悪徳不動産屋日記 あなたの確定申告、あなたの税理士さんは大丈夫ですか
昨晩、去年自宅マンションの売却をお世話したお客様から電話が入った。
ちょっと深刻な口調で、「明日の朝は何時から営業されてますか」とおっしゃる。
「朝は9時からですけど、なにかありましたか?」と尋ねてみた。
現在、確定申告の時期だから売却したマンションの申告のことだろうと想像してのことだ。
ただし、このお客さんが売却されたマンションは12年ほど前に購入されたもので、私は、お客様の購入価格を承知しており、売却により譲渡益は出ないので申告しなくてもよかったはず。
その旨は売買の際にお仕えしていた。
何度か書いたことだが、不動産の売買は高額な取引となるため巨額の税金がかかるという恐怖をいだいているお客さんは少なくない。
不動産を売却したことに限らず、税金(所得税)は、利益に対してかかる。
利益が出た人は申告して税金を支払うというのが確定申告なのです。
利益が出てない人は確定申告をする必要はないのです。
不動産を売却したことは税務署にも通知が行くようになっています。
税務署からお尋ねの葉書が来ますが、明らかに売買益(譲渡益)が出ない場合は、それに取得価格(購入価格)と売却価格を記入する欄があって、譲渡益がないので申告しないという項目に〇をつけて出せば、確定申告をしなくても問題ないのです。
バブル崩壊以後の取引の場合、あきからに損をして売る人が多くて、この場合は申告しなくても大丈夫です。
所得が無い人は申告の必要はないのです。
この客様もそれに該当する取引でした。
しかし、お客さんは申告する必要もないという私の話しに不安を感じているようだった。
悪徳不動産屋の話しをそのまま信用できないというところでしょうか。
それで私は、「不安だったら税務署が混雑する前に(確定申告の前にでも)税務署に行って、購入した時の売買契約書と売却した際の売買契約書を持って行って税務署の職員さんに相談すれば問題ないと思いますよ」とお話ししていた。
税金のことなら何にも問題がなかったはず。
そう思って「何かありましたか」と聞いたのだが、「税理士さんに確定申告を頼んだら税金がニ百数十万円 という計算になっていて、税額を記載した納付書(振込用紙)が入っていて、びっくりしてどうしていいかわからない」というのだ。
私の話しはおぼろげに覚えていたのだが、肝心なところを覚えていない。
問題ないから税務署に相談に行けば、税金ゼロということを税務署が教えてくれるということをお話ししていたのだが、税金はかからないという部分は覚えていたのだが、税務署に行って手続きするのは大変だと思って税理士に申告を依頼したのだという。
不動産の売買だけの申告であれば200万円なんて税金は絶対にかからないはず。
この方は高齢(80歳半ば過ぎ)で他の収入はないと思っていたのだが、ひょっとして何か他の収入(株の売買や配当)でもあったのかもしれないと思って確認すると、年金暮らしで他の収入はないという。
この方が売却したマンションは自宅として住まわれていたもので、売却利益が出たとしても居住用物件の売却の3000万円の控除が受けられる物件である。
税金がかかり、しかも税額が二百数十万円というのはわけがわからない。
考えられるのは、取得費(購入したときの価格)が不明な場合は、取得費を売却価格の5%として計算したのではないかということだ。
それで、お客様に「税理士から売ったマンションは、いつ頃買ったものですかとか、いくらで購入しましたかとか、住宅として使っていましたか、賃貸物件として人に貸していたものですかとか聞かれませんでしたか」と尋ねてみると、そんなことは何にも聞かれなかったというのだ。
なんということ。
取得価格がわからないと税金の計算はできない。
売却物件が相続で取得したものだったり、40年も50年も前のことであれば、購入価格をはっきり覚えていなかったり、購入価格を証明する書類がないことも多い。
そんなときは、取得価格を5%として計算するのだが、この税理士さんは何の調査をすることもなく、取得価格5%で申告書を作成したのだとしか考えられない。
取得価格5%とすると、売却価格の90%近くが利益となってしまい、それがまるまる税金の対象の価格となってしまうわけだ。
この税理士さんの信じられない手落ちである。
あきれてものが言えない。
私が、売却の際に税金はかかりませんよという話をしていなければ、このお客様は税理士の計算通り二百数十万円の税金を支払っていたわけだ。
怖ろしいのは、この税理士ようにお客様の利益を考えていない、社会的に信用のある資格者だ。
不動産屋は、悪徳不動産屋という言葉のように、いまだに信用できない職業だと思われているふしもある。
だから、不動産屋の話しは本当かどうか疑って確認する人もいる。
しかし、悪徳税理士や悪徳司法書士という言葉はあまり使われない。
だから税理士さんが計算したんだから間違いないだろうということなる。
それが怖いわけだ。
今回のお客様は、私とは30年くらい前からのお付き合いのある方で、過去に何度も不動産の取引をしている。
私を信頼していたお客様だったから私に相談をかけ、税理士の間違いを正せたわけだ。
それにしても、この税理士。お客様に不動産屋から連絡があると伝えてもらって、その後に私から連絡を入れているのに、いまだに連絡がない。
皆様。自分の身は自分で守る努力をしないと、だまされますぞ。
「悪徳」は不動産屋だけの接頭語ではありませんぞ。
悪徳商法。悪徳商人。悪徳政治家。悪徳弁護士。悪徳税理士。悪徳官僚。悪徳医師。
本物の「悪徳」は、自分から自分を「悪徳」だとは言わない。
世の中、善良な顔をした悪徳だらけです。
お気をつけあれ。
ちなみに悪徳不動産屋の私は、朝から、お客様の購入の際に支払った費用の資料をかき集め整理し、間違った申告をした税理事務所に資料をファックスし、電話連絡をした。
お客様との連絡のやり取りもして、なんだかんだで3時間は費やした。
お客様はそれによって二百数十万円の損失を防げるはずだが、私はもちろん無報酬。
一方、報酬を取って間違った申告をした税理士は、私の電話に事務員が先生は接客中ですと言ったきり、いまだに連絡が無い。
もちろん報酬を戻すことはないだろう。
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