ちょびが逝った
昨日が最後の別れになると思っていたが、私と家内の見つめる中で、ちょびは静かに眠り続けていた。
朝起きてすぐに様子を見に行ったが、死んだように横たわっている。
体をさすっても動かないが、かすかに呼吸していた。
私は仕事で事務所に出ていたが、午前10時過ぎ、突然、「ウォーッ」という少し大きな鳴き声がして、それがちょびの最期だった。
捨てられて、餌を求めて私に近寄ってきたのが縁で飼うことになった猫だった。
餌をもらいたくて自分から私にすり寄ってきたのに、家に連れて帰って飼い始めたその日から、家内以外の者が近づくと逃げ回る猫だった。
懐かせようと私が餌やりの係をしたのだが、14年間一緒に暮らしてきて、餌やりの時以外は私が近づくだけで逃げ回る。
家内にだけは気を許しているみたいで、自分から膝に乗っていったりするが、家内から近づくとさっと逃げてしまうこともあった。
捨てられて、腹を減らして町を彷徨っている間に、人間にひどくいじめられたトラウマがあるのだろうということだ。
それにしても、いくらかわいがっても懐かないのだから、私とっては最後までかわいい存在ではなかった。
「おまえなー。同じ屋根の下に10年以上いるのだから、そんなにびくびくして暮らしていたら楽しくないだろう」
そう言う私に、家内は家内は「それが猫なのよ」と、それでもかわいいらしい。
そんな14年間。
死んでも涙が出ないだろうなと思っていたのだが、不覚にも涙がでた。
これも年のせい。
年を取ると涙腺がゆるむ。
我が家には、あと2匹の猫がいる。
私たち夫婦の年齢を考えると、この2匹が最後。
私は、命をいたずらに死期を伸ばすだけの延命治療はしないと決めている。
死期をのばすだけの延命治療は苦痛でしかないことを理解している。
だから、猫や犬たちにも延命治療は受けさせない。
幸い、今までに看取った猫や犬たちは大きな病気をすることなく天寿を全うした。
私もそうありたいと、今は思っている。
近づくと逃げていたから、おまえ単独の写真が少ない。
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