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2022年3月 7日 (月)

御侍史(おんじし、ごじし)

 今日、MRI の検査に行ってきた。

MRIの器械は1台1億円以上も(今は少し安くなっているかもしれないが)する。

だから、大きな総合病院にしか置いていない。

今日私が行った病院には、私が診てもらっているお医者さんからの診断依頼状を持参して行った。

その依頼状の宛名には、「〇〇病院〇〇〇〇先生御侍史」とあった。

「御侍史」という単語は私とって未知の言葉。

なんだろうと思ったが、会社や組織に当てた手紙の宛名に付ける「御中」みたいなものかなと軽く受け流していた。

検査が終わり、検査した病院から、私の主治医あてのMRI検査のデータメディアの入った封筒を渡された。

なんと、その封筒にも「△△医院△△先生御侍史」とのあて名書きがある。

ん!またしても「御侍史」

こうなるとググるしかない。

ググってみると、日経メディカルの若手医師や医学生をターゲットにしているサイトにこんな解説があった。

御侍史=おんじし、ごじし」

医師の仕事では、紹介状を出すなど文書でのやりとりが、案外多い。そうしたときに知っておきたい、医師ならではの宛名の作法がある。

それは、「机下(きか)」「侍史(じし)」といった言葉を、宛名の脇付として付けることだ。「御侍史(おんじし、ごじし)」「御机下(おんきか、ごきか)」と書かれることも多い。

脇付とは、宛名の脇に添えて敬意を表するもの。「侍史」は、秘書やお付きの人のことであり、「身分の高い人に直接手紙を出すのは失礼なので、秘書やお付きの方にお渡しする」という意味合いがある。

また、「机下」は「直接お渡しするのは畏れ多いので、机の下に置いておきます」という意味だという。どちらもほとんど同じような意味合いで使われ、使い分けはなさそうだが、意味合いからすると秘書がいる場合には「侍史」を使うというのが理にかなっているかもしれない。

ひと昔前までは、目上の人に対して「机下」「侍史」といった脇付は礼儀だったが、現在、これらの脇付が使われるのは、医師や教師宛ての手紙くらいのようだ。「より丁寧な雰囲気になるから」と、誰彼かまわず使うと、少し恥ずかしいことになる。場面をわきまえた使い方を心得ておこう。

ということであった。

私は、雑学にはちょっと自信をもっているのだが、これは知らなかった。

いくつになっても知らないことは山ほどある。

医療関係では常識の言葉のようだ。

しかし、ある意味これはネット社会になってネット関連コンサルタントが流行らせた言葉ではないかとも私は感じている。

過去にも医者に紹介状を書いてもらったことはあるが、数年前までは「〇〇先生」「〇〇院長様」という「脇付け」(これ今回知った言葉で恥ずかしながら私は知らなかった単語だ)だったように記憶する。

そういえば今、若い人とのメールのやり取りでは、急に「かしこまりました」という返答が多くなってきた。

これはネット世界で、「了解しました」は同格以下の者に対する返答であって、目上の人に対しては「かしこまりました」と返すべきだといわれているようで、そのせいだろうと思って若い人に聞いてみたところ、私の想像通りのことであった。

その若者によると、ネットでそれを知ったちょっと年上の相手から、「おまえ、了解なんてのは失礼なんだぞ」とウンチクをひけらかせれて叱責を受けたそうだ。

流行り出すと一斉に蔓延するのがネット世界。

十数年前に、患者の名を呼ぶのに「〇〇さん」だったのが急にどの病院でも「〇〇様」と呼ぶようになった。

余りにも一斉に急激な変化だったから、突然「様」付で名前を呼ばれたときにはかえって気持ちが悪かった。

ネットはしごく便利な道具だが、強制的に一方向に流れを変えられないように、自分なりの見識を高めることも必要だと私は考えている。

 

 

 

 

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