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2020年4月29日 (水)

悪徳不動産屋日記 家賃値下げ交渉

 飲食店街の飲店舗の入居者から家賃の相談があった。

 宮崎県は、クラブやキャバレー等に連休中の休業要請を出している。

 休業要請に従った施設に対しては県から10万円の給付金がでることになっている。

10万円の給付金がもらえたからといって休業による損失が補填できるわけではないが、10万円でももらえると助かる。

 しかし、この入居者は居酒屋さんで、休業要請の施設にはあてはまらない。

 飲食店街はいっせいに休業になっているので、休まざるを得ないのだが給付金はでない。

 給付金がでないからというわけではないが、この先も急激な回復は望めないので家賃を下げてもらえないかという相談だった。

 この家主さんは年配の方で、店舗の建物、設備等の補修は一切しないかわりに家賃を安くするという条件で契約している。

 今までに、これは家主さんにみてもらえないかという交渉が入ったが、まったく聞いてもらえたことはない。

 簡単に了解はもらえないだろうが、時が時だけに何とか了解をとってあげたい。

 ダメもとで交渉してみたが、案の定、すんなりとは聞いてもらえない。

 自分も生活がいっぱいだし、そもそも家賃を安くしているから下げられないというのだ。

 県や国から補償金が出るという話があるから、そちらに相談してみたらどうかとも言う。

 想定通りの答えだった。

 私は、私も同じ地区に貸しビルを持っているが、4月からは街中が開店休業状態だから、自ら家賃を下げているという話をした。

 私は不動産屋だから家主さんよりは状況がわかっているから、自分から家賃は下げたんですよ。

 夜の街に人が全然歩いていませんよ。

 店をのぞいてもお客さんはいません。

 ほとんどの店が自主休業しています。

 これは大変なことだと思います。

 この状況を見て私は、私のできる範囲で家賃を下げようとすぐに決心しました。

 家主さんは経営者だからご自分のお考えがあるでしょうからとやかく言うつもりはありませんが、私は自分が家主としてやっていることをお伝えして、あとは家主さんの判断に従います。

 家賃の値下げを提案したが、すんなりとは納得しない。

 これも想定内。この家主さんに限らず、即座に納得される家主さんの方が少ないのが当然だ。

 しかし私はあきらめない。

 何せ私は悪徳不動産屋なのだ。

 家主さんの意向が値下げしないということであれば、それでいいと思います。

 しかし、この状態がずっと続くことになれば、この入居者は廃業を考えるかもしれませんよ。

 宮崎(市)では、すでに12店の店が廃業しているんですよ。

 先が見えない中、家賃の負担が大きくて廃業に踏み切られると次の入居者はなかなか見つかりませんよ。

 そうなると家賃はゼロです。

 先が見えない中、家賃を下げて負担を軽くしてあげれば、もう少し頑張ってみようという気にもなってもらえるんじゃないですか。

 私はさらに説得を続けようと思っていた。

 すると、すんなり「下げていいよ。〇〇円を△△円にしてあげていいです。」というご返事だった。

 もっと難渋すると思っていたのに、あっさり了解していただいた。

 これは、私が家主として家賃の値下げを実行していたことが説得力を増したのだと思う。

 当地(宮崎県の北端の町・延岡市)の家賃は大都会のそれとはまったく違っていて、多くの店は家賃10万円未満。

 だから値下げすれば、家賃が払えないということでの廃業を思いとどまる店が多いのではないだろうか。

 入居者あっての家主、そして物件あっての入居者である。

 不動産は双務取引。

 家主は入居者に借りていただく、入居者は家主に貸していただく。

 どちらかが一方的な強者でもなく弱者でもない。

 不動産の取引の、そんな関係が私は好きで不動産業をやっている。

 だから、「自分は客だぞ」とばかりに、「借りてやる」「貸してやる」といった威張ったお客さんとは取引は<自粛>している。

 かくして私は悪徳不動産屋と呼ばれる。

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