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2019年7月 3日 (水)

改正相続法②

 7月1日から変わったことの第二点。

 結婚期間が20年以上の夫婦間で、配偶者に対して居住用不動産の遺贈または贈与がされた場合には、その不動産については遺産分割の対象財産に加えなくても良いということになった。

 今までは、相続人に対して遺贈または贈与が行われた場合は、贈与を受けた財産を遺産に組戻した上で相続分を計算し、遺贈または贈与を受けた分を差し引いて遺産を分割する際の取得分を定めることとなっていた。

 わかりにくい説明かもしれないので、具体的に説明すると、こういうことだ。

 被相続人が自分の亡くなった後に、配偶者が困らないようにと思って、生前贈与をした場合の相続財産の取り扱い方が大きく変わった。

 被相続人だの配偶者だのいうと混乱するので、(聡明な皆さまは混乱しないとは思うが、私が話をしていて混乱するので)一般的に大多数の事例となる例えにする。

 つまり、夫が、自分が死んだ後に妻が困らないようにという趣旨で、自宅を妻に生前贈与をした場合を想定する。

 この際、自宅の価値が2,000万円で、その他の相続財産が3,000万円。相続人は妻と、子ども2人だったとする。

 今までは、夫が妻のために自宅を生前贈与をしたとしても、自宅の価値としての2,000万円を相続財産に組み戻して、相続財産は総額5,000万円として、それぞれの相続分の計算をすることになる。(この計算方法を「持ち戻し」と言う

 上記の例の場合、妻の相続分は5000万円の半分の2,500万円となる。

 自宅をそのまま妻のものにすれば、妻の相続分は残り500万円にしかならない。

 これでは、せっかく夫が自分の死後のために妻の生活が困らないようにという趣旨で贈与しても、結局、妻が受け取る財産の総額は生前贈与をしないのと同じことになる。

 今回の相続税の改正では、婚姻期間が20年以上の夫婦間で居住用不動産(居住の用にに供する建物またはその敷地)の遺贈または贈与がされたものについては、遺産分割において持ち戻し計算をしなくてよいという)夫の意思表示があったものと推定して、原則として、遺産分割における計算してもよいということになった。

 今まであれば妻の相続分は住宅の2,000万円とその他の財産500万円であったが、今回の改正では住宅の分は相続財産に組み入れないで、その他の3,000万円だけが相続財産となり、3,000万円の半分の1,500万円が妻の取り分となる。

 昨日説明した通り、今回の改正は夫に先だたれた妻の生活の安定を想定しているという趣旨の通りの改正なのである。

 金のために母親の終の棲家の売却を迫る非情な子どもたちにとっては迷惑な改正であろうが、多くの人には素直に受けいられる良い改正だと言える。

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