「緊急信号」はオオカミ少年?!
まだ記憶に新しい京浜急行踏切トラック衝突脱線事故。
踏切で立ち往生していたトラックに電車が追突し、トラックの運転手が亡くなり、電車の乗客30人が負傷した。
テレビで報じられる映像は、トラックが電車に巻き込まれて跡形もなく、車両3台が脱線するという衝撃的なものだった。
これだけの事故で列車側の死者が0だったことは奇跡的だと感じた。
その後、テレビを始めとするメディア事故の原因をあれこれ論じていた。
当初は、大型トラックの運転手がどうしてこんなに狭い道に入っていったのかということに話題が集中していた。
カーナビの誘導に頼ってのことか、原因はわからないにせよ、運転手が道を間違えて進入したことには間違いない。
運転手が生きていれば、単純に道を間違えたということであっても、それはなぜかとわかっていることを追求しするのがワイドショーレポーターたちの常。
罪にうちひしがれた運転手を、よってたかって叩きまわして番組の「尺をとる」というわけだ。
しかし今回は当の運転手がなくなっているので、それはできなかった。
それで次にやり玉にあがったのが京急側の事故防止の不手際のあら探し。
遮断機の下りている踏切に進入してきた車との衝突事故というのは、珍しい事故ではない。
遮断機が下りかかっている踏切に強引に進入して、電車と衝突するという事故は珍しいものではない。
開かずの踏切が遠因となっているので、踏切の高架化が必用だという意見はあっても、電車の運転手の過失を問われることは少ない。
しかし、今回の事故では一番の原因のトラック運転手が亡くなっているので、ワイドショーは運転手に照準を向けた。
京急が「踏切障害物検地装置」 を事故現場の踏切の340メートル手前に設置していて、踏切内に異常があったら発光信号によって運転士に異常が伝わるようになっている。
発光信号は、さらにその160メートル前で目視できるようになっている。
つまり踏切の600メートル前で緊急停止信号を確認できるわけで、電車は急ブレーキをかけれ衝突は免れられたというような話も出ていた。
事故の原因を誰に押しつけようかと標的を探していた偽善ワイドショー軍団は、運転士に攻撃の照準を合わせていた。
どこかの局が電車の運転手に事故の原因を負わせる報道に口火をきったら、いっせいに運転士に襲いかかろうと手ぐすねをひいていた。
しかし、どう分析しても運転士の過失を問うには材料不足。
結局ワイドショーは、「踏切障害物検地装置」と「自動列車停止装置」を連動させるように、会社に導入を促すという結論に納めていた。
そんな中、今日「dマガジン」で読んだ「週刊新潮9月15日号」の「『緊急信号』はオオカミ少年?!」という記事が目に留まった。
発光信号によって列車が止まりきれなかった原因は二通りあって、一つは信号の見落とし。もう一つは、信号に気付いても運転士がそれを信じなかった可能性があるというのだ。
遮断機が下りた後でも、駆け込みで踏切を横断する人が多くて、その度に装置が反応するのだそうだ。
電車の運転士にとって、信号の発光は日常茶飯事になっているというのである。
大事な信号がオオカミ少年になっているというのだ。
テレビ好きを自称する私がみる限り、テレビワイドショーでは運転士の信号の見落としを暗に感じさせる内容のものは多く見かけたが、「オオカミ少年」の話は初耳だった。
テレビワイドショーが多少なりとも世の中になる報道をしようとする気概があるのであれば、遮断機が下りかかった踏切を無理に横断することが今回のような大きな事故になるということこそ、くどいくらいに、声を大にして伝えよ。
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