昨日も、また話が空中分解して終わっていた。
もう一つの問題テーマの、貸主さんの相続登記の手落ちについての説明が抜けていた。
お母さんが亡くなられて、相続人は長男さんと弟さんの2人だけ。
遺産のわけかたについては弟さんたちと話し合いが終わって、自宅と土地は自分(長男)が相続することになったということであった。
相続登記について私が説明しようと思ったのだが、すでに相続登記は終わらせたということで、登記事項証明書を持参されていた。
確かに、名義は長男に移転していた。
しかし、登記のやりかたがまずい。
税法と不動産登記に詳しいものがこの登記事項証明書を見れば、一目でまずい登記手続きをしていることに気づくはずだ。
登記のやり方次第では、不動産売買に関する税金【(不動産)譲渡所得税)】をゼロにすることも可能だったのだが、この登記では税金を300万円程度払わなければならないことになるだろう。
私は相談者の家族構成、生活状況、所有不動産の内容等の状況を詳しく承知している。
そして、重要な問題は、相続した家と土地を近い将来に売却したいという意向があること。
それを承知していれば、今回のような登記内容にはならないはずなのだ。
なにがまずいのか。登記の内容の概略は以下のとおりだ。(個人情報にかかわるので、期日等は実際のものと違う)
令和6年〇月に所有権移転されている。
この日は「所有権移転登記」の申請をした日で、法務局が登記を受け付けた日だ。
この登記の内容を見ると、登記の原因が「平成12年〇月〇日 相続」となっている。
お母さんが亡くなったのは、去年(令和6年)だ。
この登記を見ると、お父さんが亡くなられたのが平成12年。そのときに相続登記をしていなくて、去年お母さんが亡くなられたあとに、弟さんとの間で話し合って長男さん名義になったことがわかる。
これがまずいのだ。最大にまずいのは現在の所有者が長男の名義であること。
長男さんが売主となって売却するにあたっての譲渡税の軽減措置はなにもない。
おそらく、購入時の契約書等も無いだろうから、売買額のほぼ全額について約20%の税金がかかる。
この土地の売却価格は1500万円前後だろうから、約300万円の税金が発生する。
従来から、自分が住居として住んでいる家を売る場合には3,000万円の控除という規定があった。
親が亡くなって相続した家を売っても3,000万円の控除は適用されなかったのだが、現在時限立法で、相続した家が一定の要件をみたす空き家であれば3,000万円の控除を受けられるようになっています。
今回の相談の家は、実際にはお父さんが亡くなった後は、お母さんが一人で住まわれていた。
だから、本来ならこの時点でお母さんの名義にして、お母さんが亡くなった後に長男さんが相続して売却して売却するのであれば3,000万円の控除の対象となった物件でした。
今回の登記の内容では、お父さんが亡くなられたときに長男に所有権が移転しています。
この時の遺産分割協議で長男が相続して、長男の家にお母さんが住んでいたということになります。
従って、長男が売主となって売却する場合3,000万円の控除は受けられません。
ではどうすればよかったか。
まず、今回の相続人になる兄弟間で、お父さんが亡くなった時点では、亡くなったお母さんが不動産を取得したという内容の遺産分割協議を長男と次男で行い、次にお母さんの相続人である長男と次男で、亡くなったお母さんの取得した不動産を長男が取得するという内容の遺産分割協議書を作成して相続登記申請をすればよかったのです。
この場合、登記は
原因 平成12年〇月〇日 延岡花子(仮名お母さんの名前)
令和6年〇月〇日 相続
所有者 住所延岡市○○町○○番地
延岡 一郎(仮名 長男さんの名前)
という、ちょっと特殊な記載になります。
通常、相続登記は司法書士に依頼してやってもらうことになります。
司法書士は、不動産登記・商業登記についての業務独占資格者で、登記の専門家ですが税務の専門家ではありません。
たたし司法書士の一番大きな仕事は不動産登記ですから、不動産にかかわる税については理解している司法書士の方が多いと思いますが、税金対策に考えがおよばない司法書士がいないともかぎりません。
また、登記の依頼を受けたときに、それぞれの顧客の相続後の情況まで気にしないで登記をしてしまうこともありえます。
今回の場合は、ご自分で登記をされたのかもしれません。
最近、インターネット等の影響で、不動産登記を自分でやるかたがおられます。
今回の場合、司法書士の相続登記の手数料は5万円程度だと思います。
5万円を惜しんで300万円を損することにるかもしれません。
ちなみに私は行政書士の看板もあげておりますが、私が相談されていたら、無料・即答で、ご助言さしあげたところです。
私、これは言わない方が得だとか、知ってることを黙っておこうなんてことができない、悪く言えば空気が読めなくて余計なことを言ってしまうASDの性向もあるもので。
今回の事例は、この状態になってしまって司法書士さんや税理士さんに相談に行ったら、3,000万円控除は受けられないと言われると思います。
私は、私に相談があれば、3,000万円控除を受ける方法はないか時間をかけてやってみたいと思っています。
私は昔から、金にならないわりに膨大に時間はかかる特殊な事例に出会うと、つい血道をあげてしまう悪癖がありました。
このお客さんから懇願されれば、全力をあげてやってみようかということになるのだと思います。
ただ、このお客さんは懇願はしないだろうなあ。
懇願されたとき以外は助力はしない。だって私は悪徳不動産屋なのだから。
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