悪徳不動産屋日記 人の死にかかる心理的瑕疵について
昨日書いた「人の死に関する心理的瑕疵の取扱いについて」の話に関連してもう一つお話したいことがある。
国交省のガイドラインでは、老衰や病死等の自然死には告知義務はない。
しかし現実には、中古住宅の売買の際に、家の中で亡くなった人はいないかと聞かれることが多々ある。
自殺や孤独死だけでなく、自然死であっても家の中で人が亡くなっていることを忌み嫌うお客さんが多数派である。
それで、拙は、親の家を相続した物件の売却の依頼を受けた際には、親御さんがどこで亡くなられたかを確認するようにしている。
現在、日本では8割以上の人が病院(医療施設)で亡くなっている。
この統計のとおり、家の中で亡くなったかとたずねてみても、ほとんどの場合、親御さんは病院で亡くなっている。
突然様態が悪くなって亡くなるような場合でも、救急車で病院に運ばれて亡くなっていて、家で看取ったというケースはめったにない。
自宅で死にたいと希望しても、なかなか自宅では死なしてもらえない時代なのだ。
めったにはないことではあるが、自宅で亡くなられていた場合は、悪徳不動産屋たる拙は、事実をそのまま告げる。
事故死、自殺ではなく自然死で家で亡くなるというのは、ほとんどの場合老衰にともなう大往生である。
だから、その通りに説明することにしている。
ただ、日本は死を忌み嫌う文化があるようで、どういう理由であれ人が亡くなった家を気にしないというお客さんは100人に1人いるかどうかといった感じである。
国交省のガイドラインで、自然死は告知義務がないと明示されていても、善良なる消費者様が「人が死んだ家だと知っていたら買わなかった。金を返せ」と怒鳴り込んでこられたら、名の売れた不動産会社や、一般不動産屋さんであれば「法的に告知義務はない」と、歯牙にもかけないのだろうけど 、情けないかな気弱な悪徳不動産屋は身の縮む思いで夜も眠られなくなる。
だから拙は、中古住宅の売却の依頼を受ける場合には、家の中で亡くなられた人はいないかを核にするようにしている。
そんなことを聞くのは大変心苦しいのだが、後で夜も眠れないような憂いを抱え込むよりはましと、意を決して確かめることにしている。
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