悪徳不動産屋日記 電気メーターボックスから異音がする
夕食の最中に携帯電話が鳴った。
時間は7時半。 登録していない番号からの電話である。
私は、会社にかかった電話を携帯電話に転送する設定にしているもので、見知らぬ電話にも対応している。
電話に出ると、当社で管理している貸し店舗の入居者だった。電話を買い換えたのだろうか。
この入居者は自分の権利をしっかり主張される善良なる消費者様だ。
この入居者からの電話は、修理修繕にかかわるものが多い。
しっかり権利を主張される方なので、依頼があればすぐに対応を求められるのだが、土曜の7時半。
内容によっては対応してもらえる業者の手配がすぐにはできない。
用件は電気系統のトラブルであった。
電話だからはっきりしたことがわからないが、建物の外にある電気のメーターボックスから大きな音がしているというのである。
私は悪徳不動産屋。電気の故障が直せるわけではない。
電気系統の故障であれば、電気屋さんに頼むことになるが、電気系統の故障というのは電線から建物に引き込むところまでの修理は電力会社の責任で、修理は電力会社に依頼しなければならならず、一般の電気工事店では修理はできない。
メーターボックスから先の、建物内の電気工事については電力会社は関知せず、建物の持ち主か建物使用者が電気工事店に依頼して工事しなければならない。
土曜日の7時半。私がいつも頼んでいる電気工事店だと、すぐには来てもらえない。
幸か不幸か、今回のトラブルは建物の外のメーターボックスからの異音だということだから、電力会社の責任分野になる。
電力会社は、電気系統のトラブルに対しては24時間体制で対応してくれる。
最近は「24時間トラブル対応」といった保険がある。
水漏れ、電気の故障、鍵の紛失等あらゆるトラブルに対応してもらえるというものだ。
ただし、入居者は家賃と別に月々数百円の負担になる。
当社は、管理物件が少ないのでまだこのシステムは採用していないので、すべて私が対応することになる。
今回はメーターボックスの異常のようだから、状況を確認して電力会社に修理手配をすれば、あとは電力会社の仕事である。
緊急を要するほどのことではないようだ。
食事の最中だったので、「「30分以内に見に行きます」と答え、食べかけの晩飯をかきこんで、現場にかけつけた。
現場までは車で10分足らずのところであった。
現場までの移動中にふと不安がよぎった。
従来は、当地(宮崎県の北端の街・延岡市)の場合は電力会社は九州電力だった。
しかし、賃借人はしっかり権利主張をされる方だから、電力の自由化で、電気代を安くするために、新しい電力会社と契約しているかもしれない。
その場合、修理についてははどうなるのだろう。
悪徳不動産屋は未知の分野においては臆病なのだ。
多少の不安をかかえつつ現場に到着。
まずは、建物の外部にとりつけてある、電気の引込みやメーターボックス周辺を調査する。
電話で言っていた大きな異音はしていない。
そこで、入居者に聞いてみることにした。
私が店内に入ると、入居者は私の顔を見たが、一瞬反応がない。
「なんのことだろう」といった雰囲気である。
「どこで音がしているんですか?」と聞くと。
悪びれもせず、「ああ。外で大きな音がしていたんだけど、外に出てよくみたら虫でした」と言うのである。
店の灯につられて飛んできた虫の羽音だったようだ。
これが善良なる消費者様の正当なる言動。
私は、「それなら電話でもしてくれればよかったのに」とぼやく。
あきれた思いをかくすことなく、即座に退散することにした。
これが悪徳不動産屋と言われる所以。
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