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2019年9月 2日 (月)

悪徳不動産屋日記 固定資産税精算

 電話が鳴った。

 今年3月に中古住宅の売買をさせてもらった売主さんからだった。

 取引をして5ヶ月。問題がなければ゜このタイミングでお客さんから電話がかかってくることはない。

 なにかトラブルだろうか。

 しかし、このお客さんとの取引で、トラブルになるような仕事はしていないはずだ。

 なんだろうと思って電話を取る。

 「その節はどうもおせわになりました」という挨拶から始まり、すぐに用件に入った。

 「家を売ったのに、市役所から固定資産税の督促が来ている。買主さんが払っていないのじゃないか」という内容だった。

 めったにないことだが、たまにある相談(苦情)なのだが、珍しいことに今年は2件目だった。

 不動産(土地・建物)を所有している人には固定資産税がかかる。

 固定資産税の課税主体は市町村。

 納税義務者は、その年の1月1日時点の所有者である。

 年の途中で売買して所有者が変わっても、納税義務者はあくまでも1月1日の所有者となる。

 市町村の固定資産税の規定はここまでである。

 年の途中で不動産を売買した場合の固定資産税の取り扱いは、売主、買主の当事者で取り決めるなくてはいけない。

それで、不動産業者としては(悪徳不動産屋といえども)、あとあともめないように重要事項説明書、売買契約書ともに、固定資産税の取り扱いについてはきちんと明記し、詳しく説明している。

 さらに固定資産税の規定は若干曖昧で、固定資産税に関する法律では賦課期日は1月1日と定めて、12月1日時点の所有者が納税義務者であると定めているのだが、その年の固定資産税の起算日(いつからかという期日)については明記していないことである。

 ここで気をつけないといけないのは、賦課期日は全国どこでも1月1日だが、固定資産税の起算日については触れていないのことである。

 それで、固定資産税の起算日については、市町村によって取り扱いが違っているのだ。

 当地(宮崎県の北端の街・延岡市)では、賦課期日1月1日、起算日も1月1日としている。

 つまり、その年の固定資産税は1月1日から12月31日までのものだという取り扱いをしている。
 
 しかし、起算日を4月1日とするところもある。

 なぜそういうことになるのかというと、その年の固定資産税の通知書と納付書が送られてくるのは4月末から5月の初旬。

 納税期日は4期に分けて、4月、7月、10月、2月となっている。

 日本では1月1日から12月31日までの1年間を「年」というのだが、暦年とは異なる区分で定めた「年度」というものがある。

 「年度」は4月から次の年の3月までを1年として区切るやりかただ。

 固定資産税の納付書が送られてくるのが4月末から5月始めで、納税期日が4月から12月までの期間の4期分割払いになっているもので、「年度」払いという考え方をするところもあるというわけだ。

 なにをぐずぐず言っているのかと思われるかもしれないが、契約の際に起算日を明確にしておかないと、あとで大いにもめるのである。

 1月1日を起算日とすると3月31日に取引をすれば1月から3月までの3ヶ月分の固定資産税を売主が負担し、残り9ヶ月分の固定資産税は買主の負担となる。

 これが、4月1日を起算日とすれば、今年度の固定資産税の売主の負担はなく、買主はその年全部の固定資産税を負担し、前年度の3月分の固定資産税までしなければならないことになる。

 かように、1月起算日と4月起算日では固定資産税が大きく違ってくることがあるから、契約の前に決めておかないとあとでこれか結構なもめごとになるのだ。

 私の経験では、30年前に関西(私の経験したのは大阪)の業者さんと取引したときに、たこの起算日の取り扱いでちょっとしたトラブルになってしまった経験がある。

 当地(宮崎県の北端の街・延岡市)の不動産取引において固定資産税の起算日は1月1日というのが慣習となっていた。

 当時、県外の業者さんと取引することはめったになかったため、起算日を1月1日として私のお客さんに説明していたのだが、契約の最終打合せの段階で、大阪では固定資産税は起算日は4月1日としているという話がでた。

 高額の商業物件だったため、起算日が1月と4月とでは数十万円も違ってくる。

 価格交渉ですったもんだし、数百万円単位の攻防を切り抜けた後の数十万円だから、売手も買手もすんなりとはいそうですかとはならない。

 固定資産税の取り扱いで数十万円の違いがでることになることになる。どうやって切り抜けたかは覚えていないが、説明不足だと指摘され背筋が凍る思いだったのは記憶にある。

 依頼、固定資産税の賦課期日と起算日については、くどいほど丁寧に説明するようにしている。

 具体的には、所有権移転日前日までの分を売主の負担とし、所有権移転後の分を買主の負担とした計算書を作製し、買主の負担分の金銭を売主に預け売主に納付してもらうという手続きをしている。

 取引が4月以降の場合は、売主に、買主が預けた固定資産税をすぐに払うように指導するので問題が起こることは少ないのだが、1月から3月までに取引した場合に、冒頭のお客さんのような勘違いが起こる。

 というのは、その年の固定資産税額が確定するのは、その年の4月にはいってからだ。

 1月から3月までの取引については、まだその年の固定資産税額は確定していない。

 正確に処理するためには、4月にならないと精算額はわからないのだが、取引して代金を支払い物件を引き渡した後に処理しようとすると、売主さんが遠くに行っていて処理に手間がかかったり、買主としては自分の方には請求が来ないので、遅延する人がいる。

 それで、代金決済のときに買主負担分を売主さんに預けて(払って)おいて、売主に納付してもらうようにしている。

 ここで問題になるのが、1月から3月に売買取引をした場合に、代金支払が終り、所有権移転登記をして不動産の名義が変わった後、4月になって市役所から固定資産税の通知書と納付書がが前所有者(売主)の住所に届くことだ。

 契約の際に、重要事項説明書をもとに説明し、契約書の読み合わせの中でも説明し、さらに固定資産税の負担の計算書を売主・買主双方に渡して、売主からは固定資産税分の領収書も発行してもらう。

 とくに私は悪徳不動産屋とのそしりを受けることのないよう、念入りに説明している。
の取り扱いで

 だから、不動産売買にあたって固定資産税の処理でもめることはないはずなのだが、
冒頭ように、市役所から固定資産税の請求がきているが間違いではないかという売主からの電話を受けることは珍しいことではない。

 つくづく思うのだが、人というのは自分が得したことや、良くしてもらったことや人の恩は忘れるが、自分が存することや嫌な思いについては過剰に反応するようだ。

 払った人に間違って請求したら、払ったことを忘れている人は一人もいないだろうが、もらったのことを忘れている人はたくさんいる。

 悪徳不動産屋は、それがあたりまえだと心して仕事にいそしんでいるのだなあ。

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