ここまでやるか 認諾
2018年に自殺した財務省近畿財務局の元職員赤木俊夫さんの妻雅子さんが国を訴えていた裁判で、国が突然「認諾」の手続きを取り、賠償責任を認めて裁判を終わらせた。
「認諾」という手段を拙は知らなかった。
政子さんは、夫の近畿財務局の職員だった赤木俊夫さんが、誰かに学校法人「森友学園」に関する公文書の改ざんを命じられ、それを苦に3年前に自殺した事実に基づき、国などに対し合わせておよそ1億1000万円の損害賠償を求める訴えを起こしていた。
これは、赤木さんが自殺にいたった原因について一切答えない国に対して、誰が改ざんを指示したのかなど、改ざんに至る具体的な経緯を明らかにするために起こした裁判だった。
政子さんの命がけの願いと、それを全面的に支援する人たちの苦労のおかげで、資料を開示が命じられ、ようやく証人喚問が始まると思われたいた矢先の「認諾」の手続きだった。
「認諾」とは、原告の請求をすべて認めるということ。「原告の訴えの通りご迷惑をおかけいたしましたので損害賠償金1億1000万円を支払いますます」ということだ。
訴えは、損害賠償金1億1000万円をもとめる民事裁判である。
被告が「すべて原告の訴えどりおでした。1億1000万円を払います。」としてしまえば、雅子さんの目的は果たせないまま終了してしまうのだ。
刑事訴訟法では「一事不再理」といって、確定判決がなされた事件については重ねて公訴の提起を許さないとする制度がある。
これは、憲法第三九条「何人も、実行の時に適法であつた行為又は既に無罪とされた行為については、刑事上の責任を問われない。 又、同一の犯罪についても、重ねて刑事上の責任を問われない。」により、一度無罪とされた行為を、あとから有罪とされることはないということだ。
いったん無罪とされたのに、またあとから、起訴されて有罪とされるかもしれないということにおびえて過ごさなくてはいけない。
また、いったん無罪判決がでてももう一度起訴することができるのであれば、無罪判決が出たあとも被疑者は捜査をされ続けることになってしまうからだ。
民事裁判には「一事不再理」という考え方はそぐわないが、損害賠償を請求の民事訴訟に対して被告がそれを認め求められた損害金全額を支払います」としてしまえば、それ以上裁判を継続する手立ては無くなるのである。
今回の国の態度を国民の大多数が疑問に感じるのは、国家賠償請求訴訟において国が認諾という耳慣れない手法で決着をつけたことだ。
さまざまな国家賠償訴訟において、こんなことはさっさと認めて賠償金を払ってやれよというような事案であっても、国は国の威信をかけて、持てる力を総動員して最高裁判所まで争ってきている。
なぜか最高裁まで行ってしまうと、国を擁護する判決がでることも多い。
双方が譲歩して争いを解決する合意をするのが「和解」である。
「和解」はよく耳にする言葉である。
なにせ国は、莫大な資金と膨大な自分に都合のいい情報を収集できる立場にある。
資金的にも時間的にもたっぷり余裕のある国は徹底抗戦をいとわないから、判決までには膨大な時間がかかることになる。
原告の多くは弱い立場の国民で金も時間も無い。
解決までに膨大な時間をかけたのでは原告の利益を損なってしまう。
そこで裁判所が「和解案」を提示し、その和解案をもとに「和解」に合意するわけだ。
この場合、和解の内容は和解調書に記載され,「和解」として裁判は終了するが確定判決と効力をもつことになる。
原告が細かい責任追及をしないかわりに賠償金を給付することになったり、責任を認める代わりに賠償金を減額したり、双方がそれぞれ譲歩しての解決となる。
この問題を知る国民全部が、今回の「認諾」は、文書改ざんを苦に自殺した赤木さんをめぐりる真相解明を避けるためのだと感じているはずだ。
そんな見え見えの手段をとってまで守りたいものはなにか。
それも見え見えなのだけど、それでも明らかになるよりはましなのだろうか。
最近発覚した国交省の統計データー書き換えとか、国を守って支えてきていた日本の役人はどこに行ってしまったのか。
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