河野大臣の言葉の軽さ
河野デジタル大臣が、マイナンバーカードトラブルの責任を取って、給与3か月分を自主返納するという。
またかと、がっかりさせられるヘボいパフォーマンス。
私は、かつて、一瞬、河野さんのお坊ちゃま的目立ちたがり強引政策実行に少々期待していたのだけど、この人のは単に目立ちたいだけのパフォーマンスだけだとすぐにわかってしまって、がっかりさせられた。
3年くらい前に行革担当大臣(だったかな?日本の大臣はころころ変わるからはっきりわからない)になったとき、民から官への行政手続きにて、認印はすべて廃止。押印の99%以上廃止すると大見得を切ったのは記憶に新しい。
そのころの記事を引っ張り出してみた。
曰く、「行政手続きにおける押印の見直しで、民間から行政への手続きの中で押印を求めている行政手続きが、添付書類を含めて1万4992種類ありました」
このうち99%以上になる1万4909種類については廃止を決定をする、あるいは廃止の方向で準備するということになりました。
本人認証にならない認印は全て廃止ということになります。
存続というのは全部で83の手続きだけになりました。
83、いずれも印鑑証明が必要なもの、あるいは登録銀行への届け印などであります。
と言っている。
私は、これには大いに賛成だった。
私は仕事上、役所で様々な証明書等の申請をする。
その際、日本の役所というところは、とにかく印鑑を要求していた。
かつては、自分の住民票や所得証明書を取る時でも、印鑑が無いと取れなかった。
どうにもおかしいのは、印鑑さえあれば、他人が本人になりすましての申請ができるのだが、免許証で本人を証明しても印鑑がないと受け付けてくれないことがあった。
河野さんの発言前からでも、少しづつ印鑑がいらない申請は増えてきていた。
そんな流れの中、河野さんの発言後、私たちがどう考えても印鑑の必要のない申請については印鑑不要という動きが急速に進んだことは、河野さんの功績だと言える。
ただ、民間から行政への手続きの中で押印を求めている行政手続きが1万4992種類で、このうち99%以上の1万4909種類については廃止するなんて、やたらと細かい数字を明示して、いかにも本気でやるみたいに見せかけた割には、まだまだ印鑑を必要とする手続きはなくならない。
私たち不動産屋は、仕事上でお客さんから頼まれて住民票や所得証明、固定資産税の評価証明書等を取ることがある。
その際、依頼された委任状が必要なのだが、委任状には依頼者の印鑑がいる。
その印鑑は認印でもいい。
手続きを急ぐ際には、お客さんから了承をもらって、市販の認印を使って手続きをした。
認印は、ダイソーが、その地域に合わせた認印をそろえていたので、ほとんどの場合110円で手に入れることができた。
それが、河野さんの発言以来、認印の必要性が減ることになったもので、ダイソーが認印の販売をやめてしまった。
河野さん発言は大きな弊害をひきおこしているのだ。
河野さんの言葉の通り、印鑑証明が必要な印鑑以外のすべての印鑑が不要になったのであれば、ダイソーの印鑑の必要はない。
しかし、印鑑を必要とする手続きは膨大に残っている。
必要とされる印鑑がいかに無意味なものかという象徴的なことが、市役所の売店で認印が販売されていることだ。
依頼者の委任状をつけて書類を申請した際に、印鑑がもれを指摘されたときに、売店で認印を買って押印すれば受け付けるのだから、こんな形式的な行事はいらないことは明白なのだ。
ダイソーの認印はすぐれもので、町の文房具店だったら500円から1000円くらいする印鑑が110円だったのだ。
河野さんのせいで、ダイソーが印鑑の販売を中止してしまって、中止になった原因である行政手続きの印鑑廃止は進まず、結果国民は110円だった印鑑の500円以上払わないといけなくなった。
言葉に責任持たんかい!
河野さんの印鑑発言のみならず、政治家の言葉の軽さが透けて見える今日この頃なのである。
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