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2024年11月14日 (木)

悪徳不動産日記 町有地買ったその日に4倍の値段で転売

昨日の新聞の見出し。

「メガソーラー 寝耳に水」

「人口2万人の宮城・加美」

「ゴルフ場前提に町有地売却」→業者は即日転売」

加美町は、自然環境の保全のために、経営不振に陥っていたゴルフ場を買い取っていた。

「チームトレイン」という会社から、その土地を「ゴルフ場の存続」を前提条件として買い取りの申し込みがあった。

チーム社側は、町議間で転売の可能性について「(転売は)詐欺みたいなもので絶対にありません」と答弁していた。

それで町議会は売却を認め、2021年4月23日に、ゴルフ場の土地を「チームトレイン社」に9500万円で売却した。

同社は、その日、世界中で太陽光発電事業を展開している「カナディアン・ソーラー」の子会社に転売する契約をした。

その価格は4億円。

町は、町や町議会を欺いてゴルフ場の土地を売却させたとして提訴した。

驚きは、訴えられたチーム社側は、このことが報道され名誉が傷つけられたとして損害賠償を求める訴訟を提起しているとのこと。

「契約書には転売してはならないという内容がない」と強調して、売買契約の正当性を主張しているのだそうだ。

契約不振に陥っていたゴルフ場を立て直すために結んだ契約で、「売買の形だが、真意はあくまでも借り入れ。その日に3億円もうけたわけではない」と、単純脳細胞の私には理解しがたい主張をしている。

私たちが、事細かに不動産売買契約書を交わすのは、契約者双方がこんな身勝手な言い訳をできないように縛るためだ。

悪い奴ほど善人面して寄ってくる。

私は人の本性は悪だと思っている。性悪説をとっている。

だから私は、人はこんな嘘や言い訳をするこもしれないという前提で契約に立ち会っている。

嘘が無く、すべてことなく収まれば結構。

実際、ほとんどの場合約束通り取引は終了する。

しかしその中に、自分の勝手な都合を主張して契約を捻じ曲げる事態が起きることがある。

それを許さない契約書にしなければならない。

だから、今回、不動産契約書に転売禁止の条項を入れるべきだったのだ。

ただし、転売してはダメですよではダメ。

転売については莫大な損害金条項をつけることだ。

それだけでも安心できない。

今回のようにに転売が予測されるような場合だったら、所有権移転登記に際して、転売禁止を条件とした買い戻し特約の登記をすればよかったのだ。

私がそれをすぐに連想したのは、当地(宮崎県の北端の町・延岡市)の一ヶ岡町の土地の登記には全部その登記がつけられているからだ。

昭和40年代の戦後復興期、住宅は圧倒的に不足していた。

住宅の粗製乱造、とにかく住宅を造れ、造れの時代。

国も国民に持ち家もたせる対策を掲げてさらなる経済成長を図っていた。

その制度資金を使って、当地においては市の南方面の田園地帯に大規模住宅地を造成した。

数千宅地にもおよぼうかという大規模な開発で、宅地造成とともに学校、病院、スーパーも整備した。

世は高度成長期の中の土地不足の時代。土地は2倍3倍と値上がりをしていた。

国の資金を使って、国民の住宅のための造成地を造成して、個人の住宅を建ての人のためだけに販売するという法律だった。

整備された利便性いい土地を安く販売するので、不動産業者や建築業者が転売目的で買うことは禁止されていた。

その際、個人の名義を借りて土地のみ購入したり、先々の土地の値上がりを目的としての購入を阻止するために、契約に付けられていたのが買い戻し特約だった。

すぐに家を建てることも条件で、すぐに家を建てないと売買契約が解除される。

ずるいやつらは、とりあえず人に名義を借りて家を建てて転売するという契約のがれができないように、10年間は転売したら売ったときの値段で買い戻すという特約を付けている。

人は、こんな嘘をつくかもいしれない、こんな法的な欠陥をついてくるかもしれないと、ずるいやつらの考えそうなありとあらゆる手段を想定して、それを阻止するのが契約なのだ。

私は悪徳不動産屋。人を信じていない。だから常に、人はこんな嘘をつくかもしれないという想定を抱きながら仕事をしている。

だから、あまり人に好かれることがないわけだが、困ったときには役に立つ不動産屋となるのだ。

政治家さんたちはじめ、学者さんや、一流会社の責任者さんが、よく「想定外だった」ということで罪逃れをしようとするが、想定外のことをほじくり出すのが悪徳不動産屋の得意技でもある。

悪だくみとまったく無関係のところで生きてきているエリートたちには、悪だくみの方法は考えつかないだろう。

悪徳不動産屋を法律相談者として利用することも必要なのですぞ。

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