(購入価格)は5%の50万円という申告書を作成するだろう。

 取得費が50万円だから、1000万円で売ったときの利益は950万円。

 諸経費を差し引いて900万円の利益となり、税金はその約20%の180万円となる。

 善良なる消費者様たるお客さんは、税理士は先生様のやることには疑いをはさむことなく、払わなくもいい巨額の税金を納付する。

 しかし、悪徳と揶揄しながら悪徳不動産の私に対しては、なんとか税金を払わなくていいようにしてくれと要求してくるのだ。

 当然無報酬で、しかも税金がかかるのは悪徳不動産屋のせいだと言わんばかりにである。

 私は、相談に来たお客さんに、「当時いくらでかったか、大体の価格を覚えてるでしょう」と聞いてみた。

 「いや、まったく覚えていない」 と言う。

 「正確でなくてもいいから、400万円から500万円くらいのあいだだったとか、そのくらいの記憶はあるでしょう?」と聞いてみるのだが、「まったく覚えがない」の一点張り。

 私が不動産業に入る前のことだけど、購入当時、400万円以上で買っていることは間違いないと思うのだが、「全然覚えていない」の一点張りだ。

 税理士さんにいけば、購入価格を正確に覚えていても、売買契約書も領収書等証明できるものが無いと取得費5%で処理してしまう。

 しかし、税務署に直接、申告相談に行って、売買契約書や領収書は紛失してしまったが、購入価格はしっかり記憶していて〇〇円で購入したということで相談すれば、それが事実であれば認めてくれることもある。

 あくまでも事実であればである。

 税務署が簡単に認めていると、税金を払いたくない人が、実際の購入価格より高いと嘘をついて税金をまぬがれようと押しかけてくることになる。

 だから、簡単には認めてくれないが、きちんと話せばわかってくれる税務署の職員さんもいるはずだ。

 今日の相談のお客さんは、明らかに買った価格は売却価格より高かったか、同じくらいの価格のはずで、本来なら税金は払わなくてもいいケースだ。

 うろ覚えでも記憶があるはずで、その程度でも記憶があれば、全額を認めてもらえなくても、ある程度認めてくれるということもあるはずだ。

 少なくても5%の取得費で計算するより、数十万円から数百万円は得をする話だ。

 千円1万円の買い物をしても、正確にいくらだったかとはいえなくても、1万円前後だったとか、3万円ぐらいだったとか、その制度の記憶はあるでしょう。

 ましてや、数百万円の買い物をしているのだから、大雑把に500万円以下ではない1000万円以上ではないという程度の記憶はあるでしょう。

 その程度の記憶があれば、税務署は1000万円は認めてくれなくても500万円は認めてくれるかもしれないし、300万円なら認めてくれるということもありますよ。うっすらした記憶はないですか?と、優しくときほぐすように聞いてみるのだが、「わからない」との答えし返ってこない。

 これだと5%の取得費として処理して、それなりの税金を払わないとしかたがない。

 そう説明すると、なんとかしてくれ。私は不動産のプロだから、私なら、当時どのくらいの価格が相場だったか調べるのは簡単ではないかというのである。

 30数年前の、当事者である本人がまったく覚えないない物を、他人が覚えているはずがない。

 自分が間違った価格を申告して、自分が税務署から睨まれるのではないかという不安でもあるのだろう。

 結局、私に言えばなんとかしてもらえるという、私を悪徳不動産屋にしたてて、安全なところで損をまぬがれたいということなのかもしれない。

 結局、ゆっくり思い出してみてくださいと再度念をおして伝えたところ、そうしてみるということでお帰りになった。

 私は悪徳不動産であって、超人的万能無料解決人ではありませんぞ。

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