悪徳不動産屋日記 専門家としての意見を聞きたい
不動産の仕事に限らず、利害が対立する人が争いになるということは少なくない。
昨日の、水道管の凍結による水道管破損の問題は、記録的な寒波が原因であって家主に過失があるとは言えないし、もちろん入居者の過失はない。
私の頭の構造は非常に客観的に物を考えてしまうのが特徴で、入居者の立場になれば賃貸建物の修繕は当然家主がするべきものだから、家主が修理して当然だといえる。
しかし、家主の立場で考えれると、テレビ等で記録的な寒波が到来するので水道管の凍結が予想されることは報じられていた。
凍結を予防するために、水道の水をほんの少量でいいので出しっぱなし(鉛筆の芯くらいの細さでいいという意見もあった)すると凍らないという話が、あちこちの番組で紹介されていた。
法律的には、入居者は善良なる管理者としての注意義務がある。(善管注意義務という)
だから、水道の水を出しっぱなしにして、水道管凍結を防ぐ義務がある。それを行わなかったのは前回注意義務違反になるので、修理代は入居者が負担してしかるべきではないか。
修理代を払いたくない家主は、そう主張するかもしれない。
私が相談を受けた場合、相談者の立場の意見と相談者の利益に反する相手方の立場の意見の両方の考え方を伝えてしまうからだ。
その上で、どちらの意見に分があるかを説いていくことになる。
ほとんどの人は、目の前の相談者の利益になる答えしかしない。
相談というのは、ほとんどの場合自分の立場を肯定してもらいたくてするもののようで、反対意見を出すと不愉快な顔をされる。
私が人に好かれないのは、私のそうした癖によるところが多い。
賃貸借関係で、家主の負担になるか借主の負担になるか、契約書の内容や法律では決めきれないものがたくさんある。
近隣トラブルや、人間関係でのトラブルも同じだ。
相談は、スムーズに解決できない時にもちかけられる。
そんなときよく使われる言葉が、「(私はこう思いますけど)専門家として、これが正しいですよね。」と言う言葉だ。
私は悪徳不動産屋と自負しているが、少なくとも当地(宮崎県の北端の町・延岡市)では一番法律に詳しい不動産屋だという自負がある。
だから、専門家として「これが正しいですよね」という質問に対しては、「専門家としては、あなたの話だけでは正しいとか、正しくないとかは答えられない」という答えしかない。
しかし、「専門家として、あなたはどう考えますか」という質問に対しては、即答で私の考えをしゃべってしまう。
これがまた、私が人に嫌われる原因なのだ。
相談する人は、自分の考えが正しいという肯定意見を求めているだけなのだ。
その意見に反する意見を伝えると、相談者は突如法律の権威者のごとくに豹変する。
「それは間違っている。こうこうこうで。かくかくしかじかだから、私の考えが正しい」と自分の意見を認めないと許さないぞとばかりに私を責め立ててくる。
その瞬間、私はすぐにブチ切れる。
「私は、私の意見が正しいとは一言も言っていない。あなたの質問は『私がどう思うか』ということだったから、私はこう思うと答えたたけのこと。自分の意見を押し通したいだけなら、『どう思うか』という相談はしないことだ」と大声をだしてしまうことになる。
(一つ教えておこう。私の法律知識を利用しようと思うのであれば、「こんな問題でもめているのだけど、私が有利に解決するにはどうしたらいいか教えてください」と相談をかけることだ。
そうすれば、私は私の知識を総動員して相談者が有利になる解決方法を考える。
私は、正義の使者となるべく法律を勉強したわけではない。私を悪徳不動産屋と呼ぶ善良なる消費者様が、身勝手で中途半端な法律知識で自分のミスを私に転嫁してくる。そんなとき自分の身を守るべく法律を勉強してきただけのこと。
だから私は、自分に有利な法律的考え方を主張すると同時に、利害が対立する立場の人の考え方を同時に想定する癖があるから、相手の攻めてくるところを跳ね返す理論も構築する。
「民事の問題は、利害が対立それぞれが身勝手に自分の意見を主張するわけで、主張を通したければ押し通せばいいだけのこと」
「最終的に正しいかどうかを求めるのなら裁判で争うこと」だが、裁判となると相手からどう攻められるかも想定しておかないといけない。
これは、若い時にディベート大会に出場させられて、学習ディベートのやり方を学んだことが役に立っている。
つい自慢話になってしまったが本題に戻ろう。
往々にして相談というのは自分が求めている答えを肯定してもらうためのものが多い。
それは、不動産業に携わっていて常々感じること。
政権政府の専門家会議の使い方も似ている。
自分の都合の悪い意見は無視してとりいれず、自分の都合のいい提言は「専門家の意見にしたがって」とやってきた。
さすがに、このところの新型コロナ感染の爆発的な拡大に後押しされて、専門家が政府の意向に反して強い反発をするようになったが、もっと早くやるべきだった。
私が専門家委員会の一員だったら、委員会長や総理やそのた偉い人たちの立場を無視して、マスコミに自分の意見を喋りまくっただろう。
何せ私は、悪徳不動産屋なんだから。
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