書籍・雑誌

2024年8月17日 (土)

サンショウウオの四十九日

昨日の、「俺たちの箱根駅伝」の読後感に引き続いて、今日は「サンショウウオの四十九日」の読後感。

昨日のブログに書いた通り、図書館に予約していた本が届きだすといっぺんに届くという本の一つだ。

「サンショウウオの四十九日」は直近の芥川賞受賞作。

7月17日に芥川賞と直木賞の発表があって、すぐに当地(宮崎県の北端の町・延岡市)の市立図書館で蔵書検索をかけてみたが、両人とも当地の図書館には登録が無かった。

まだ増刷されていなくて手に入っていないということだったのだろう。

芥川賞をとったあとに新聞にも広告が出て、再度検索をかけてみたら図書館に入庫していたので予約していた。

芥川賞は純文学。純文学だけどさすがに芥川賞受賞直後だけにすでに4人待ちになっていた。

何度か書いてきたことだが、私は読書力も貧弱で読書家ではない。

ただただ、話題作で騒がれているからミーハー精神で読んでみようと思うだけ。

超人気作という小説を借りてきても、面白さがわからず、読み切れなくて貸し出し期限(2週間)が到来して読まないまま返却ということの方が多い。

そんな中で、「俺たちの箱根駅伝」は面白かった。700ページ超の長編だったが一気に読んでしまった。

それを昨日のブログで書いた。

実際には、2,3日前に書いていてブログ公開の操作を忘れていて、昨日アップしたのだが・・・

「俺たちの・・・」の後に読んだ本(予約が廻ってきた本)は「サンショウウオの四十九日」

「サンショウウオの・・・」は140ページちょっと。

読み終えるのに4日かかった。

「俺たちの・・・」で読書の面白さを感じて、その勢いでよんだから読み切れたが、その勢いがなければ最初の10ページくらいで読むことを中断していただろう。

哲学書というか科学書というか、何がどうなっているのか難解で、筋書きも頭がこんがらがる内容で、「俺たちの・・・」を読み終えた勢いが無かったら読み通す気力はなかっただろう。

 

「サンショウウオの・・・」でいいたいことはこういうことなのだろうと、わからないでもないが、わかりやすく説く方がいい。

私は小説は面白いということがいちばん大事だと思っている。

井上ひさしさんの言葉に「むずかしいことをやさしく、やさしいことをふかく、ふかいことをおもしろく、おもしろいことをまじめに、まじめなことをゆかいに、そしてゆかいなことはあくまでゆかいに」というのがあるが、これが私の求める小説。

凡人でもわかりやすくないと読んでもらえないだろう。

とにかく私の読書力では、わからなかった。

 

読み終わって、芥川賞の選者たちの選評を読んでみたが、やっぱり難解な本のようだった。

選者の中にも難解だという意見があって、なぜかほっとした。

 

もう1作。同時受賞の「バリ山行」も図書館には蔵書されていなかった。この著者のペンネームは長山K三蔵。

この人は、ペンネームと受賞記事で掲載されていた見た目が気になっていた。

いま、図書館で蔵書検索をかけてみたら入庫していた。

早速予約したが、なんと、まだ1人待ちの状態だった。

 

ミーハーじじいの好奇心の旅は終わらない。

2024年8月16日 (金)

俺たちの箱根駅伝 池井戸潤

オリンピックで、深夜、明け方までテレビを見ることがあって、10日からはお盆休みもかさなって、もともと狂っていた私の睡眠時間のリズムがさらに狂ってしまった。

さる、連休初日の10日のこと。

午前2時になってもなかなか寝付けなくて、図書館から借りてきてそのまま机の上に置いていた「俺たちの箱根駅伝」を読み始めた。

著者は、かの人気話題ドラマ「半沢直樹」の原作者池井戸潤さん。

ベストセラーとして新聞の広告を見て図書館に予約していた。

ちなみに、予約したのは5月19日。すでに15人待ちの状態だった。

私は、新聞広告で気になった本があると、市立図書館のウェブサイトで検索して図書館に蔵書があれば予約する。

待つこと3カ月、ようやく順番が廻ってきた。

私は新聞子広告から種々雑多な本を予約しているのだが、「俺たちの箱根駅伝」のような人気作は15人待ち、ちょっと人気作だと3,4人待ち、そこそこだと1、2人待ちとなって、つねに5~10冊予約状態だ。

それぞれ待合日は違っているのだが、それが不思議なことに2,3冊同時日に順番が回ってくることが多い。

今回も、「俺たちの・・」は他の本3冊と同時に貸出し可能の通知が来た。

「俺たちの・・」は上巻376ページ・下巻336ページの超長編。

他の本と併せて5冊。返却期限は2週間。

老眼が進んで読書力の弱っている私には、手ごわそうなので読むのを後回しにしていた。

最近は、眠れないときに本を読み始めるとすぐに眠くなる。

この日もなかなか眠くならないので、睡眠薬代わりに「俺たちの・・」を読み始めた。

しかし、これが大失敗。

最初の数ページで、物語にしっかり釣り込まれてしまって眠れない。

あっという間に未明の3時半。

目が疲れて少し眠気も感じてきたような気がした。

本を閉じ、電気を消してベッドに横たわったのだが、話しの続きが気になってまったく眠気を感じない。

眠くなるまで本を読んでいようと、ベッドに寝そべったまま読書を続けた。

話しの展開が面白すぎて本を閉じることができない。

空が白み始め、気が付けば7時半。

上巻を読み終えてしまった。

完全徹夜は何十年ぶりのことだろう。

眠気はないし疲れも感じない。

ベッドから起き出して間に降りていくと、かみさんから「なんではやいの。今日は休みじゃろ」と言われる。

「『俺たちの箱根駅伝』という本を読んでいたら面白くて徹夜で読んでしまったよ。上巻を読み終わったから、あんたも読んでみる?」というと、かみさんは、「駅伝は興味ないから、いいわ」とのつれない返事。

カミサンガ見ているテレビをいっしょに見ていたが、面白くない。

「寝てないから、ちょっと寝てくるわ」と言って、自室に戻ってベッドに横になった。

眠気を感じないので、目を疲れさせれば眠くなるだろうと、下巻を読むことにした。

しかし、睡眠薬代わりの本が覚醒剤となってしまった。

駅伝のレース展開にわくわくさせられて、次から次へとページが進む。

結局、選手たちがゴールするまで一気に読んでしまった。

 

私は、小説を読む能力には劣っていて、話題作を借りてきても最初の読み始めで興味を持てないまま返却してしまう本も多い。

話題作だから、なんか面白い話になるのだろうと読み進めて読み終わった後に、なんでこれが本屋大賞なんだろうとか〇〇賞なんだろう。

良さのわからない自分が、読み取る能力に欠けているのだろうが、小説なんてのは哲学書ではない。

映画や美術と一緒で、私は、自分にとって面白い作品が自分にとっての名作だと思っている。

面白いとかキレイだとか、美味しいとかは人それぞれ。

私が小説に求めるのは、まずわかりやすいこと。

そして、悲劇よりは喜劇の方が良い。

かわいそうでもらい泣きする話より、嬉しい涙や感動の涙を流させられる話がいい。

読んだ後、ズーンと暗い気持ちになる話より、希望がわく話がいい。

評論家や世間の評判は参考にはするが、それはあくまでも参考意見。

いい年食っているのにミーハー(わかるかな?)で、話題作は読んでみるが、時間の浪費だったというものが多い。

小説は自分の好みだろう。

 

それにしても、「俺たちの箱根駅伝」は面白かった。

完全徹夜して、そのまま昼過ぎまでかけて上下巻とも呼んでしまった。

 

面白かったことのご報告と、徹夜で本を読み続けることのできた自分の体の丈夫さにも自信が持てた出来事だった。

 

 

 

 

 

 

2023年8月 1日 (火)

だいじょうぶだよ、ゾウさん

毎年、毎月、おどろいてしまうのだが、早や8月1日。

今朝は、1日(ついたち)を意識していたのだが、うっかり今日が終わりかけていた。

なにごとも継続のできない拙だが、1日だけはブログを更新してきていた。

 

さて何を書こうかとおもって、今日を振り返ってみた。

 

そうだ、今日は思いがけないいいことがあった。

なんでこうなったかわからないのだが、この数十年で一番感動する本に出合った。

 

本の題名は、「だいじょうぶだよ、ゾウさん」

絵本だ。

拙は、日常的に図書館で本を借りて読んでいる。

ただ、図書館に出向いて本を探して借りることは少ない。

拙は、新聞やマスコミで話題になっている本があると、Amazonでそのないようを確認し、そのまま購入することもあるが、即決で購入の決断ができない本は、当地(宮崎県の北端の町・延岡市)の図書館に無いかインターネットで検索して、図書館にあれば図書館で借りて読んでいる。

話題の本は20人待ち、30人待ちということもあるが、急がなくてもいいと思う本は、予約を入れておく。

常に5,6冊予約をいれている状態で、本の貸出期間が2週間だから、借りている本の返却日が近づくころには次の予約本の順番が回ってくるというサイクルになっている。

 

今日は、図書館から2冊が貸し出し可能ですという通知が来た。

1冊は確かに記憶のある本だったが、1冊はまったく予約した記憶のない題名の本だった。

題名は「だいじょうぶだから、ゾウさん」

図書館に取りに行くと、絵本だった。

A4くらいある大きな本だが、ページ数は10ページくらいの薄いもの。

なぜ借りたのか、その経緯にまったく記憶がない。

新聞か週刊誌の書評か、テレビかラジオ番組の中で話題になっていたのを聞いて借りたのだろうが、借りた理由も内容も全く記憶にないのだ。

 

絵本だから、絵が主役で、文字は1ページに5行程度。

さらりと読んでみた。

これが、うれしい誤算の、素晴らしい内容の本だった。

高齢者真っただ中の拙の心に、じわっとしみる。

じわっとしみて、かなしくて、なぐさめられて、ほのぼのとして、こころがやすらぐ。

なんていい本に出合ったんだろう。

 

子どもたちにも読んでもらいたい。

孫に読んで聞かせたい。

 

8月は、いい始まりになった。

 

 

 

2021年5月29日 (土)

元彼の遺言状

 久しぶりに、いっきに小説を読んだ。

 その本は「元彼の遺言状」。

 2021年 このミステリーがすごい大賞を取った作品だ。

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 パラパラと読んでみて。

 私は小説読みが弱くて、普通なら最初の1,2ページで小説の世界に入り切れずに、後で読もうと放置してしまうこと多い。

 そして、図書館の締切期限ギリギリになって義務的に読むことになったり、読まないまま返却することも少なくない。

 しかし、この本は違った。

 「なんじゃー!これは!」「なんという女だ。このあとどんな展開になるのだ?」

 私は、1ページ目からいっきに小説の中に引きずり込まれた。

 いきなり、こう始まる。

 「差し出された指輪を見て、私は思わず天をあおいた。
 働妙と私は、東京ステーションホテルのフレンチレストランで、フルコースのデザートを食べべ終わったところだった。
「これはどういうつもり?」
 私は尋ねた。レストランのスタッフが花束を用意しているのも見逃していなかった。
 信夫は、私の驚いた様子を見て、満足そうに微笑む。
「だから、僕と結婚してほし」
[そうじゃなくて]
 私はガツンと刃を入れるように、信夫を遮った。
「この指輪はどういうつもりって訊いているの」
 ため息に似た深呼吸をひとつすると、指輪を指さした。
「この指輪、カルティエのソリテールリングよね。定番なのは分かるけど、安直すぎないかしら。それに何より、このダイヤの小ささを見てちょうだい。0.二五カラットもないようだけど、よくもカルティエでこんなに小さいダイヤが買えたわね」
 信夫の顔から、血の気が引いて行った。

 すごい展開である。

 話は、男がホテルのレストランで婚約指輪を渡そうとするところから始まる。

 男はホテルのレストランのフルコースを予約し、サプサイズでプロポーズの指輪を渡そうと準備をしていた。

 そのことはホテルにも伝えておいたのだった。

 

 女は婚約指輪が安すぎると男を責めまくる。
 女は弁護士。
 男は、電子機器メーカーので研究開発職。
 世間の平均以上の収入はあるのだろうがサラリーマンである。
 女を喜ばせるつもりだった。
 婚約指輪の相場を調べて自分達の年代の平均より少し色をつけて用意していた。
 そう言い訳する男に対して、女は「だから何?」「あなたの私への愛情は、世間の平均程度ってこと?そもそも私は、自分が世間の平均どおりの女だと思ったことはないし、平均が四十万円だとしたら、百二十万円の指輪が欲しいの」と言い放つ。
 男は呆気にとられて、餌を求める魚のように、口を開け閉めしていた。
 レストランのスタッフも、おどおどしながらその様子をうかがっている。

 「ごめんね。貯金をしているつもりではあるんだけど、メーカーのサラリーマンでは限界があって」と、泣き出しそうになりながら訴える男。
 その姿を見て、さらに女の怒りは増した。
「何が何でも、欲しいものは欲しい。それが人間ってものでしょう。お金がないなら、内臓でも何でも打って、お金を作ってちょうだい」「何もしてないのに、それでお金がないから無理だなんて、つまり、あなたは私のこと、何が何でも欲しいってわけじゃないのよ。その程度の愛情の男には、私の人生に割り込む資格は無いの」と言い放つと、テプ金をポンとテーブルの上に置くと、男を一人残して、席を立った。
「さようなら」と別れの言葉を告げてホテルを後にした。

 なんちゅう話だ。
 いつもは、なかなか小説に入りめない私ではあるが、一気に小説の世界に引き込まれてしまった。

 それに日頃私は、DVDやネット配信の映画を見ていて、転換の遅い映画は早送してしまう癖がある。
 小説は、早送りはできないので展開の遅い小説だと、斜め読みして読み飛ばすことが多い。
 しかし、「元彼・・・」は展開も早い。
 早送りすることもなく、300ページちょっとの本を一気に読み終えた。

 「面白い小説は、面白いなあ」と、小説の面白さを再認識した。
 
 図書館のホームページを見ると、「元彼の遺言状」は、図書館ではいまだに予約29人待ちの状況。

 お待たせしては申し訳ないので、早々に返却してきた。こう見えて(どう見えているかはわからないが)私は、いい人なのである)

 外出自粛で時間を持て余している方、ご覧あれ。

2020年11月25日 (水)

三島由紀夫命日 没後50年

 1970年(昭和45年)11月25日。

 三島由紀夫が、市ヶ谷の自衛隊駐屯地で割腹自殺をした日だ。

 私は、そのニュースを学校から帰る電車の中で知った。

 事件が起こったのは、その日の午前11時くらいからのこと。

 三島由紀夫が自衛隊員を集めてバルコニーで演説したのが12時頃。

 演説をやめ割腹自殺をしたをしたのが12時20分くらいであった。

 私は何も知らないまま電車に乗った。

 まだ混雑前の3時か4時ころだったと思うのだが、吊革につかまり立っていた。

 すぐに、隣に立った人が開いている新聞の、バルコニーに立ち演説をする三島の写真と、「三島由紀夫官服自殺」の大きな見出しが目に飛び込んできた。

 私は、即座には実際に何が起こったのか理解できなかった。

 三島は憂国という彼の代表的な小説を、自ら監督・主演し映画化していた。

 壮絶な切腹シーンが話題となった映画で、これも私は見ていないが、切腹のシーンはグラビヤやポスターで何度も目にしていた。

 しかし、それも芸能人化した小説家のお遊びだと思ってた。

 本当にやってみろ。激痛に耐えて切腹などできるものか。

 私はそう思っていた。

 車内を見回すと、回りの乗客が手にしている新聞すべてが同じ写真と見出しだった。

 私は隣で新聞を開いている人の迷惑も顧みず、その新聞をあからさまに覗き込んだ。

 その人はいい人で、嫌な顔もせず私が読みやすいように新聞を開いたままにしてくれた。

 三島が軍服を着てビルの屋上で演説をしているのは市ヶ谷の自衛隊の建物のようだ。

 一瞬、次の映画の宣伝の写真家と思ったが、新聞を読ませてもらうと、市ヶ谷の自衛隊駐屯地で割腹自殺をしたことがわかった。

 私は、なぜか、「負けた」と思った。

 当時私が通っていた中央大学はお茶の水にあった。

 事件があった市ヶ谷はお茶の水から3つ目の駅である。

 こんなに近くで日本史に残るような大事件が起こっていたのに、私のまわりにはぜんぜんこのニュースは伝わってこなかった。

 電車が市ヶ谷駅を通過するとき自衛隊の建物の方を見たが、こんな大事件があったとはわからなかった。

 下宿のある高円寺駅を降りると、すぐに夕刊を買った。

 やはり三島由紀夫は自衛隊で演説した後、割腹自殺をしていた。

 部屋に帰ってテレビをつけると、すべてのチャンネルがこのニュースだった。

 私はなぜか混乱していた。

 そして意味の無い敗北感を感じた。

 三島由紀夫は、早熟の天才作家と言われ、ノーベル賞候補にもなった日本を代表する小説家だ。

 しかし、はずかしながら、私はいまだに三島由紀夫の小説を読んだことはない。

 読みもしないで、メディアに出まくる三島の言動を見聞きして、小説を書くことに行き詰って右翼的な過激な発言をしている目立ちたがり屋だと決めつけていた。

 割腹自殺という過激な幕引きを見せつけられ、私は三島の足の裏にも及ばない未熟な身で、なぜか「負けた」と思い、不遜にも敗北感を感じたのだ。

 その後も私は、三島の小説を読んだことはない。

 このところ新聞や週刊誌で三島由紀夫をとりあげた記事を目にすると思ったら、没後50年目の節目の年だった。

 遅ればせながら、三島由紀夫の代表作を二つ三つ読んでみようと思っている。

2015年12月 7日 (月)

図書館VS出版社 図書館の新刊貸出1年延期

 公立図書館が新刊本を貸し出すことの是非が議論になっている。

「売り上げに悪影響が出る」と、一部の作家や出版社が図書館側に貸し出し開始を遅らせるよう求めている。

私も図書館を利用させてもらっている。

当地(宮崎県の北端の街・延岡市)のような地方の小さな町では、新聞の広告で気にとなる本があっても、本屋さんには並ばないものが多い。

それで気になる本はアマゾンで購入していたのだが、署名に引かれて買ったものの、中身をみたら買わなくてもよかったという本が少なくない。
 
 そんなとき、図書館の蔵書がインターネットで検索できることを知った。
 
 それに、話題の新刊本がすぐに入荷するということもわかった。

 貸し出し可能か貸し出し中なのかもネットでわかるし、貸し出し中の本はネットで予約もできる。

 貸出中の本は予約をしておけば、本が帰って来たときには連絡をもらえる。

 このことを知ってからというもの、買おうか買うまいか迷う本については蔵書検索をして、図書館にあったときは図書館で借りることにした。

 話題の芥川賞受賞作「火花」は、受賞前の3月に予約した。

 そのときすでに30数人待ち状態であったが、敢えて買うまではないと思い、数か月待って借りて読んだ。

 図書館側は「貸し出しが販売部数に響いているかは不明確だ」という見解を述べているが、販売部数に影響しているのは明らかだろう。

 出版不況に苦しむ出版社や作家たちが、一定期間は貸出の自粛を求めるのは当然のことのように思える。

 多作のベストセラー作家は別にして、このところの出版部数を聞くと、作家の懐具合が心配になる。

 1万部売れたらまずまずというのが昨今の出版事情。

 1万部売れたときの作家の印税収入は130万円~150万円といったところ。

 年に5冊程度の出版だと、生活も楽じゃないだろう。

 新刊の貸出自粛となると、私も出費が増えることになるが、出版界存続のためには仕方がないことかもしれないなあ。

2013年5月 1日 (水)

「ラスト・スタンド」アーノルド・シュワルツネッガー

 仲のよい不動産屋さんに寄ったら、「(先週の)土曜日は休んでましたね。3連休でどこかに行ったんですか?」と聞かれた。

 その言葉の中には、「余裕がありますね」との意味合いが含まれていたのだが、とんでもない、その逆だったのだ。

 何年か越しかの話がまとまったと思っていたら、宮崎にいる売主さんの子どもさんが入院して、売主さんがいつ延岡に帰れるかわからないというので、契約書を持って私が宮崎に行ったのだ。

 他に差し迫った商談はなかったので、土曜日を臨時休業にしたというわけである。

 商談が思いの外スムーズに終わったので、宮崎に来たついでに映画を観ることにした。

 前置きが長くなったが、ということで、その日が封切りの「ラスト・スタンド」を観た。

 あまり積極的に観たい映画ではなかったのだが、他に観たい映画がなかったことと、シュワルツネッガーの復帰作ということでことで、これを観ることにした。

 しかし、結果は期待を裏切る?面白い映画だった。

 最初の内の印象は、シュワちゃんも年をとったなー。で、どんな映画になるのかと思って観ていたのだが、まー、その面白いこと。

 痛快活劇映画としての出来は、私の好みで言えば、最高!

 シュワルツネッガーの代表作となる映画じゃないかと思った次第。

2013年2月 1日 (金)

「長生きしたけりゃ肉を食べるな

 「76歳で白髪なし! 老眼なし! 病院に行ったこともない!」

 今日の朝刊に、こんなキャッチコピーで4段通しの大きな本の広告が、目を引いた。

 著者の大きな写真も載っている。

 76歳という年相応の写真である。

 小見出しで、「私の話を聞いて、食事法を実戦してくれた人たちは、『病気が治った』『黒髪がどんどん生えてきた』『資力が上がった』等々、身体のミラクルに驚いています」ともある。

 後退する髪や、進む老眼に悩んでいるおじさんとしては、購買意欲をそそられるコピーである。

 さらに、この本の内容がわかる目次のようなものも掲載されていた。

 「甘いものを食べるとうつになる」

 「日に3度の食事は食べ過ぎ」

 「電子レンジは身体を毒する」

 「お酒を飲むなら日本酒がいい」

 ふむふむ。

 砂糖が身体に悪いのは、良く言われること。

 私も、1日1食でやっているから、これも納得。

 電子レンジが悪いのは冷凍食品が悪いのだろうか。

 日本酒がいいっていうけど、今の日本酒は添加物が多かったはず。

 しかし、ここいらまではまだ許せる。

 しかし、「現在手に入る卵に栄養はない」「人工の菌を使って大量生産した納豆が身体にいいはずはない「牛乳は身体に悪い」と続く。

 ここまでくると、私の購買意欲は失せてしまった。

 「安全なはずの有機野菜も安全ではない」「パン食は万病のもと」にいたって、購入を見合わせることにした。

 「長生きしたければ肉を食え」という本もでている。

 検索してみたら、「長生きしたければ朝食は抜きなさい」「長生きしたければ朝3時に起きなさい」なんてのもある。

 「長生きの秘訣はなんですか?」なんて、ご長寿のご老人にインタビューしているニュースをときどき見かける。

 その答えは、「黒糖酒が長生きの秘訣」だったり、「毎日牛乳を飲む」というのがあったりする。

 最近、双子の長寿で有名になった「銀さん」の子どもさんたちが、しばしばテレビに登場している。

 4姉妹の平均年齢は94歳だが、みなさん「肉が大好き」だと言っていた。 

 結局、長生きする人は、その人が与えられた寿命で長生きをしているんであって、その方が、たまたま肉が好きだったり、肉を食べなかったりするだけなんじゃないんだろうか。

 長生きの原因が、肉を食べなかったことや、肉食べなかったことでも、朝早起きをしたことでもなく、たまたま長生きの寿命を与えられた人が、肉が好きだったり、肉を食べなかったり、早起きをしていたりするんじゃないかなあ。

 

 

2012年7月17日 (火)

筒井康隆「聖痕」。朝日新聞連載小説。

 筒井康隆さんの連載小説が13日から始まった。

 さすが筒井康隆。新聞連載小説の存在意義を知らされた。

 というのも、私は毎朝、新聞を読む習慣はあるのだが、今まで一度も新聞の連載小説を読んだことはなかった。

 小説なんてやつは、一気に読まないと楽しめないと思っていたからだ。

 それで、新聞の連載小説はいっさい眼中になかったのだが、筒井さんの連載小説が始まるという紹介記事に目がいった。

 筒井さんの小説は学生時代に読んだ。

 愛読者というほどではなく、流行作家として頻繁に月刊小説誌に発表されるものを読んでいた。

 当時、SF作家として星新一さんや小松左京さんらと「SF御三家」と称されていて、常に実験的な小説を手がけ話題性のある作家だった。

 私にとっては、ナンセンス・SF作家としての印象が強い。

 また、筒井さんは俳優という肩書も持っていらっしゃる。

 私は俳優としての筒井さんは存じあげないが、たしかに役者にしても通用しそうな味のあるいい顔をしている。

 当人もそれを自覚しているようで、筒井さんの出版広告は、必ず筒井さんの顔写真付きである。

 今回の連載開始の記事に気がついたのも、パソコンのキーボードの前でポーズをとる筒井さんの大きな顔写真に目がとまってのことだ。

 それで、13日の連載初日から「聖痕」を読み始めた。

 初回は、難解というか、私には理解不能で、よくわからなかった。

 筒井さんは、よく実験的小説をお書きになる。

 この小説も、「本来の意味でのゾラ(19世紀の作家エミール・ゾラ)的実験」だの、「言葉による触発に古語を用いる」実験をするだのと語っておられる。

 私には、その意味は理解できないが、なんだかそれははやり実験的な小説になっているのだろう。

 それでこんなに難しい話になるのなら、都合からは読むのをやめようと思っていた。

 私は、小説ってのは、読んでまず面白くないといけないと考えているからだ。

 そんな気持ちで、2回目を読む。

 む?事件が起こったみたいだ。3回目を読んでみたい。

 3回目。確かに事件が起きた。

 4回目。そして今日が連載5回目。確実に、猟奇的事件が勃発している。

 次の展開はどうなるのだろうと、毎朝が楽しみになった。

 1回分が原稿用紙2枚ちょっとしかないというのに、毎回の話が濃密に脳裏に焼きつく。

 新聞の連載小説の面白さを初めて知ることとなった。

 筒井さん曰く「最後の長編」ということだが、久し振りに小説を堪能しようと思っている。

2012年7月 9日 (月)

「くせになるすごい文具」「DIME 14号」

 久日ぶりに、こころときめく本を手にした。

 「DIME」という、小学館から月2回刊行されている雑誌の今回号だ。

 「DIME」は商品情報誌で、電子機器等のトレンドに関する特集が多い。

 今回号は「くせになるすごい文具」というキャッチコピーでの文房具特集号だ。

 私は週に1、2回は本屋をのぞいているのだが、このところ文房具を特集した雑誌をよく見かける。

 私は文房具に目がなくて、文房具特集の本を見つけると必ず読んでみる。

 以前は、文房具特集と名がつけば買ってしまっていた。

 しかし、このところは立ち読みだけで買わずに帰ることが多くなっている。

 紹介されている内容のほとんどの文房具は、すでに私が知っているものばかりだからだ。

 一冊の本の中に、買いたいなと思う文房具が全然載っていないこともある。

 一つ二つは興味を持つ文房具が載っていても、私のこころをときめかせる文房具が少なくなっている。

 「DIME」の今回号「くせになるすごい文房具」は私の心をときめかせるに十分の編集内容だった。

 昨晩は、好きなテレビも見ないで本をながめていた。

 買いたいものが、いくつもある。

 面白い文房具については、おいおいこの場で紹介させてもらおうと思っているのでお楽しみに。

 楽しいのは私だけかもしれないが。

 

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