「あなたのため」は「じぶんのため」
今日の朝刊にこんなチラシが入っていた。
まず、「日頃より当店取扱紙をご愛読いただき、ありがとうございます。」とある。
次に、「新聞販売店では」とはじまり、続いて文字の色を緑色に変えて「感染予防対策として訪問集金を避け」、「購読料のお支払い方法を口座振替、またはクレジットカード払いへご変更いただくことをお勧めしています。」と続いている。
なんともわざとらしく、マスク姿の男女のイラスト付きでだ。
さらに、「『新しい生活様式』で推奨されている電子決済をご利用いただくことで」ときて、次にまたしても文字の色を緑色にして「みなさまにより安心・安全なサービスをお届けします。」とご親切な気遣いの言葉。
そして、「この機会にぜひご検討ください。」との締めになっている。
さらには、「お申し込みは簡単!」だの、お忙しい方にもとっても便利!だの、すべて読者ためを思って手助けしてあげますよってチラシだ。
どう見ても、新聞社の都合で、口座振替かクレジット払いにして下さいってことだのに、どこにも自分のためだとは言っていないし、お願いしますという言葉は無い。
「私のためではなくて、すべて、あなたのためなんですよ」としか言っていない。
どうして、「人手不足と人件費削減のため」にご協力ください」という言葉を使わないのだろう。
「あなたのため」だというのはまったくの嘘ではない、しかし今日のチラシには「自分の都合のため」という言葉は一切ない。「ご協力お願いします」という姿勢もない。
私は自他ともに認めるへそ曲がり。
こんなことを言われると、ちょっといじめてみたくなる。
「私のことを、そんなにお気遣いいただきありがとう。私は集金の手間をかけては申し訳ないと思って口座振替にしていたのだけど、私は集金してもらう方が銀行残高を気にしなくてもいいし、こちらの都合で支払えるから集金に来てもらおうか」と言って、いじめてみようかと思ってしまう。
「あなたのためだから」とか、「お客様のために」とかいうことをよく耳にする。
しかし、自分にまったく得がなくて相手だけが得するってことをしてくれる人は、世の中に余り多くはいない。
テレビ番組やテレビCMで、「赤字大放出」なんていう言葉を耳にすることがよくあるが、大赤字を背負うためにわざわざ高い広告料金を払ってCMなんかするはずがない。
企業に限らず、政治屋や経済人、評論家、有識者と呼ばれる人や著名人でも、「あなたのためだから」というときには必ず自分の利益が含まれているのを感じることが多い。
「あなたのためだから」「あなたのために」「おとくですよ」は、「わたしのために」であり、とくするのは相手ということがほんとどだ。
胸に手を当てて考えてみるがいい。
相手だけが得して、自分が損をすることを、あなたはしますか?
自分だけが得したい。自分が損することはしたくない。
人が得すると腹が立つ。
これが本音でしょ。
実は、この新聞の販売店は、私が懇意にしている人の会社。
懇意にしているつもりだから、こんなチラシだけだったら、電話して「来月から集金にきてもらえないかな」なんて冗談を言って、また嫌われることになりかねないのが私の悪い性癖。
しかし、今日のチラシには、こんな別刷りの自作のチラシがいっしょに入っていた。
日ごろのお引き立てに感謝する言葉に続いて、「集金にてご利用をいただいているお客様にお願い申し上げます」と続けて、「店が労務難で大変苦慮している」ので、なんとか口座引落かクレジットカードでの支払いに「ご協力ください」と、重ねてのお願いをしている。
これが直接お客様を相手にしている、末端企業の誠意ある姿勢だ。
「お困りなら、協力しようか」ってことになるだろう。
テレビに登場する大会社の経営者や、政治屋、有識者、知名氏たちよ、庶民のことを、国民のことを、本気で考えて物を言え!
「あなたのために」と言って自分の利益を獲得する。
悪事を追及されると、「真摯に受け止めます」という言葉を繰り返して、改めず。
悪事が明白になって逃げきれなくなると、「ご心配とご迷惑をおかけしました」と通り一遍の言葉を吐いて、気持ちのこもっていない低頭をする。
そして、善良なる国民・小市民のご同輩。
いんちきな権力者の傲慢を見過ごしにしてはいけない。













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