悪徳不動産屋日記 不良空き家解体に対する補助金②
9月2日のブログの「不良空き家解体に対する補助金」について、導入部の話が長くなって補助金の話ができなかった。
相続した空き家の売却と解体についての相談をされて、けっこうな手間と時間をかけてお答えしたまま、その後うやむやに話が中断していた人から突然電話があった。
1年くらい前に売却を前提に、売却方法、建物解体、その他諸々の相談を受けた人だ。
売却にあたっては非常に売れにくい条件が重なる物件だったので、その旨の説明をして、概略の想定価格、さらに建物解体費用についての概算の話をしてあげた。
すると、相続人間で話し合いをするのに、価格査定書と解体見積もりをしてくれとの要請があり、急がされて査定書を作成し、簡易な解体見積もりもした。
それについては、登記事項証明書、公図も取った。土地が複数あって私道がも絡むので登記事項証明の費用だけで実費で2,000円以上かかった。
その負担も請求しないまま、なんとか要望に合わせて査定書を作成し送ったのに、その後連絡が無いので問い合わせをしたら、自分は直接の相続人ではなくて、私が送った書類は相続人に渡してあるので、どうするかまだ決まらないので、また連絡すると言ってそのままになっていた。
良くある話で、その後私からは連絡を取らなかった。
携帯電話に名前は登録していたので、あの時の人だとはわかった。
私は、相続人の話がまとまって売却の依頼になるのかなと思って電話をとった。
すると、いきなり、「ブロック塀の撤去について市に申請して補助金を受けられることになった。家の解体の補助金も受けようと思っていて、市との現地立会があるので連絡をしました」と言う。
なんのこっちゃ?と思ったけど、内容は理解できた。
人が通行する道路に面して築いているブロック塀が、崩壊、倒壊する危険がある場合に、その撤去費用の一部に市の補助金が出る。
家の解体費用の補助金というのは、市が倒壊等の危険のある不良な建物だと認定した建物については、解体費用の一部を市が負担するということだろう。
ブロック塀除去については、工事費の3分の2の補助金(工事費の上限356,000円)が出る。
今回の物件のブロック塀については、私の判断でも補助を受ける要件に該当するだろう。
案の定、これはすでに認定が出たということだ。
ブロック塀の解体撤去費用は30、40万円だろうから、自己負担は10~20万円で済む。
今日の電話は、建物解体については審査がまだ終わってなくて、建物調査の現地立会日が決まったので私に連絡をしたのだと言う。
だから一緒に立ち会ってくれということなのかもしれないが、私が立ち会う権限も意味もない。
そもそも、なぜ家を壊すことになったのかもわからない。
家が売れたのであれば、家の売却にかかわった不動産会社に頼むべきこと。
それで、なぜ家を壊すことになったのかと聞いたところ、補助金で解体できるから壊しておきたいということのようだった。
私の知識では、再建築できる土地に建っている家の解体は補助金の対象にならないはずだ。
なぜなら、古い家を壊して立て替える人のための費用を税金で支援することはできないからだ。
相談の物件は建て替えが可能な土地だから、対象にならないはずだ。
そう思ったが、国をあげての空き家対策で、新たな制度ができたのかもしれない。
それで、市のホームページで確認してみたら、再建築可能な地域でも、使われないない空き家が危険であると判定されたものに付いて補助金が支給させれるという制度ができていた。
ただし、補助を受けた年度の次の年度末まではその土地には建築はできないという制限がついていた。
これで納得。補助金があるうちに家を解体しようということなのだろう。
ところで、電話をかけてきた人の相談だが、市役所の調査の現場立会をしてもらいたいようだが、さすがに今回はご勘弁願いたい。
私はなんの権限もないし、私が立会する意味ありませんから...といって丁重にお断りした。
相談者は多少不満のようで、どうしたらいいのかということを聞いてきたが、そんなことを言われても、まずこの方がどうしたいのかがわからない。
そもそも、以前相談を受けたとき、家を壊して土地にしてしまうと売れないので、家を壊すことは止めていた。
なぜなら、この住宅が面する道路に沿って大きな用水路があって、この住宅のすぐ目の前に「警告」「ここは土石流発生の危険があります」という大きな警告看板が設置されているのだ。
土石流の危険があるという警告看板の目の前の土地に1,500万円~2,000万円かけて新築する人がいるだろうか。
さらには、北側は山が被っていて土砂災害危険区域に指定されている。前面道路は離合できない細い道。土地は水路からあふれた水害を予測して道路より一段高くなっていて駐車しにくい地形になっている。
悪条件のオンパレード。
私の提案は、現境のまま、とにかく「安いなー」と思う価格で販売をかけてみるこというものだった。
価格の安さで、がまんしてここに住んでみようかという人がいないとも限らない。
ただし、悪徳不動産屋としては、この悪条件を包み隠すことなく、むしろ重要事項説明書で詳細説明した上で、それを納得したお客さんにしか購入してもらえませんよということまで説明している。
売主さんにとっては、欠陥を暴露する悪徳不動産屋となってしまうが、私・悪徳不動産屋は欠陥を隠して売ることはしない。
相談者に市役所との立ち合いは私の仕事ではないことは理解してもらったが、建物解体についての相談が続く。
やはり、補助金を使って解体したいということなのだ。
人は、なんと補助金という言葉に弱いのだろう。
補助金=もらわなければ損 という人が多い。
建物解体の補助金は限度額60万円。
おそらく、この家の解体費用は200万円超になるだろう。
差引140万円の出費となる。
140万円かけて近隣の安全のために家を撤去するという尊いお考えなのだろう。
ご立派なことで、頭が下がる。
感服したところで私が話しを打ち切ろうとするのだが、話しが終わらない。
解体の見積もりをしてもらえないかというが、前回の件もあるので、見積もりについてはご自分でお取りくださいとお断り。
どこに頼んでいいのかわからないとおっしゃるので、スマートフォンで「家、解体、見積もり」と検索するとすぐに見つかりますよと教えて差し上げた。
たくさんあってどこに頼んでいいかわからないというので、複数の業者さんから見積もりが取ってみるといいですよ。
見積をしたからといって、工事はしなくていいのですよ。
その後実際工事をすることになったら、私に相談してください。
そのときは、その見積もりのどこよりも私が安いところをみつけてあげます。
これで話を打ち切ろうとしたのだが、さらなる質問を受けた。
「売るのにやっぱり家は壊したほうがいいですよね?」
えっ!近隣の安全のために家を壊すんではなくて、売るために壊すのか。
ここで私は、また余計な助言をしそうになった。
売るためだったら、高い金をかけて、あわてて家を壊す必要は無いんじゃないですか。
土地にしてしまうっても、なかなか売れませんよ。
そう思ったが、私は言葉にすることを留めた。
私は悪徳不動産屋。
、
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