05不動産情報館日記

2019年6月25日 (火)

悪徳不動産屋日記 わけあり物件

 一昨年(17’年)、座間市のアパートの室内から9人の遺体が見つかるという事件は、まだ記憶に新しい。

 9人の男女を殺害。遺体を切断、解体してクーラーボックスなどに保管していたという事件である。

 猟奇的な殺人事件で、当時のワイドショーでは大々的に取り上げられた。

 不動産屋としては、こんな事件が起こってワイドショーで大きくとりあげられると、殺された方や遺族がかわうそうだと思うのと同時に、家主にも心を痛める。

 こんな悲惨な事件があった部屋を借りる人などいない。

 影響は、この部屋のみに限らず、アパート全体に及ぶだろう。

 自殺や殺人があった部屋は心理的な瑕疵(欠陥)のある物件となる。

 不動産屋は賃貸借契約や売買契約をする場合には、そのことを告知しなくてはならない。

 好き好んで訳あり物件を借りる人はいないから、なかなか借りても買い手もみつからないということになる。

 結局、家賃を下げたり売買価格を下げて借りてや買い手を探すことになる。

 それでもなかなか成約には結びつかない。

 しかし、世の中には価格が安ければ気にしないという人もいる。

 今週の「週刊FRI DAY」に、座間9人遺体事件のアパートに住んでいる人が写真付で取材を受けていた。

 なぜこんな部屋を借りているのかという問いに、1番の決め手は家賃の安さだと答えている。

 家賃は、共益費を含めて月に11,000円。「こんなに安いアパートはありませんよ」というのである。

 いくら家賃が安くても、こんな事件があった物件に住むことに抵抗はなかったかと聞かれると、「僕としては、過去に何があったかよりも、家賃が安いか、騒音がないかの方が重要です。その点今の部屋は、静かで快適です」と答えている。

 ただし、友達に話すとドンびきされて、「聞きたくなかった」と言われるそうである。

 部屋を見回すと、ドアや壁が青く変色している。これは、鑑識が科学調査したときの薬品の影響ではないかという。

 遺体を解体した浴室も使用している。

 備え付けの冷蔵庫は、事件前からのもののようで、入居したとき扉を開けたらカビ臭くてすごく汚かったので使ってないのだそうだ。

 ちなみに心霊現象はなにも起こっていないそうである。

 「スイッチを消しても台所の蛍光灯がずっとチカチカしていたことがあったが、調べたらただの漏電でした」という冗談をとばす余裕をみせている。

 いやーーー。悪徳不動産屋は、わけあり物件はからっきしだめです。

 部屋に入るのもいやだから、紹介もしません。

 一度、あけあり物件の案内を頼まれたことがあったけど、私は部屋には入りたくないことをはっきり告げて、お客さん単独で部屋を見てもらいました。

 このときは契約にはならなかったけど、もしお客さんが希望しても、私は今後ともに、この部屋にかからわないことを了解してもらってでなければ契約には関与しないつもりだった。

 だって私は悪徳不動産屋なんだから。

 わけありを気にしない方々。わけありはお得な物件ですぞ。

2019年6月 7日 (金)

悪徳不動産屋日記 台風の思い出②

 次の日、かかりつけの工務店に電話したが、台風の被害が多くて、修繕依頼が殺到していてすぐには来られないとのこと。

 昨日のお客さんは、こんな話を納得するようなお客さんではないが、その旨を事務的に伝えた。

 案の定、すぐになんとかしろと怒鳴りまくる。

 私の我慢も限界。

 私の欠点なのだが、我慢が限界に達すると相手が誰であろうが牙を剥いてしまう。

 大人げなく、大声には大声で怒鳴り返す。

 今回の我慢の度合いは最大級であったが、最大級に達しただけに逆に冷静になれた。

 そもそも、このお客さんは勘違いをしている。

 私は加害者でもはない。そして、私に責任があるわけでもない。

 入居者からいただいた報酬は、入居者の気に入る物件を探し、案内し、賃貸契約を締結するまでの仕事に対する報酬なのだ。

 報酬は1ヶ月分の家賃相当額。当地(宮崎県の北端の街・延岡市)の家賃相場だと4万円から5万円だ。

 入居後も、入居者が困ったことがあって相談を受ければ問題解決の手伝いはするが、それはサービス業務なのである。

 入居契約の際に手数料を払ったからお客さんなんだぞとばかりに、不動産屋を下僕のようになんでもやってもらおうというのは大間違いだ。

 私の方針は、是々非々。

 家主にも賃借人にも一方的に味方することはしない。

 私が相談を受けた場合は、常に公平に判断するようにしている。

 それが相談者にとって不満な回答であっても、私の意見をはっきり伝える。

 不動産の取引において、当事者は常に利害が対立している。

 どちらかが得する回答は、相手方が損をする回答になる。

 ほとんどの人は人から相談を受けた場合、目の前にいる相談者に嫌われたくはないから、相談者の求める回答をする。いわゆる忖度(そんたく)だ。

 しかし、私の辞書には忖度という言葉はない。

 「私がどう思うか」という質問を受けた場合には、即座に「私はこう思う」と答える。

 「私がどう思うか」という質問だから、私がどう思うかを答えてしまうのだ。

 自分がどう思うかは、相手を忖度しなければ実に簡単なこと。「こう思う」と答えるのみ。


 ただし質問が、「法律的にはどうか」と聞かれれば即答はできない。

 相手方の意見も聞いて、状況を分析しないと判断できないことが多い。

 人間ってやつは、お金を出したがらない動物のようで、賃貸借での問題を例にとると、入居者の負担で直すべきものであっても家主が直すべきだと主張する入居者もいるし、家主が直すべき修繕でも入居者の負担にしたがる家主もいる。

 貸主、借主、どちらが負担するべきか相談を受けたとき、、私は私の公平の天秤にかけ、私なりの判断を下す。

 公平の天秤が少しでも傾いた方に判断を下す。

 しかし、それは私がどう思うかという質問を受けたときに限るものである。

 法的にどうなるのかという質問だと、答えが少し変わってくる。

 法的にとなると、究極は裁判所の判例が答えだが、最高裁の判決までとってないか下級審の判決では、裁判所によってことなった判決をでている場合もある。

 だから、法的にはと聞かれると、「裁判をしてみないとわからない」というのが正確な答えになることも多々ある。

 こんなとき私がよく持ち出すのが、「行列ができる裁判所」というテレビのバラエティー番組。

 3人の弁護士に法律的問題について回答させるのだが、3人の弁護士の意見が揃うことはない。

 この番組が出来て説明しやすくなったのだが、法律的にはどうなるのかという話になると、一概にどちらかに断定は出来ない。

 賃貸借の建物の修理義務が、貸主、借主どちらにあるのかという場合にも同じ問題が起こる。

 どちらともいえないことがあるのだ。そんなとき、、お互いが自己の利益を100%主張してると話はつかない。

 私が相談を受けた場合は、両者が納得いくよう公平公正に話をする。

 お互いが感情的しこりを残さないように解決をはかる。

 中には、法律的に家主が直すべき修繕であっても、直したがらない家主もいる。

 私の経験した中では、経済的に余裕が無いし、台風は天災で家主の責任ではないから入居者に直してもらってくれと言う家主がいた。

 この場合、私は頑として家主を説得して家主に直させた。

 話が長くなったが、台風で雨漏りしたことで私に怒りをぶちまけてきた人が間違っているのはこのことだ。

 私から家主さんに修理を依頼して、私が修理の手配を断取りするのはやぶさかではない。

 なんとか早く直してあげたいと思うのが人情というもの。

 不動産屋は味方につけるべきもの出会って敵ではない。

 雨漏りが私の責任であるかのように責めたて罵倒されたのでは、手助けしようとい気持ちは失せる。

 我慢が最大級の限界に達して、逆に冷静になった私は、「雨漏りを直す責任は家主です。私はこの物件の管理は頼まれていませんが、家主にはその旨伝えております。私が修理の手配もしてあげようと思っていたけど、あなたは私のやりかたに納得がいかないようだから、あとは自分でやってください。修繕義務は私にはありませんし、修繕の手配をするのは私の仕事でも無いし責任でもありません。法律的に私には非はありません。疑問があれば、どうぞどこにでも相談にいくといいと思います。これ以後、この問題については私は関与しませんのであしからず」

 言葉を荒らげることなく、いつもより静かに落ち着いて、そう言い捨てて、その場をあとにした。

2019年6月 4日 (火)

悪徳不動産屋日記 梅雨、そして台風の思い出

1日に、梅雨入りしたのに快晴だったという記事を書いたが、あれは一瞬の晴れ間だった。

記事を書いていたときは確かに晴れていたのだが、気圧が不安定というやつで、陽がさしたと思ったら、急に雲に覆われて今にも降り出しそうな空模様になって、依頼ずっとはっきりしない天気が続いている。

  梅雨といえば、じとじとと長雨が続くというイメージだったが、最近の雨は急にドサッと降る。

 50年に1度の記録的大雨ってやつだ。

 梅雨に限ったわけではなく、50年に1度の記録的大雨を1年に何度も経験させられる。

 これからの台風のシーズンには、50年に1度の災害報道を度々見ることになるのだろう。

 不動産業は、大雨は恐怖だ。

 管理しているアパートや貸家の入居者から雨漏りや浸水被害の苦情を受けることになる。

 普通の雨では雨漏りしないのに、台風や豪雨の時に雨漏りするということがある。

 これは致し方無しとしてお許しいただきたい場合もあるのだが、家賃を払って借りている賃借人さんは、おいそれとは許してくれない。

 すぐになんとかしてくれと言われることが多い。

 台風の暴風雨の最中、車の運転もままならない真夜中に、すぐに来て雨漏りを止めろと言われたこともある。

 台風に直撃されているところで、しかも夜中のことで、すぐに対処のしようがないのだが、とにかくすぐに出てきて状況を見て見ろと怒鳴っている。

 雨漏りをしているというものではなく、家の中に雨が降っているという状況で、怒りまくっているのだ。

 いくら怒鳴りつけられても、できないことはできない。

 すぐには対処できないことを納得してもらうしかないのだが、お客さんの怒り具合を見ると、尋常ではない雨漏りのようだ。

 自分がどれだけひどい目に遭っているのか、私にも苦痛を味わえということなのだろう。

 私が行ってもどうしようもないのだが、とりあえず行って、お客さんがどんなに困っているか状況を見てあげる。

 こんな台風の中をわざわざ来てくれたということで少しは気分が収まるだろう。

 そう思って、暴風雨吹き荒れる中、車のハンドルをとられながらもお宅に出向いた。

 しかし、こんなお客さんはそんなに甘くない。

 なんとかしろ、どうにかしろと怒鳴りまくる。

 なるほど、お客さんが怒るのも無理もない話で、窓から雨水が滝のように流れ込んでいる。

 風向きの性で、窓のサッシのすき間から雨が振り込んでいるようだ。

 といって、私の力の及ぶところではない。

 明日になって台風が通り過ぎてからでないと工務店も大工さんも動いてくれない。

 ひたすら、そんな説明を納得してもらうしかない。

 だが、お客さんの怒りは収まらない。

 なんとかしろ。どうしてくれるんだと怒鳴りまくる。

 いくら怒鳴りつけられても、どうしようもない。

 そもそも、私は家主ではないし、台風被害は天災。

 私がお詫びする筋合いの話ではない。

 ここにいたっては仕方がない。悪徳不動産屋の本性を発揮するしかない。

 「いくら大声を出されても、私には直せない。命に別状があるわけではなし我慢してもらうしかない」と伝えた。

 この入居者は、それでも許さないと迫ってくる。

 「私の力ではどうにもできない。日本中の工務店に電話してすぐに直してくれるところを自分で探して下さい」と通告し、わめき続けるお客の家から退散した。

長くなったので、この結末はまた明日。

2019年3月16日 (土)

悪徳不動産屋日記 引越は大仕事

 ただいま、引越シーズン真っ只中。

 不動産業界も、2月3月4月は年間最大の繁忙期。

 賃貸中心にやっている不動産会社は、この2、3カ月で年間の売上の半分以上を稼ぐ。

 ここ数年、深刻な問題になっているのは引越業界。

 不動産屋で引越し先を探すのには、2月初旬から探し始めて3月の終わりくらいまでの2カ月余の時間的な余裕がある。

 引越業界は、そうはいかない。

 引越は、2月20日過ぎから3月の10日くらいまでの3週間に集中して行われる。

 引越難民なる言葉も生まれ、テレビでも大騒ぎ。

 夫婦二人で都内から都内への引越で100万円以上の見積書が届いたという話しもある。

 それは特別な例であるとしても、繁忙期以外の期間の2倍程度というのは当たり前という状態になっているようだ。

 引越作業のみならず、引越は大仕事だ。

 不動産屋としてお客さんにお伝えすることも多い。



 まずは引越が決まったら、まずやっておくことを思いつくままに。

 賃貸住宅の解約。

 子どもがいれば転校届。

 転居先探し。

 不用品(粗大ゴミ、家具、家電製品等)の処分。

 引越荷物の箱詰め。

 郵便物の転送手続き。

 新聞、牛乳とうの宅配サービスの変更、停止手続き。

 電話の移設手続き。今は、インターネットのプロバイダー変更も必用だろう。

 役所への転居届。転出証明書の発行手続き。印鑑登録の廃止。国民健康保険、乳児医療、児童手当て、老齢年金、老人医療等々、役所での手続き。

 金融機関(銀行、クレジット会社)への住所変更の手続。または解約手続き。

 ペットがいる人は、保険所への手続き。

 電気、ガス、水道の使用停止手続き。

 引越当日には、

 今まで住んでいた住居の、電気、ガス、水道の立会いと精算。(あらかじめ精算方法を連絡しておけば、立会いは省略できる)

 引越先では、電気、ガス、水道の使用開始の申し込み。

 引っ越した後も大変は続く。

 まずは役所へ転入の手続き。転入届をして、転出の際にやった印鑑登録、国民健康保険等々の手続きがいる。

 転校の手続き。

 自動車、バイクの登録変更の手続き。

 運転免許証の住所変更。(運転免許証は重要な身分証明書になるので、早めに変更しておいた方がいいですよ)

 ペットの登録変更。

 いやーーーーーー、。大変ですねー。

 

 ときどき勘違いして不動産屋に苦情が来ることがあるのが、電気、ガス、水道の申し込みは不動産屋がやってくれるんじゃないのかってこと。

 これは不動産屋の仕事ではありません。

 申し込みはご自分でやることなんですよ。

 悪徳不動産屋の当社は、申し込みを代行してやってあげることが多々あります。

 当社は賃貸の仕事が少ないもので、賃貸契約の際に、電気、ガス、水道は自分で申し込むようにという注意書きを渡すのを忘れていることがあるもので、あわてて代行して申し込みをしてさしあげることになってしまうのです。

 これぞ、悪徳不動産屋のゆえん。

 ともかく、引越は心身ともに疲れる大仕事。

 転居をされる皆さま、くれぐれも御身お大事に。

  

  

 

 

 

 

 

 

2019年3月 9日 (土)

悪徳不動産屋日記 携帯印鑑 役所の印鑑主義への抵抗

 私の自作の携帯印鑑を紹介する。

 材料は、百円ショップダイソーの印鑑。

P1030089

 私は、この印鑑を糸ノコで切断して携帯している。

 切断した印鑑がこれ。

P1030090
 これを、免許証の裏にテープで張りつけて、財布に入れて持ち歩いている。

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 なぜかというと、印鑑至上主義に対応するためだ。

 私は、仕事がら市役所に証明書を取りに行くことが多々ある。

 最近は、免許証等の身分証明書があれば、印鑑は省略できる手続きも多くなってきた。

 しかし、役所はまだまだ印鑑至上主義を完全に手放そうとはしない。

 印鑑がないと受けてもらえない手続きといっても、印鑑は、ダイソーの100円の認印でもいいのだ。

 仮に申請者が他人になりすまして申請をしても、申請人欄の申請人の名前と同じ認印を押してあれば申請は受け付る。

 私は、物忘れが多いもので、簡単な証明書を取りに行く際に印鑑を忘れることが多かった。

 そんなとき、運転免許証のような顔写真付きの身分証明書で本人を確認し、その本人の署名をとるほうが他人のなりすましを防げると思うのだが、役所の規定で印鑑がないと受け付けてくれない。

 それで、私が作成したのが、冒頭の携帯印鑑だ。

 これを写真のように、指の上にはりつけて押印する。

 担当職員の目の前で、拇印を押すような素振りで「これでいいでしょう」と言うことにて強いる。

 すると、「拇印じゃだめです」と言ってくれることがある。

 そう言われると、ちょっとうれしい。

 悪徳不動産屋面目躍如。

 そう言わせたくて、相手に見つからないように印鑑を指にセットして、拇印をおすようなそぶりで「これでいいでしょう」と言って指を押印欄におろしているのだから。

 「印鑑ですよ。なにか問題あります?」

 悪徳不動産屋の前身に喜びの電流が走る。



 制作費108円。

 製作時間は3分もかかならない。

 ぜひお試しあれ。うっしっし(大橋巨泉さんより)。古い!

2019年3月 7日 (木)

悪徳不動産屋日記  一括借りは価格アップ

 月極駐車場の管理の依頼を受けた。

 駐車台数は10台。

 市街地ではなく住宅街なので、問い合わせは、ぽつりぽつりと入る程度だった。

 ある日の問い合わせで、まとめて一括で借りるから安くならないかとの折衝が入った。
 賃料は1カ月3000円。実に適正な賃料設定で、すぐにはふさがらなくても、飽きっぱなしになるようなことはない。

 まだ募集看板を立てたばかりのことで、一括で借りてもらうのは地主にとってはありがたいような話ではあるが、そこはへそ曲がりの悪徳不動産屋。

 「一括で借りてもらっても、安くはいたしません。むしろ、一括だと、ちょっと値上げさせてもらいたいところです。」と答えてしまった。

 なぜなら、一括で借りてもらった場合、解約になった際にはいっぺんに空きがでてしまうからだ。

 昔、新築のアパートを企業の寮として一括で借りてもらって喜んでいたら、6年後、その企業の業務縮小に伴い一括解約となった。

 新築のアパートは人気があって、黙っていても満室になる。

 その後、出たり入ったりがあるわけだが、築後6年くらいは築浅物件として9割程度の稼働率は稼げる。

 アパート経営で一番の課題は、築後10年を過ぎたころから稼働率の稼働率を維持できるかということだ。

 全室空室となった築後6年の物件を、満室になるのに1年くらいかかった。

 その経験があるから、一括で借りてもらうのは、ありがたくもあり、ありがたくもない話なのである。

 それに、通常の月極駐車場だと、複数の人が駐車するので、ある程度の広い車間が必用だし、車を出し入れするスペースを確保しないといけないが、一企業の社用の駐車場であれば、移動スペースを詰めて車を前停めることができる。

 今回の駐車場も、月極駐車場として使うと、車の移動スペースを考えると10台しか停められないが、ちょっと車間を狭くして停めれば12台停められるし、社員の通勤用の駐車場であれば、通常であれば通路になる部分にも車を停められる。

 詰め込めば15台くらいは停められることになる。

 そう考えれば、まとめて30,000円で借りれば、一台2,000円ということになる。

 一括で借りてやるという考えのお客様に迎合することはないのだ。

 「安くはいたしません」とはっきり伝えると、なんらもめることなく、すんなり契約となった。

 私が不動産業が性に合うのは、一方的に相手におもねる必要がないと思っているからだ。

 靴でも洋服でも、パンでも米でも野菜でも、車でも、テレビでも、パソコンでも、同じものがどこでも買える。
 
 だから、安いところで買ったり、サービスのよいところで買ったり、感じのいい店からは買ったりすればいい。

 だから、買う方が強い立場になることが多い。

 だけど、不動産は違う。

 同条件の類似の物件はあるが、まったく同じものは無い。

 だから私は、不動産取引では、「売ってやる」「貸してやる」「買ってやる」「借りてやる」のではなく、「買っていただく」「借りていただく」「売っていただく」「貸していただく」という気持ちに、お客様にもなっていただきたいと思っている。

 そんな考えが、時として私に不遜な態度をとらせてしまうこともあって、そんなとき気の弱い悪徳不動産屋は心から反省して、気分を害してしまったお客様には心からお詫びしながら不動産屋を続けています。

2019年3月 6日 (水)

悪徳不動産屋日記 不動産屋は全能たるべし

 一昨日は、不動産を売却した方から確定申告の相談があった。

 同じ日に、同じような相談が2件重なった。

 なんでもそうだが、重なるときは重なるもの。

 昨日は、テナントの入居者から、電気が点かないという連絡が、立て続けに2件あった。

 2件とも今月1日付けの契約で入居されたお客さんからの電話だった。

 最初に電話があったのは、スナック店舗を借りていただいたお客さんだった。

 今日、突然電気が切れて、カラオケを付けたときに電気が切れたのでカラオケ屋さんに聞いたら、店内の電気系統については家主の責任だから家主に直してもらいなさいと言われたというのだ。

 話がよくわからないので、いろいろ聞いていたら、こんなチラシが入っていたと、ピンクのチラシを持って来た。

 見ると、「電気のお申し込みのお願いについて(送電停止のお知らせ)という標題の書面だった。

 私は初めてみる書面であったが内容を見ると、「お客様のご利用場所の電気のご契約は、現在廃止中となっていて、電気の使用開始には小売電気事業者との契約が必用で、ご希望の小売電気業者との契約が必用です。

 3月4日までにお電話により、ご希望の小売電気業者に申し込みをしてください」とあって、「上記の期日までにいずれの小売電気事業者とも契約しないときは、送電を切る」という内容であった。

 はずかしながら私は、こんな書面を見るのは初めてであった。

 3月4日までに連絡をしなかったから、昨日電気が止められたのだろう。

 書面を見て、なるほどと意味はわかったが、2016年の電力小売の全面自由化で、こういうことになっていたということを、はずかしながら今回初めて知った。

 私は、細々とやっている不動産屋で、取引件数は少ないとはいえ、この2年余の間に賃貸借契約も中古住宅の売買契約も数十件は、やっている。

 契約にあたっては、すべて法律の通りに重要事項説明を行っている。

 重要事項の中には電気についての説明もしなければならず、重要事項説明の標準的な書式では、「電力は自由化されているので自分が希望する電力会社に申し込みしてください」となっている。

 しかし、当地では他の電力会社の情報が少なく、お客さんがかえって混乱するので、当社では九州電力でいいですかと聞いて、電力契約については九州電力の連絡先を教えて、入居して電気を使う際には電話で申し込みをするように説明している。

 この2年余昨日までは、それでなんの問題もなかった。

 みなさん私の説明どおりに九州電力に電気開通の申し込みをしてくれていたのだろう。

 今回のお客さんは、開店までの店舗改装期間は家賃は無しで、3月1日のオープン日からの契約にしていた。

 電気については、直前まで入居していたお客さんが利用していた九州電力のメーター機がついていて、申し込みをせずにそのまま電気を使用していたのだろう。

 電気が使われているけど、使用メーターが動いていたもので、冒頭の申し込みをしないと電気を止めますよという書類がはいったということだろう。

 私は悪徳と賞されることのある不動産屋だが、なぜか私は不動産に関することについて無償で相談をかけられることが多い。

 このたびのお客さんがそうだ。

 電気使用の申し込みをしてくださいという案内を受け取っているのに、「電気のブレーカーが落ちて電気が使えない。電気の故障については家主の責任だから家主に言ってくれ」と言ってきたわけだ。

 そんなことではないかと思って私は、「まずは九州電力に電話してみてください」と言ったのだが、「カラオケの配線工事にきた人が、電気のブレーカーの工事が必用で、家主にやってもらったほうがいいと言った」と言って、私の話を納得しない。

 悪徳不動産屋が、家主がやるべき工事を借家人に押しつけているとでも言わんばかりの雰囲気であった。

 私には、どうにも納得がいかない話で、あれこれやりとりしていたら、こんな書類があったということで当社にその書類を持ってきたわけだ。

 私は、その書類を手にとるなりすぐに九州電力に電話した。

 やはり、電気使用の申し込みをしていないから電気を止めたということだった。

 目の前にいる入居者に、九州電力に電気使用の申し込みをしてもよいかという了解をとり、その場で電力の使用申し込みをした。

 これにて一件落着。

 その数時間後、2月に貸し倉庫を契約したお客さんから電話が入った。

 今日、電気のスイッチを入れたら電気が点かないというのだ。

 ブレーカーは落ちていないけど、全部の電気が点かないというのだ。

 昨日までは使えていたのに、急に点かなくなったけど、どうにかしてくれというのだ。

 この倉庫の借り主は工務店。

 建築の専門家で、家を建てるに際しては、当然電気工事もやるから、電気についても素人ではない。

 その工務店の社長が、わからないというのだから、なにか電気系統に問題が起こったのだろう。

 私のかかりつけの電気工事屋さんにお願いしてみたのだが、今急ぎの工事が入っていてすぐには行けないとのこと。

 九州電力に見てもらってわからないものかと思って、九州電力に電話してみた。

 九州電力は、家に引き込むまでの故障であれば九州電力の費用負担で修理をしてくれる。

 家の中の配線の問題であれば、自分で電気工事店に修理を依頼してくださいという指示をしてくれる。

 ブレーカーが落ちていないのに電気が点かないというのは、家の中に引き込む前の配線に問題があるのではないかと想定した。

 それは九州電力に依頼すれば調査してもらえるから、まずは調査依頼をしてもらおうと思って電話した。

 電話で、所在の住所を伝えると、なんと電気の申し込みをしていのに電気を使っていたので、電気使用申し込みをしてくださいという書類を入れておいたけど申し込みがないので電気を切ったというのである。

 ちょうど私がその連絡をとったすぐあとに、倉庫の借り主側から電話が入った。

 まだ電気はつかないか?という問い合わせであった。

 そこで私は、「郵便受けか入口のところにピンクのチラシのようなものはなかったですか?」と聞いてみた。

 「ピンクの紙?これかな?」という返事。

 「電気の申し込みのお願いについて、とあって、その下に何桁もある番号が書いてあるでしょう?」と言うと、「ある。ある。」とのこと。

 なんと、さきほどのスナックのお客さんと同じことのようだ。

 私にとって初めての体験が1日に2件も。

 「その番号を教えてください」

 その番号をメモして、すぐに九州電力に電話した。

 これも、即座に解決。

 電気販売の全面自由化になってから、かれこれ3年。

 賃貸借契約、売買契約締結の際の重要事項説明で、電気の申し込みをするように説明しているので、1度もこんな問題はなかった。

 それが、昨日立て続けに2件の電気騒動である。

 2件とも、借り主さんは経営者の方。

 私も初めての経験で、一瞬動揺したが、即座に解決できた。

 悪徳と言われながらも、不動産屋は全能でなければならないのだ。

 私は、私が恐い顔をしていないことは残念なことだと思っている。

 日頃、不動産屋は信用できないという汚名を浴びながら、不動産屋の仕事の範囲を超える問題の解決を、なんでもかんでも押しつけれる。

 法律。税金。建築。電気。水道。ガス。

 水漏れ。排水が良くない。トイレの水が流れない。下水が臭い。水が濁る。

 近隣とのトラブル。近所の犬の鳴き声がうるさい。隣の家から煙草のにおいがする。鳩がベランダに来て洗濯物を汚す。

 蜂が巣を作った。ゴキブリが多い。虫が多い。

 テレビが映らない。テレビの音がうるさい。エアコンの効きが悪い。

 ガスボイラーが着火しない。床がきしむ。駐車場の停めかたが悪い。

 道路に水がたまる。下水の蓋がはずれている。

 部屋の鍵を無くしたので開けにきてくれ。

 車のバッテリーが上がってエンジンがかからない。

 ありとあらゆることの解決を、無償で当然のごとく要求されて、私は、小さな心を傷めているのだ。

 不動産屋の仕事じゃないことも、不動産屋の責任だと主張して、なんとかしろと言ってくる。

 不動産屋は不動産の取引が仕事であって、売主と買主、貸主と借主の取引を問題の無いようにつなぐことに対して手数料をいただいている。

 それ以外のことは、不動産取引にかんするサービス業務である。

 電気屋さんもガス屋さんも水道屋さんも車屋さんも、故障を見てもらうだけでも費用がかかる。

 法律相談は弁護士の仕事。税金問題は税理士の仕事。

 いずれも、相談すると相談料をとられる。

 そんな問題を、ことごとく不動産屋に押しつけているのだ。

 無料で、しかも、すぐに解決せよと迫ってくる。

 しかし、悪徳不動産屋が善良なる消費者様と喧嘩しても勝ち目はない。

 理不尽だと思いながらも、いつも私は、自分でそれらをなんとか解決している。

 次々といろんな問題が起こり、初めて経験することであっても、なんとか解決してきている。

 つくづく私は全能だなあと自分の能力の高さに自己満足して、自分をなぐさめている。

 そして思う。怖い顔をしていれば、こんなに不当な扱いは受けないのになあと。

 

 

2019年3月 5日 (火)

悪徳不動産屋日記 確定申告②

 昨日の、もう一人の相談者はお母さんが所有する家を売ったお客さんだった。

 税務署から届いたリーフレットを持参されての相談だった。

 リーフレットは「平成30年分 譲渡所得がある場合の確定申告のお知らせ」というものだ。

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  冷静に読めばわかるようになっているはずなのだが、税務署にいわれのない恐怖感を抱いている一般市民は、まずびっくりする。

 税務署というと、血も涙もなく税金を取り立てるひどいところだ等誤解している人が多いのだ。

 そんなことはない、税務署は悪質な脱税をする人以外には、いたって優しい役所なのである。

 落ち着いてリーフレットに目を通してもらいたい。

 図解でわかりやすい説明がある。

 まず最初に、「平成30年中に土地・建物・金地金等の売却や交換等をされましたか?「とある。(上にはりつけた図は去年のものだから「平成29年中に・・・」となっています)

 不動産を売った人は、その質問の下に、薄紫色にかこまれた「通常の売却」に該当しますね。

 すると、下に矢印があって、「売却による利益はありますか?」という質問がありますね。

 ね。やさしく質問してくれてるでしょう?

 その質問に下に矢印があって、「はい」「いいえ」という答えがあります。

 「いいえ」だと、「確定申告書の提出は原則不要です」となっていて、大きな左向きの矢印があって、「譲渡所得の申告についての連絡票」(返信はがき)に必用事項を記入し、返送してくださいとあります。

 「譲渡所得の申告についての連絡票」には、まず最初に「下記の不動産の譲渡(売却)については利益がないので申告しない」とあります。

 これが昨日私が書いてあることで、利益がなければ税金はかからないということで、税務署からの書類にも当然のごとく「利益がないから申告しない」と印刷されているのです。

 利益がないという証明に、売却した不動産の所在地を記入し、種類、利用状況には丸をつけ、売却した土地と建物の購入価格を書いて、売却した不動産の価格を記入します。

 この書類は、そのまま返信用のはがきになっていますので、同封されている目隠しシールを貼ってポストに投函したら、それでお終いです。

 このはがきを出すにあたっては、買ったときの売買契約書や領収書を添付する必用はないので、昨日、相談のあったお客さんも、買った時の価格を覚えていれば、その価格を記入して出しておけばそれで終わりになった可能性が高いのです。

 税務署には、過去の不動産価格を掌握していますので、その数字に妥当性があれば、とりたてて調査は入らないことが多いようです。

 ただ、税金をまぬがれるため、インチキな数字を書いて脱税しようとしたら、好確立で見つかりますので、くれぐれもインチキな回答をしてはいけません。

 昨日も申し上げましたが、ここ20年くらいは土地が値下がりを続けてますので、売却しても利益がないという取引が多いことは税務署も承知しているわけです。

 さて、利益がありますか?という質問で「はい」という答えの場合は、「確定申告書の提出が原則必用です」となってます。

 こちらになると、ちょっとわかりにくいですね。

 「確定申告書の作成は、国税庁ホームページの『確定申告書作成コーナー』をご利用ください」とありますが、これは初めての人には、ほぼ無理です。

 次に、「お問い合わせ先のご案内」とあります。e-Tax・作成コーナーヘルプデスクの案内がありますが、これも初めての人には、ほぼ無理です。

その次の「マイナンバー総合フリーダイヤル」というのも、初めて申告する人には無理な話だと思います。

  なぜか、ほぼ無理だと思う相談先の電話番号が大きく記載されています。

  その下に、ちょっと小さくひっそりと、「最寄りの税務署」というのがありますが、私が声を大にしておすすめしたいのが「最寄りの税務署」です。

「電話番号は国税庁ホームページでご確認ください」とありますが、住んでいる住所で検索すれば一発で出てきます。

   たとえば、当地(宮崎県の北端の街・延岡市)であれば「延岡市 税務署」と検索すれば、延岡税務署一番目に出てきます。

 今日のブログの相談の方は、お母さんが住んでいた家をお母さん自身が売却したという取引で、昨日説明した3000万円の控除が適用になる売買ですから、税務署に相談に行けば、手続きは簡単で、申告書の記載方法や必用書類については税務署の職員さんがやさしく親切に教えてくれます。

 ただし、確定申告の締め切り間際の3、4日前は税務署が非常に混雑していて、待ち時間も長いし、職員さんも忙しすぎてゆっくりした対応ができないと思いますので、今週中に行くことをおすすめします。

 今日のブログで、私が一番言いたいことは、税務署の職員さんは、大変な仕事をしておられるけど、非常に親切な人が多いということです。

 税務署というと、税金を取り立てる非情の人と誤解されている面がありますが、私が触れ合った税務署の職員さんは、みなさん親切な方ばかりだったですよ。

 税務署は、善良なる納税者には、やさしく親切な役所なのです。

 皆さんは善良なる納税者だと思いますので、税金のことは安心して税務署におたずね下さいね。

 かくして悪徳不動産屋は、お金にならない税金相談からまぬがれることになるのです。

 くれぐれも、今週中に行くことをお勧めします。

2019年3月 4日 (月)

悪徳不動産屋日記 確定申告

 今、確定申告の期間である。

 確定申告というのは、個人が、その年1月1日から12月31日までを課税期間として、その期間内の収入・支出、医療費や扶養親族の状況等から所得を計算した申告書を税務署へ提出し、納付すべき所得税額を確定することである(ウィキペディアによる)。

 サラリーマンは源泉徴収されて、税金を給料から天引きされているので確定申告の必用はない。

 サラリーマンでも、給与が2000万円を超える人や、2カ所以上から給与を得ている人は確定申告の必要があるが、確定申告をしなくてはいけないのは主には個人事業主である。

 もう一つ、不動産の譲渡による利益のある人も申告をしなければならない。

 それで、毎年この時期になると、前年に取引したお客さんから税金についての問い合わせをうけることになる。

 取引の際に、確定申告についての概略の説明をしているので、問い合わせをしてこられるお客さんは少ないのだが、それでも、毎年4、5件の問い合わせを受ける。

 私たち不動産業者は、不動産の取引に係わる税金について、基本的な知識を持っている。

 取引の際に、税金についての必要事項は当然お客様には伝えている。

 しかし、税理士ではないので、具体的に申告用紙を作成して申告のお手伝いをすることはできない。

 税金の理論はわかっているが、自分の申告については税理士に依頼している。

 当地(宮崎県の北端の街・延岡市)で私が扱うお客さんのほとんどは税金の心配をしなくていい個人だ。

 何度も書いていることだが、税金は譲渡益、つまり売買益に対してかかるのであって、1億円の取引であろうが100億円の取引であろうが、利益がでなければ税金は発生しない。

 1億円で買ったものを、1億円以下で売ったのであれば税金はかからない。

 当地でも、ここ20年は土地が値上がりしておらず、むしろ値下がりしていて、こここ20年以内に買った不動産を売却する場合、購入価格以下での取引になることがほとんどで、税金はかからない。

 20年以上前に購入した不動産の場合は、土地が値上がりしていて利益が出ることがあるが、自分が住んでいる住宅の売却については、売却益から3000万円控除される(居住用財産の特別控除3000万円)。

 当地では、売買価格が3000万円を超えるような物件は少ないから、樹ゔんが居住していた住宅は、購入費用がわからなくても、居住用財産の特別控除を適用すれば税金の心配はしなくてよい。

 ただし、居住用財産の控除を認めてもらうためには確定申告が必用になる。

 申告書に、売却価格、購入価格、購入するためにかかった費用、売却のためにかかった費用を記載する。

 そして、売却価格から購入価格、購入するためにかかった費用、売却のためにかかった費用を経費として経費を差し引いたものが譲渡益となる。

 譲渡益から3000万円までは控除されるので、譲渡益が3000万円までの売買については税金はかからない。

 というのが理論であるが、実際に申告書を書くとなると、結構面倒である。

 申告書は税務署に行ってもらうか、インターネットでも手に入る。

 申告書には、申告書の書き方の手引きがついているので、それを読めばわかることになっているのだが、これがなかなかわかりにくい。

 私に相談してくるお客さんは、私が不動産のプロだから、申告も私に頼めばやってくれると思ってやってきていることが多いのだが、それはできない。

 弁護士、税理士、司法書士、宅建業等々の資格は、業務独占資格であって、資格のないものがその業務をすることは禁じられていて、罰則も設けられている。

 ただし、弁護士法、宅建業法、司法書士法でも、業としてその資格者の独占業務を行ってはいけないという規定になっている。

 業としてというのは、業務、仕事としてその業を行うことで、報酬をもらわずボランティア的に助言したり相談にのってあげても罪をとわれることはない。

 不動産屋は仕事がら、法律的な相談や税金の相談を受けることは少なくなくて、無報酬でサービス的に法律的な見解を述べたり、税金についての総論的な助言をすることはある。

 ただ、直接申告につながる申告書を作成する行為は、税理士法違反に問われる要素があるのでしないようにと、税理士に指導を受けているもので、私は具体的に申告書の書き方までは勉強していない。

 私は、悪徳不動産屋のはずなのだが、やたらお客様に気安く無料相談を強いられるのだ。

 今日も2件、確定申告の相談を受けた。

 お一人は、自分が買ったときの価格がわからないので調べてくれという話だった。

 私が不動産業界に入る前に、だれから買ったかもわからない取引価格など私にわかるはずがない。

 去年、早急に売りたいということで、破格に安い価格で売却した物件で、購入の時期からするとおそらく利益はでていないはずだ。

 購入価格がわからないときは、売却価格の5%を取得費(購入価格)としても良いという規定がある。

 税理士に申告を依頼したら、購入時の売買契約書か領収書がないと、購入価格はわからないということで取得費を5%として申告することになる。

 1000万円で買ったものを1000万円で売ったら税金はゼロなのだが、1000万円で買ったことを証明する売買契約書か領収書が無いと、ほとんどの会計事務所は、取得費(購入価格)は5%の50万円という申告書を作成するだろう。

 取得費が50万円だから、1000万円で売ったときの利益は950万円。

 諸経費を差し引いて900万円の利益となり、税金はその約20%の180万円となる。

 善良なる消費者様たるお客さんは、税理士は先生様のやることには疑いをはさむことなく、払わなくもいい巨額の税金を納付する。

 しかし、悪徳と揶揄しながら悪徳不動産の私に対しては、なんとか税金を払わなくていいようにしてくれと要求してくるのだ。

 当然無報酬で、しかも税金がかかるのは悪徳不動産屋のせいだと言わんばかりにである。

 私は、相談に来たお客さんに、「当時いくらでかったか、大体の価格を覚えてるでしょう」と聞いてみた。

 「いや、まったく覚えていない」 と言う。

 「正確でなくてもいいから、400万円から500万円くらいのあいだだったとか、そのくらいの記憶はあるでしょう?」と聞いてみるのだが、「まったく覚えがない」の一点張り。

 私が不動産業に入る前のことだけど、購入当時、400万円以上で買っていることは間違いないと思うのだが、「全然覚えていない」の一点張りだ。

 税理士さんにいけば、購入価格を正確に覚えていても、売買契約書も領収書等証明できるものが無いと取得費5%で処理してしまう。

 しかし、税務署に直接、申告相談に行って、売買契約書や領収書は紛失してしまったが、購入価格はしっかり記憶していて〇〇円で購入したということで相談すれば、それが事実であれば認めてくれることもある。

 あくまでも事実であればである。

 税務署が簡単に認めていると、税金を払いたくない人が、実際の購入価格より高いと嘘をついて税金をまぬがれようと押しかけてくることになる。

 だから、簡単には認めてくれないが、きちんと話せばわかってくれる税務署の職員さんもいるはずだ。

 今日の相談のお客さんは、明らかに買った価格は売却価格より高かったか、同じくらいの価格のはずで、本来なら税金は払わなくてもいいケースだ。

 うろ覚えでも記憶があるはずで、その程度でも記憶があれば、全額を認めてもらえなくても、ある程度認めてくれるということもあるはずだ。

 少なくても5%の取得費で計算するより、数十万円から数百万円は得をする話だ。

 千円1万円の買い物をしても、正確にいくらだったかとはいえなくても、1万円前後だったとか、3万円ぐらいだったとか、その制度の記憶はあるでしょう。

 ましてや、数百万円の買い物をしているのだから、大雑把に500万円以下ではない1000万円以上ではないという程度の記憶はあるでしょう。

 その程度の記憶があれば、税務署は1000万円は認めてくれなくても500万円は認めてくれるかもしれないし、300万円なら認めてくれるということもありますよ。うっすらした記憶はないですか?と、優しくときほぐすように聞いてみるのだが、「わからない」との答えし返ってこない。

 これだと5%の取得費として処理して、それなりの税金を払わないとしかたがない。

 そう説明すると、なんとかしてくれ。私は不動産のプロだから、私なら、当時どのくらいの価格が相場だったか調べるのは簡単ではないかというのである。

 30数年前の、当事者である本人がまったく覚えないない物を、他人が覚えているはずがない。

 自分が間違った価格を申告して、自分が税務署から睨まれるのではないかという不安でもあるのだろう。

 結局、私に言えばなんとかしてもらえるという、私を悪徳不動産屋にしたてて、安全なところで損をまぬがれたいということなのかもしれない。

 結局、ゆっくり思い出してみてくださいと再度念をおして伝えたところ、そうしてみるということでお帰りになった。

 私は悪徳不動産であって、超人的万能無料解決人ではありませんぞ。

2019年1月 9日 (水)

悪徳不動産屋日記 力不足で説明できなかった

 昨日、今年年初の売買契約をした。

 中古マンションの売買だった。

 マンションは、区分所有の建物である。

 マンションというのは、1棟の建物に区分された数個の独立した住居、店舗、事務所があって、その各部分をそれぞれの目的としていて、専門用語では区分所有の建物と言う。

 一戸建の住宅と違って、占有部分と共有部分があり、区分所有者の権利義務については「区分所有の建物等に関する法律」という法律で厳密に定義されている。

 不動産の売買にあたっては、売買契約締結前に行う重要事項説明、売買契約書とも「区分所有の建物等に関する法律」の規定に沿った書面になるため、一戸建の住宅より記載項目が多くなる。

 管理費、管理規約等の説明も必用で、調査項目も多い。

 今回の契約は、当社は元付け業者(売主さん側の不動産会社)で、客付け業者さん(買主側の不動産会社)が買手さんについていて、買主さんとお会いするのは昨日が始めてであった。

 40歳前後の若い方で、銀行ローンも自分でネット銀行で借入を計画されているということ。

 おそらく、インターネット等で調べまくって、不動産の取引についても知識が豊富なお客さんだと思われる。

 それで、説明不足があると、厳しい指摘を受けることになるかもしれないと思い、重要事項説明も売買契約の読み合わせも、通常より時間をかけて丁寧に説明した。

 通常は1時間弱で説明を終え、書名捺印となるのだが、昨日は1時間半くらいかかった。

 お客さんは不動産の取引は始めてという人がほとんどで、詳細を丁寧に説明しても内容はよくわからないという人が多い。

 私は、特に金額と、取引の行程、それと解約条項だけは充分に理解していただくように説明をしている。

 説明が終って、「なにか疑問な点はありませんか」と質問はするのだが、質問されるお客さんは少なく、引き続き調印となる。

 しかし、昨日は違った。

 売買契約書の署名欄をひらき、「署名、捺印をお願いします」と署名をお願いしたところ、「えっ!この紙に署名するんですか?」と、署名しようとしない。

 、「はい。売買契約の内容の説明が終りましたので、ご納得いただければ署名をお願いします。なにか疑問がありますか。」と尋ねた。

 すると、「こんな普通の紙が契約書なんですか?」と言う。

 私にはお客さんの言葉の意味が理解できなかった。

 「はい。今説明したこの書類が売買契約書です。」と再度署名をお願いする。

 すると、不動産という高額の買い物の売買契約をするのに、契約書がこんなに普通のコピー用紙なのかと言うのだ。

 私の、37年の不動産歴で始めてのこと。

 「契約書の紙は、もっと特別なものではないのか」というのだ。

 特別な紙という意味が私にはわからない。

 お客さんのおっしゃっている言葉の趣旨がわからないから、答えようが無い。

 私が不動産業に入った30年以上前は、重要事項説明も売買契約書もB4の紙1枚に契約条項のすべてが記載されている簡素なものだった。

 それにカーボン紙をひいて複写していた。

 今の取引に比べると、不動産の取引はおおざっぱだった。

 その後、顧客保護と、顧客の権利意識の高まりで、不動産取引は年々厳しくなってきた。

 その結果、かつて1枚か2枚の書面ですませていたものが、重要事項説明はA4の用紙で9枚から10枚。売買契約書はA4で8枚から9枚という詳しく記載された書面に変わってきている。

 取引ごとに特約があったり、特別な取り決めも明記する。

 それをパソコンでプリントアウトしたものが売買契約書である。

 売買契約書だからといって特別な紙を使うことはない。

 お客さんの言わんとすることが理解できないもので、お客さんを納得させる説明ができない。

 それで、20年前に使っていた契約書を引っ張りだし、「昔は、契約書がこんな紙1枚で、契約条項もこんなに少なかったけど、今は契約条項が膨大で複数枚に及ぶのでコピー用紙になるんですよ」と説明した。

 今は、昔と違って契約を厳密にしているという説明をしたつもりだったのだが、昔の契約書を見せたことでお客さんの言っている意味がわかった。

 お客さんが昔、賃貸借契約をしたときの賃貸借契約書が、不動産会社が独自に作った賃貸借契約書で、印刷済みのものであった。

 昔のことで、カーボン紙をひいてつかうため、ツヤのある蝋紙みたいな用紙である。

 そのことだった。

 契約条項が少ないからページ数も少なく、画一的に作るので印刷屋で印刷して製本している。

 印刷屋で印刷しているというところを高級に感じているのだろう。

 そう思い込んでおられるものを、覆すことはなかなか困難。

 今回、売主さんは遠方におられて、私を全面的に信頼していただいているので私が売主の代理人としての契約。

 買主さんは私は今日が始めての面談で、私に信頼感が無いのも一つの原因かもしれない。

 どうしたものかと、客付け業者さん顔をみるが、用紙が納得できないということに対しての適格な説明はできないようす。

 私と同じく、売買契約書は、特別な用紙を使うことはないんですよという説明を繰り返すのみ。

 インターネットにも、契約書の紙の種類のことは説明されてなかったのだろう。

 お客さんを完全に納得させる説明は思いつかなかったが、なんとか署名、捺印をいただき契約終了。

 私の頭は大混乱。

 勉強不足の悪徳不動産屋であった。

 

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